建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年2月号〉

寄稿

“上越地域”の活性化に向けて

新潟県 上越土木事務所長 山賀 好郎

山賀 好郎 やまが・よしろう
昭和22年1月14日生まれ、新潟県松代町出身
新潟大学農学部農業工学科卒業
昭和44年新潟県庁入庁
平成 8年監理課企画主幹
平成11年安塚土木事務所長
平成12年河川課長
◇管内概要

上越地域は、日本海側の中心に位置し、海から山へと変化に富んだ自然が豊かで、景勝地や温泉など多くの観光資源に恵まれている。また各地に史跡も多い“歴史と文化”に育まれたロマン漂う地域で、夜桜の高田公園や国際的なスキー場をはじめ、海洋性レクリェーションとしての“海浜地”では多くの観光客が訪れている。国際的には、対岸諸国とのゲートウェイとして重要港湾「直江津港」を有し、国内的には、関東・中京・関西の三大都市圏との交通の結節点にある。
道路網では、北陸及び上信越自動車道が全線供用され、鉄道では、北陸本線・信越本線に“ほくほく線”が営業運転しており、北陸新幹線はフル規格で「長野〜富山」間の工事が本格化するなど、高速交通網の整備が着実に進んでいる。このようなことから人的交流や物流の拠点としてポテンシャルが高まっており、新潟県第三の都市“上越市”を中心に今後、飛躍的な発展が期待される地域である。
しかし管内は、脆弱な地質の山間部、高田平野等の低平地、さらに長い海岸線という地形条件に加え、全国でも有数な豪雪地であり、集中豪雨や日本海特有の冬期波浪など厳しい気象条件により自然災害が起きやすい地域でもある。

◇道路及び都市計画事業

高速道路をはじめとした高速交通体系が着実に整備されているが、これらとアクセスする国、県道の整備は十分とは言えない状況である。また、豪雪地で災害を受けやすい地形を考慮すれば整備はまだ道半ばであり、特に信越線や一級河川関川により分断される市街地を東西に結ぶ道路、山間地を中心とした生活に欠かせない道路、隣接する長野県や観光地等の拠点施設との広域連携道路、高速道路のインターや新幹線駅へのアクセス道路の整備が大きな課題となっている。
関連する主要事業では、いよいよ本格化する地域高規格道路「上越魚沼地域振興快速道路」建設。平成15年春供用を目指し、一級河川関川を東西に結ぶ新都市軸としての街路事業「謙信公大橋」架設。長野県との県境に広がる観光拠点「光ヶ原」へのアクセスとしての主要地方道「上越飯山線」道路改築事業がある他、多くの生活に関連する道路改築事業や本格化する少子高齢化社会に備えて“バリアフリー事業”となる歩道整備を各地で行っている。

◇河川、海岸事業

平成7年に、当地を未曾有な大災害を襲った「7.11水害」関連事業は、5年の歳月と1千1百億円を超える巨費を投じて平成12年度に完成したが、管内の各河川は、関川水系保倉川及びその支川を中心に整備が遅れており、圃場整備や関連事業と連携を取りながらの河川事業が求められている。さらに、洪水対策と県内でも有数な水不足を解消する多目的の「柿崎川ダム」は、平成15年度の完成を目指し最後の仕上げの段階に入っている。
また、毎年のように冬期波浪により被災する大潟、柿崎海岸をはじめとする海岸事業は、災害関連事業の導入や直江津港の大型プロジェクト「火力発電所」建設に関連する海岸整備事業と連携しながら重点的に実施中である。

◇おわりに

安全、安心な地域、快適な生活環境を創出する社会資本整備は、最も根幹的な社会基盤である認識のもと、厳しい財政状況の中ではあるが、説明責任を果たしながら将来を見据えて重点的に効率的事業執行に努め、地域の活性化に貢献していきたい。


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