建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年1月号〉

寄稿

宗谷南部地域の産業と住民の生活を支える国道整備

国土交通省北海道開発局 稚内開発建設部 浜頓別道路総合事業所長 黒川 國夫

はじめに
浜頓別道路総合事業所は、稚内開発建設部が管轄する宗谷支庁管内のうち、宗谷南部に位置する浜頓別町、中頓別町、猿払村を通る国道の改築と維持管理を担当しています。
国道は北オホーツク道立自然公園内の海岸沿いを通る238号、旧国鉄天北線に沿って内陸部に向かう275号の2路線です。さらに、枝幸町を通る238号の改築事業、および開発道路である一般道々上猿払清浜線のうち猿払村側を担当し建設工事を実施しています。
地域の現況
当地域の産業は、第1次産業の水産・酪農業が基幹産業として位置付けられ、地域の発展を支えています。このため、管内の国道はホタテ、カニ、生乳などの農水産品を北海道内および本州方面へ安全・確実に輸送するルートとして重要な役割を担っています。
また、北オホーツク道立自然公園は、クッチャロ湖やベニヤ原生花園、北見神威岬などを有し、北海道ならではの雄大な自然景観を呈する魅力ある観光地となっています。クッチャロ湖は、平成元年我が国3番目の「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)の登録湿地指定地となり、国際的な自然環境を有する重要な地域ともなっています。
道路の整備と維持管理
当地域においては、これまでに興浜北線・天北線など旧国鉄地方線が相次いで廃止され、国道は代替バス路線として、さらに物流の輸送や地域の日常生活にとって、ますます重要な路線となりました。このため、平成9年には国道275号浜頓別町において旧国鉄線路に架かる跨線橋を撤去し市街地を再整備する「浜頓別道路」、平成11年には国道238号の北見神威岬を通過する「北オホーツクトンネル」を完成させるなど様々な道路整備を実施してきました。
平成14年度は、国道238号において雪や強風による交通障害を解消し道路環境にも配慮した「道路防雪林」や、道路管理の高度化と民間の光ファイバー網の構築を支援するため「道路情報ボックス整備」を継続して実施しています。また、国道275号中頓別町の天北峠において円滑・安全な交通を確保するため「小頓別登坂車線設置」の事業に着手しました。
また、当事業所管内2路線85.2kmの安全・確実な道路交通を確保するため、一年間を通じて道路の維持管理を実施しています。特に冬期間は、吹雪による視程障害や吹き溜まりが頻繁に発生するなど、交通確保は非常に厳しい地域となっています。このため、除雪基地(浜頓別町)と除雪ステーション(中頓別町)の2ヵ所に、除雪トラックをはじめとする除雪機械13台と必要な人員を配置し冬期間の安全・確実な道路交通の確保に努めています。

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