建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年12月号〉

寄稿

道・街・今を考える。未来へ続く道づくり

国土交通省関東地方整備局 宇都宮国道事務所長 木村 守二

木村 守二 きむら・もりじ
昭和47年3月関東学院大学工学部建設工学科卒
平成 4年4月関東地方建設局 大宮国道工事事務所 交通対策課長
平成 6年7月関東地方建設局 企画部 企画課長補佐
平成 7年4月関東地方建設局 企画部 技術管理課長補佐
平成 9年4月関東地方建設局 常陸工事事務所 副所
平成11年7月関東地方建設局 横浜国道工事事務所 副所長
平成13年1月関東地方整備局 道路部 地域道路課長
平成14年4月現職
はじめに
栃木県は、世界に誇る日光国立公園など、首都近郊では貴重になりつつある自然が残されており、古くは、東山道、江戸時代には、奥州街道、日光街道などの主要街道が通り、人や物が行き交う場所であったため、古くから文化の先進地として栄えてきました。
また、現在においては、東北縦貫自動車道や東北新幹線が県を南北に貫き、東北地方、北海道への軸上に位置すると共に、東西方向には、北関東自動車道が今世紀初頭に開通が予定されており、北関東地域や上越地方を結ぶ広域連携や、北関東地域の交通の要衝として中心的役割を担っていくことが期待されています。
このようななかで、宇都宮国道事務所は、栃木県内の一般国道4号、一般国道50号及び茨城県西部に位置している一般国道4号の幹線道路の改築事業や交通安全事業、維持修繕事業等を進めるとともに、管理業務を担当しています。
地域間の交流・連携を図る道づくり
(1)一般国道4号(新4号国道)
新4号国道は、一般国道4号(現道)の市街地部の慢性的な渋滞問題を解消するために計画された延長80.5kmの大規模なバイパスであり、平成4年度に暫定2車線で全線供用を図っております。また、平成6年度に地域高規格道路にも指定されています。
現在までに、当事務所管理延長61.9kmのうち約50%の30.5kmが4車線整備が完了しております。
平成14年度は、残る区間の主要交差点の4車立体化と4車線化の整備を進めてまいります。 (2)一般国道4号(氏家・矢板バイパス)
氏家・矢板バイパスは、高根沢町から氏家町を経由して矢板市に至る13.9kmのバイパスであり、氏家町内は一部4車線で供用が図られています。
現在、氏家町、矢板市内の9.3kmについて、用地買収を引き続き促進させるとともに、平成14年度から本格的な改良工事を実施することとしております。
▲一般国道4号 久部高架橋 終点側より東京方面を望む
都市機能の充実強化を図る道づくり
(1)一般国道4号(西原交差点改良)
昭和55年に宇都宮市がバス路線整備モデル実施都市に指定されたことに伴い、渋滞ポイントである川田人口交差点の立体化と西原交差点を改良し渋滞の解消を図る事業です。
平成14年は、用地買収を促進するとともに、本格的な立体工事に着手する予定です。
(2)一般国道4号(北宇都宮拡幅)
北宇都宮拡幅は、宇都宮市から高根沢町に至る延長9.0kmの現道拡幅事業であり、平成3年度までに起点側の5.1kmが4車線供用されています。
平成14年度は残る3.9km区間の4車線化に向けた用地買収と拡幅工事の促進を図ります。
(3)一般国道50号(岩舟・小山バイパス、結城バイパス)
一般国道50号バイパスは、北関東地域3県(群馬県・栃木県・茨城県)の主要都市の渋滞解消を図るために、群馬県の桐生市から栃木県を横断し、茨城県の下館市に至る大規模なバイパスです。当事務所の管理延長は41.7kmあり、4車整備が残る区間として、岩舟・小山バイパスがあります。延長10.3kmのうち、4車線未整備延長が2.6kmのみとなっており、現在、早期の4車線完成に向けて事業の進捗を図っております。
また、結城バイパスは、平成4年に常陸工事事務所から事業移管され、結城市内の渋滞解消に向けて事業の進捗を図ってまいりましたが、平成14年7月に全線を暫定供用しております。
安全で住み良い生活空間を目指して
(1)安全・安心に関連する事業
1.一般国道4号上三川町の磯岡跨道橋などにおいて、震災対策として橋脚補強・落橋防止工事を推進するとともに、矢板市において、老朽橋である荒川橋の架替工事を実施しています。また、法面の落石、崩落に対する法面防災工事も実施いたします。
2.一般国道4号宇都宮市などの都市部において、人々が安全で快適に通行できるバリアフリー構造での歩道整備を推進するとともに、一般国道50号佐野市などにおいて、渋滞解消のための交差点改良を行います。
(2)沿道環境に関連する事業
道路の沿道環境改善対策として、一般国道4号の矢板市や氏家町、一般国道50号の小山市などの都市部を中心として、各地で低騒音舗装を実施します。
(3)情報化に関連する事業
IT社会を支える基盤整備として、一般国道4号の小山市、一般国道50号の佐野市などにおいて電線共同溝の整備を展開しております。
住民との連携を目指して
道路の整備や管理については、住民意見を反映するパートナーシップの確立を進めていく必要があります。当事務所では、一般国道4号高根沢町内において参加型交差点改良を実施するとともに、一般国道4号、一般国道50号の道路の清掃や花いっぱい運動などの道路美化活動などを地域住民、地方自治体、国の3者が連携を図るボランティア・サポートプログラムを積極的に取り組んでいます。
▲「花いっぱい運動」日産自動車栃木工場
おわりに
今後の道路整備に当たっては、多様化するニーズに迅速に対応するとともに、北関東地域の経済的、文化的発展や国内外との交流を目指して、人と街と道の連携や活性化を図り、より安全で快適な道づくりに努めてまいります。
地域の方々のご理解、ご協力をお願いいたします。

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