建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年11月号〉

寄稿

地域の産業と暮らしを支えるみなとづくり

国土交通省北海道開発局 稚内開発建設部 枝幸港湾建設事業所長 渡辺 仁

枝幸港の概要
枝幸港湾建設事業所では、南宗谷圏の拠点港である枝幸港の整備を担当しております。
本港は、江戸時代の貞亨年間(1684〜1689)に鮭漁場として開かれ、昭和8年より本格的な築港整備が進められました。
昭和29年の地方港湾指定以降は、地域の基幹産業である水産業の振興と地域物流の円滑化を支援する機能の強化を図りながら発展を続け、現在は全国的にも有名なオホーツク産のホタテ、カニ、サケ等の水揚げ基地や近郊で産出される石材等の搬出拠点、さらには地域住民の暮らしに豊かさと潤いを与える空間として、重要な役割を果たしております。
平成14年度事業概要
平成14年度は、以下の2プロジェクトに基づく施設整備を推進しております。
(1)小型船溜整備プロジェクト
枝幸町周辺海域は沖釣りが大変盛んなところであり、毎シーズン、多くの釣り客が本港から遊漁船を利用して沖合のフイッシングスポットヘと向かいますが、本港の遊漁船対応施設が決定的に不足しているため、釣り客と漁業関係者間の施設利用をめぐるトラブルが頻発しております。
こうした事態を解消するため、一般漁船利用区域と離れたエリアに遊漁船を主体とする小型船溜まりの新規展開を図る本プロジェクトを平成9年度より進め、今年度をもって完成させる予定となっております。
水深2.5mの物揚場と2ブロックに分かれた船揚場を有するこの新しい小型船溜まりは、通称「船澗地区」と呼ばれており、水産振興と海洋レクリエーションの活性化を両立させる施設として大きな期待が寄せられております。

(2)漁船溜整備プロジェクト
本港は、取扱貨物の種類や利用形態などから、港内の北側エリアを漁港区、南側エリアを商港区と区分しています。水産物の生産拠点である漁港区では、流氷接岸により港湾活動が休眠状態になる冬期間以外は、連日のように水産物の水揚げ作業で賑わっていますが、近年、老朽化や漁業形態の変化などによる施設機能の低下や不具合が顕著になっており、現状を放置すれば、安全・効率的な水産活動に少なからぬ悪影響を与えるため、地元関係者より早急な改善を要請されております。
本プロジェクトはこうした漁港区の機能適正化を目的に計画されたもので、今年度は防波堤(東) (改良)の事業実施に必要な基礎調査を実施しております。

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