建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年2月号〉

寄稿

北首都国道事務所の道づくり

国土交通省関東地方整備局 北首都国道事務所長 関 登男

関 登男 せき・のりお
昭和40年3月建設省関東地方建設局 入省
平成 3年8月川崎国道工事事務所 調査第二課長
平成 6年7月関東地方建設局 道路管理課長補佐
平成 8年4月長野国道工事事務所 副所長
平成10年4月関東地方建設局 技術調査課長
平成11年4月関東地方建設局 道路管理課長
平成12年4月関東地方建設局 事業評価管理官
平成13年1月現職
はじめに
北首都国道事務所は、埼玉県内東南部地区の幹線道路網の整備を目的として、一般国道4号の改築事業、首都圏における道路交通ネットワーク「3環状9放射」の一翼を担う一般国道298号「東京外かく環状道路(外かん)」および一般国道468号「首都圏中央連絡自動車道(圏央道)」の埼玉県区間の新設事業を担当しているほか、一般国道298号の埼玉県内の道路維持管理を行っています。
地域とのコミニケーションを大切にした活力ある地域づくり、よりよい生活環境の確保を目標として住民のみなさまとともに「人と環境にやさしい道づくり」を推進しています。
一般国道468号 首都圏中央連絡自動車道
「圏央道」は、都心から半径およそ40〜60kmの位置に計画された総延長約300kmの環状の高規格幹線道路です。本道路は、横浜、厚木、八王子、川越、つくぼ、成田、木更津等の中核都市を連絡するとともに、東京湾アクアライン、東京外かく環状道路等と一体となって首都圏の広域的な幹線道路網を形成し、首都圏の交通混雑解消や都市構造の再編を図る重要な役割を担っています。
当事務所では、平成10年度より菖蒲町から埼玉・茨城県境までの約18.7kmの事業を担当しています。
東北道以西について、平成19年度頃の供用を目指し事業を推進しているところであり、平成13年度から久喜白岡ジャンクション部の用地買収に着手したところです。今後も引き続き用地買収を促進します。また、東北道以東についても、協議等に必要な調査・設計を順次進めることとしています。
なお、地元の方々の事業に対する相談の窓口として、事務所内に「圏央道相談室」を平成12年2月より開設し、皆様の相談に対応させて頂くとともに、隣接の圏央道事業担当の大宮国道事務所と連携し、広報紙「けんおうどうサークル」を発刊するなど、コミュニケーションを図りながら事業の推進に努めてまいります。
一般国道298号 東京外かく環状道路
一般国道298号「外かん」は、都心から半径約15kmの圏域を環状に連絡して都心部への交通を分散させ、首都圏の交通混雑を緩和する役割を果たします。
当事務所では、埼玉県内の外かんのうち、和光市から三郷市に至る延長30.6kmの一般部の整備を行っています。
外かんの整備に当たっては、生活環境、自然環境との調和のとれた道づくりを考え、住民とのコミュニケーションを図るとともに、広い環境施設帯の設置、太陽エネルギーの活用など、さまざまな新しい手法、技術を取り入れて進めています。
平成10年までに、埼玉県内の外かん一般部が一部暫定2車線での供用区間を含め全線開通し、千葉県松戸市の一般国道6号までつながりました。また、平成13年度には、一般国道17号との交差点において、「人に優しいゆとりと潤いを与える環境整備」を主眼にした形状・デザインのもと「美女木八幡歩道橋」が完成しました。
現在は一般部完成に向け、埼玉県東南部の三郷市谷口地区及び鷹野地区において、日本道路公団が進めている専用部高架橋工事との調整を図りながら、谷口立体及び鷹野立体の一般部地下立体化事業の工事を進めています。今後も一般部の早期全線4車線での完成供用を目指し事業を進めてまいります。
また、「外かん」の三郷地区において、より親しまれる道路整備をめざして住民参加型の「花いっぱい運動」を行っています。これは地元の方々から「道路周辺へのゴミのポイ捨てで悩んでいる」「沿道にきれいな花を咲かせればゴミのポイ捨てが少なくなるのではないか」等の意見があり、場所などを提供していただければ、市民により草花を植栽し管理したいとの要望を受け始まったもので、現在NPOを中心に三郷市内の町会、団体企業など約68団体(約1800人)により、春と秋に種まき、草刈り、ゴミ捨いが行われ、積極的な活動が続いております。
▲一般国道298号 東京外かく環状道路 谷口立体工事
一般国道4号 東埼玉道路
「東埼玉道路」は、八潮市八条地先(外かん)と庄和町下柳地先(一般国道16号)とを南北に結ぶ延長17.6kmの地域高規格道路です。4車線の自動車専用道路と側道及び自転車歩行者道とで構成され、北関東地域と首都圏を南北に絡ぶ東北道や常磐道などの幹線道路を補い、広域道路網の一部を形成します。また、並行する一般国道4号や主要地方道足立越谷線など周辺の道路の混雑緩和にも寄与します。
平成16年の埼玉国体や越谷レイクタウンヘの連絡道路としての利用をめざして、八潮市八条から吉川市川藤までの5.7kmの区間において側道及び自転車歩行者道の整備を進めています。現在、用地買収を進めるとともに、橋梁工事、改良工事を促進しています。
▲東埼玉道路 外かん(起点側)から終点を望む
一般国道4号 越谷春日部バイパス
埼玉県越谷市から栃木県宇都宮市に至る総延長約82kmの一般国道4号バイパスのうち、越谷市下間久里から庄和町下柳区間8.3kmの越谷春日部バイパスは、昭和52年までに暫定2車線で供用し、以来、交通量の増加に対応するため4車線化工事を進め、平成12年度までに7.3kmの4車線化供用を図りました。また、平成13年度には、一般国道16号と交差する庄和インター交差点部の暫定2車線立体(庄和大凧橋)が完成しました。
現在、越谷地区及び下柳地区において歩道整備工事を進めています。

▲一般国道4号 越谷春日部バイパス左和インター交差点部
道路管理
東京外かく環状道路全線85kmのうち、専用部と一般部の併設構造で、他区間に先駆けて供用した埼玉県区間の外かんは、新しいニーズに応えるため、広幅員の環境施設帯に植栽が施され、緑あふれる道路空間の創出と、車両の通行によって発生する騒音をやわらげるための遮音壁の設置、さらに舗装面とタイヤの摩擦音を減らすための低騒音舗装、ビオトープの整備など、沿道の生活環境や自然環境の調和保全のため、さまざまな整備が施されています。
これらの安全で快適な道路環境を保つため、当事務所では、道路巡回業務、照明、標識、防護柵等の修繕・更新、道路清掃、舗装修繕、橋梁耐震補強、緑地管理等を実施しています。また、各種機械や業務用車両等を活用して良好な維持管理に努めています。
おわりに
平成13年度に、北首都国道事務所は、創立30周年を迎え、これまで当事務所が果たしてきた役割を改めて振り返る機会に恵まれました。
今後も事業の執行にあたっては、「人と環境にやさしい道づくり」を目指し、生活環境や自然環境との調和と保全に配慮した道路整備を進めるとともに、地域とのコミュニケーションに努め、透明性の確保やコスト縮減、安全で快適な道路サービスの提供のための質的向上等をめざし、事業の促進に努めてまいります。

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