建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年1月号〉

寄稿

幾春別川、旧美唄川の治水安全度を向上

国土交通省北海道開発局 石狩川開発建設部

岩見沢河川事務所長 伊藤 丹

(1)平成14年度事業の概要
岩見沢河川事務所は、石狩川の中流部の下流区間(キロポスト39〜68)及び支川の幾春別川、旧美唄川、美唄川、産化美唄川等の治水事業と河川管理を担っており、流域には岩見沢市、三笠市、美唄市、月形町、北村、新篠津村が広がる。
今年度の主な事業は、1水害常襲地帯となっている幾春別川と旧美唄川の根幹的治水対策である幾春別川新水路事業の推進、2石狩川における丘陵堤の完成化と美唄川、産化美唄川における暫定堤防の促進、3光ファイバー網と監視カメラによる迅速・的確な河川情報伝達システムの整備、4平成13年9月洪水に関する災害復旧工事、5住民参加による幾春別川における緑の回廊づくり事業、6皆楽公園(月形町)、篠津公園(新篠津村)における旧石狩川の自然環境を生かした河岸保護工や管理用通路の整備などに取り組んでいる。
(2)幾春別川新水路事業の概要
当事業は、低平な地形で泥炭性軟弱地盤が広がり、石狩川の高い洪水位が長時間継続することが多い幾春別川、旧美唄川の治水安全度を高めるため、延長5.4km、堤々間250mの新水路を建設し、幾春別川、旧美唄川の石狩川との合流点を下流側に移すプロジェクトで、平成3年度に着手している。
この新水路効果によって、幾春別川、旧美唄川の水位は、それぞれ約1.2m及び1.4mの低下が図られ、北村を中心にした水害に強いまちづくりと地域の基幹産業である農業生産の安定に資する。
事業実施にあたり、軟弱な地盤条件と工事の安全管理に細心の注意を払いながら、築堤(全体約2,000千立方メートル)、河道掘削(全体約3,000千立方メートル)、護岸、樋門、灌漑用水路移設等を進めている。築堤、河道掘削の進捗率は平成14年度末には、ほぼ7割となる見込みであり、早期通水を目指した工程計画を検討している。
また、事業に伴って発生する掘削残土については、水害に強いまちづくり計画と調整を図り、体育館、公民館、パークゴルフ場等公共用地や河川防災ステーションの基盤盛土に利用している。
このほか、道道3路線の付替工事は、道路部分が既に完成したほか、道道4橋の架替えと新設について、3橋(北幌橋、大沼橋、新水路橋)が平成12年度に供用し、現在は、新岩見沢大橋(仮称、l=825m)の上部工事を促進している。
(3)地域住民、市民団体との連携
幾春別川流域を中心に、河川清掃、緑の回廊づくり植樹事業、サケ放流活動など、住民参加による河川愛護活動が定着し、総合学習の教材づくりも進んでいる。
今後も、自治体、住民、NPOとの連携を十分図りながら、河川整備のあり方を共に考え、環境教育・体験学習への支援を進めていきたい。

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