建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年1月号〉

寄稿

奥胎内ダム本体工事に着手

新潟県 新発田土木事務所長 上田 茂樹

上田茂樹 うえだ・しげき
昭和23年3月5日生まれ
新潟県出身
新潟大学農学部農業工学科卒業
昭和45年新潟県土木部採用
昭和60年道路建設課 主任
平成 4年道路維持課 副参事
平成 8年新発田土木 道路課長
平成10年道路建設課 課長補佐
平成11年道路建設課 参事
平成13年現職

胎内川は、その源を新発田市と黒川村の境に聳える標高1,332mの籐十郎山に発し、途中頼母木川、鹿ノ俣川などの支流を合流し中条町笹口浜において日本海に注ぐ、流路延長39.1km、流域面積143.4km2の二級河川です。
胎内川の治水事業を振り返ると、明治21年、荒川に注いでいた本川を直接日本海に放流するための約1kmに渡る放水路工事に始まり、昭和24年からは、築堤工事を黒川村下館と中条町笹口浜間で取り組み、本格的な改修が進められました。
その後、昭和42年8月に下越地方一帯を襲った未曾有の大洪水を契機に、県では河川計画を改め、昭和51年12月に胎内川ダムを完成させたところです。しかしながら、昭和53年の洪水で河川決壊などの大きな被害が発生し、未だ治水施設の整備は不十分であることから、再度計画の見直しが必要となったものです。
昭和42年の羽越大水害を二度と繰り返さない治水安全度を確保するため、あらゆる治水方法を検討した結果、既設胎内川ダムと連携させた奥胎内ダムの建設が最も有効な整備手法との結論に達しました。
このことを踏まえ県では、昭和55年度から奥胎内ダムの予備調査を開始し、昭和60年度からは、国庫補助事業による実施計画調査に入り、平成2年度には洪水調節・河川維持流量の確保・水道用水・発電を目的とした胎内川総合開発事業として採択されました。
以来12年の歳月をかけ、延長5,840mの工事用道路を完成させ、平成14年8月ダム本体工事に着手し、ダム本体工事は今年3月22日に、鹿島・大成・加賀田特定共同企業体と請負工事を締結し、工期は平成25年3月までとしました。また平成14年4月1日には、新発田土木事務所奥胎内分所を開設し、ダムの早期完成に向け万全を期すこととしました。
奥胎内ダムの建設地周辺は、磐梯朝日国立公園及び胎内二王子県立自然公園に指定された、自然豊かな地域です。21世紀は環境回復の時代と言われており、これに相応しく緑豊かで、自然に恵まれた地域の環境と景観に調和した施設とするべく、関係行政機関と協議を重ね入念に作り上げた施工計画に基づき、工事を実施していく所存です。


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