建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年9月号〉

寄稿

将来の上川圏に必要な社会資本整備を着実に推進

北海道旭川土木現業所長 田島 正則

田島 正則 たじま・まさのり
71(昭和46)年室工大工卒
93年道路課主幹、95年空港港湾課長補佐
97年旭川土現企画調整室長、99年札幌土現事業部長
01年技術管理課長
はじめに
我が国においては、景気の低迷が続き、依然として国内経済は厳しい状況が続いており、景気の先行きにも不透明感が強まり景気回復の兆しが見られません。
公共事業を取り巻く環境も、公共投資予算が国・地方の財政状況から今後さらに抑制されることが予想され、一段と厳しさを増しております。
このような状況の中で、当所といたしましては、厳しい道財政を踏まえ、事業の緊急性や投資効果を重視するとともに、整備の重点化を図るほか、国や市町村との連携強化や地域の特性に応じた総合的な事業の推進のため、地域連携会議等の議論を踏まえ、地域の意向の的確な反映に努めて参ります。
また、深刻な雇用情勢を踏まえ、雇用の維持・確保・創出に向けた予算の効率的かつ適切な執行や、廃棄物の減量化や建設副産物のリサイクルを推進していくほか、自然環境と調和した施設整備を行うなど、環境にも十分配慮して参ります。
平成15年度事業について
当所における平成15年度当初事業予算の総額は、単独事業を含めた総額で対前年度比81.6%の273億2,900万円の執行を予定しております。
国や市町村のプロジェクトとの連携や地域の諸課題などを的確に捉えながら、将来の上川圏に必要な社会資本整備や投資効果の早期発現が期待される事業、防災対策等の観点から緊急性の高い事業などを主体に事業の促進に努めてまいりたいと考えております。
道路事業では、自然公園等や保養地へのアクセス道路の整備として、天人峡美瑛線の羽衣トンネルや天人橋の完成を目指し、新ルートの供用を図ります。
また、災害に強い道づくりの推進として、夕張新得線の赤岩トンネルの整備促進及び赤岩大橋(仮称)の新規着手、天人峡美瑛線の整備に取り組みます。
地域づくりを支援する交通ネットワークの形成としては、旭川多度志線の3号橋の完成を目指すとともに、湯内トンネルや2号橋に着手します。そのほか、中核都市旭川市とのネットワーク強化として、雨竜旭川線、和寒鷹栖線の整備、愛別当麻旭川線の鹿島橋などの完成を図ります。
街路事業では、「北彩都あさひかわ」関連事業として、永隆橋通(神楽地区)で新永隆橋に着手します。
また、観光地の交通渋滞の緩和などと併せて、観光地の景観形成を図るため、北の峰通(富良野市)の完成を図り、環状通(美瑛町)のjr立体交差の整備を促進します。
公園事業では、緑豊かで地域住民に親しまれる公園づくりを目指す道立広域公園「北海道立・サンピラパーク」の整備を図ります。
河川・ダム事業では、農地や地方の都市部を流下する河川の流域一帯における治水機能の向上を図るため、富良野川・剣淵川などを重点整備します。
そのほか、地域の浸水被害を防止し安全性を高めるため、比布川・5号川などで事業を促進。都市河川対策を促進するため、ポン川・牛朱別川の整備を図ります。
また、地域生活に密着した貯留施設による治水・利水対策として、生活貯水事業で西岡ダムの整備を図ります。
砂防事業では、土石流や十勝岳噴火に伴う火山対策として、富良野川の3号ダム嵩上げ、布部川、ポン布部川砂防工事を促進します。
また、渓流の保全を図り、下流域を土石流などから守るため、落合二の沢川(南富良野町)若牛川(愛別町)で砂防施設の整備促進を図るほか、八幡の沢川(名寄市)で新規着手します。
▲夕張新得線の赤岩トンネル ▲8月末に供用予定の新神楽橋 ▲富良野川3号ダム嵩上
おわりに
事業の実施にあたりましては、建設コストの縮減や新技術の活用、また間伐材の利用促進を図るなど、時代の要請に的確かつ迅速な対応を行っていくとともに、入札・契約制度の改革など透明性や公平性を確保する観点からの取り組みも推進してまいります。

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