建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年6月号〉

寄稿

ネットワーク型の交通体系を目指して
｢福岡高速5号線｣の整備を推進

福岡北九州高速道路公社　福岡事務所工事課長　磯野 通雄

福岡高速道路の役割

福岡高速道路は1号線から5号線まで整備計画延長56.8kmで、高規格道路九州自動車道とは太宰府icで2号線、福岡icで4号線、西九州自動車道とは1号線と直結させ、既に供用開始している。
残る5号線については、2号線と1号線を結ぶ博多区月隈から西区福重までの環状ルート18.1kmで、この区間は国土交通省で整備が進められている平面街路の福岡外環状道路上の路線である。この５号線と環状道路の整備が完了すれば、自動車専用道路網を骨格とする広域交通ネットワークと扇型の道路ネットワークによる交通体系が図られることになる。

工事の概要

福岡高速5号線については総延長18.1kmを4工区に分け、1工区は高速2号線との亘り線部月隈JCTから国道385号までと、2工区は国道385号から堤までの延長10kmの区間で工事を進めている。
この区間での高速道路工事は、平面街路の福岡外環状道路整備に先行した工事で、国土交通省施工の共同溝工事とは併行して施工を行っており、工事の進捗としては1工区の月隈JCTから板付ランプまでは平成15年5月1日に供用したところである。残る国道385号までは上部工の桁架設や床版工等の工事を施工中で、平成16年春の供用予定に向けて、残る工事を段階的に施工していくようにしている。
また2工区については、現在下部工の橋脚を施工中で平成17年春の供用を目途に工事を進めていくことにしている。

施工上の特徴

高速5号線の施工で上部工については、コスト縮減の面から従来の鋼箱桁橋に加えて鋼開断面箱桁橋、pc桁橋はPRC中空床版橋を採用している。以下に施工上の特徴を述べる。
月隈JCT部は、福岡空港に近く飛行航路の航空制限域が設置されている箇所で、平面部が国道3号、その上の高速2号線との亘り線部の工事となるため、上部工架設は夜間の空港閉鎖後に行い国道は一時通行止めや迂回路、高速2号線利用者にはランプ間の乗り継ぎの交通規制を実施し、制限された時間で工事を進めた。
また御笠川河川部では3基の下部工の設置、上部工については高速の亘り線4本、高速ランプ1本、街路2本、歩道1本の計8本の橋梁となるため、架設が輻輳し、工事場所を確保するための仮桟橋を設置したり、架設した桁の上にクレーンを載せて上層桁を架設する等、施工場所の確保や航空制限域での夜間作業に苦労した工事となった。板付ランプ以西は、国内でも施工例の少ない鋼開断面箱桁橋を採用しており、従来の鋼箱桁より上フランジ中間部をなくし、逆台形にすることにより下フランジ幅の無駄を押さえたコストの縮減、景観に配慮した構造である。
また本橋梁は、耐久性･維持管理コストの縮減(ライフサイクルコストの低減)を目的として、鋼橋の外面には亜鉛・アルミニウム金属溶射を採用し、床版は鋼・コンクリート合成床版を採用している。
施工に関しては、福岡外環状道路上の路線であること、幹線道路・鉄道・上空の架線等がいくつも交差していることから、各関係機関との協議を進めて施工を行っている。

▲平成15年5月に供用の月隈JCT	▲施工中の開断面箱桁部（福岡市南区）

おわりに

工事施工箇所の沿線はほとんどの地区が住居系の地域であることから、生活道路や通学路の確保、工事用車両の通行等、安全対策に配慮しながら進めているところであり、今後も地域住民の方々の協力を得ながら、工事完成に向けて鋭意取り組んで行きたい。

福岡高速5号線建設工事安全協議会・501工区

【鋼上部工】

【PRC上部工】

【床版工･高速排水工】

【電気設備工】