建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年11月号〉

寄稿

東京都西部・神奈川県北部の幹線道路整備を推進

国土交通省 関東地方整備局 相武国道工事事務所長 石原 康弘

石原 康弘 いしはら・やすひろ
昭和37年11月生 鹿児島県出身
九州大学大学院修了
昭和62年建設省採用
平成 6年中華人民共和国日本大使館勤務
平成 9年建設省建設経済局国際課海外協力官
平成10年建設省道路局国道課課長補佐
平成11年建設省道路局企画課課長補佐
平成13年5月より現職 (相武国道工事事務所長)
 
はじめに
相武国道工事事務所は、東京都西部及び神奈川県北部の幹線道路網の主軸となる一般国道の整備を担当しており、圏央道(一般国道468号)の新設、一般国道16号、20号の改築事業及び維持管理を行っています。
1.首都圏中央連絡自動車道整備
圏央道(首都圏中央連絡自動車道)は、都心から半径およそ40〜60kmの位置に計画されている延長約300kmの環状の自動車専用道路です。
横浜、厚木、八王子、川越、つくば、成田、木更津などの近郊の中核都市を結ぶとともに東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道、東関道などの放射線状の幹線道路を接続し、東京湾アクアラインとも一体となって首都圏の広域的な骨格となる幹線道路網を形成する重要な道路です。そのうち、相武国道工事事務所は首都圏西部の延長約37km(うち約5.3kmは日本道路公団単独施工区間)を管轄しています。

○圏央道 東京都内区間 −東京都・神奈川県境〜青梅IC−

工事が進む圏央道東京都内区間では、日の出IC〜青梅IC間8.7kmが本年3月29日に開通しました。一般国道20号から日の出IC間の延長約13.8kmの区間では、沿線のすべての市・町で全面的に工事を行っており、供用に向けて一層の推進を図っています。
現在、一般国道20号から日の出IC間では、次の供用予定区間であるあきる野IC(仮称)〜日の出IC間の早期供用を目標に工事を推進するとともに、他区間においてもトンネルや橋梁、土工等の工事を積極的に推進しています。
また、東京都・神奈川県境〜国道20号の区間では用地買収を促進し、本年1月24日に着工しました。
今年3月開通した圏央道多摩川橋(左)と日の出IC(右)
▲あきる野IC(仮称)
○さがみ縦貫道路(神奈川区間)−愛川町・城山町−
神奈川県中央部は南北方向の道路が不足しており、圏央道の整備は行動範囲の拡大や地域の発展に寄与し、周辺道路の混雑緩和にもつながります。
当事務所ではさがみ縦貫道路の北側、一般国道129号から東京都・神奈川県境に至る延長約12.4kmについて担当しています。平成14年度は主に、設計・用地買収を推進しており、また、本年6月には愛川町で起工式を行い、当区間での工事を開始しています。
▲上川高架橋 ▲北浅川橋
2.一般国道16号の整備
一般国道16号は、横浜、相模原、八王子、大宮、千葉、横浜を結ぶ延長約339kmの環状道路です。そのうち相武国道工事事務所管内の延長は48.4km(国道246号bp交差点〜埼玉県境)で、東京周辺の人口急増地域の中でも特に開発の著しい相模原市、八王子市などを通過する重要な路線となっています。

○八王子拡幅

八王子市中野上町から八王子市左入町の2.7kmについては、中央道八王子ICから八王子市街への連絡及び昭島、福生市域と八王子市とを結ぶ重要な路線となっていますが、1.2kmの2車線の区間が残っているため著しい渋滞区間となっています。本事業はこの2車線区間の4車線化を行い、交通渋滞の緩和と交通の安全を図るものです。平成14年度は、引き続き用地買収を推進しています。 ○八王子〜瑞穂拡幅
八王子市左入町から西多摩郡瑞穂町の一般国道16号14.6kmについては、松原地区の1.7kmを除き4車線で供用されています。この松原地区では平成12年度より用地買収に着手しており、平成14年度はボトルネックとなっている小荷田交差点の改良工事を実施しています。
▲八王子城跡トンネル北坑口に設けられた防音ドーム ▲八王子城跡トンネル切羽付近状況
3.一般国道20号の整備
一般国道20号は東京都日本橋を起点に調布、府中、国立、立川、日野、八王子、大月、甲府などの各都市を経て塩尻に至る延長約220kmの国道で甲州街道とも呼ばれ、首都圏と中部内陸地域を結ぶ大動脈となっています。そのうち、相武国道工事事務所は東京都世田谷区境から山梨県境までの延長54.1kmを管轄しています。

○日野バイパス

調布市から八王子市を通過する一般国道20号の区間は、既成市街地を通過しており平面交差点が多く、日野市内においては2車線区間が残っているため、慢性的な交通混雑が続いています。このため本事業は国立市、立川市、日野市、八王子市の4市を通過するl=8.1kmのバイパス道路として市街地の交通混雑緩和と沿道環境の改善を目的に計画されました。
このうち、平成13年3月には、日野市万願寺地区で約1.1kmの区間を供用しています。平成14年度は中央道国立府中ICから川崎街道間の早期供用に向け、用地買収、工事を推進しています。
▲日野バイパス 新日野橋(仮称)
○八王子南バイパス
八王子南バイパスは八王子の環状道路の形成と東西軸の強化を図り、一般国道20号、北野街道等の交通混雑の緩和を図るとともに、圏央道とも連携し、行動範囲の拡大、時間距離の短縮を図ります。また、生活道路に入り込む通過交通を減少させ、安全性の向上など生活道路の機能回復を図ります。平成14年度は設計、用地買収を推進するとともに八王子南IC(仮称)部において工事を推進しています。
4.その他
○共同溝
相武国道工事事務所管内においては、現在、調布・府中共同溝、国立〜日野共同溝の2箇所で事業を行っています。調布・府中共同溝は、一般国道20号の調布市から府中市に至る延長約1.9kmの共同溝です。本地域は、都心部より20〜30km圏に位置し、外周部に業務核都市を育成していくうえで重要な地域となることから調布・府中共同溝が計画され、平成11年度よりシールド工事を行っています。
また、国立〜日野共同溝は周辺の関連事業(区画整理、多摩都市モノレール等)による電力及び通信需要に対応するため計画され、日野バイパスの整備に合わせて工事を進めています。
○電線共同溝・情報BOX
電線類の地中化を図るとともに、高度情報化社会の早期実現に寄与するため、 道路地下空間を活用して、光ファイバー・電力線等をまとめて収容する電線共同溝、情報通信インフラ整備として道路管理者等の光ファイバーを収容する、情報boxの整備を進めています。平成14年度は、相模原市内、八王子市内で整備を進めます。
○交通安全施設等の整備
八王子市街地再開発事業と一体整備による道路地下空間を利用した八王子八日町地下駐車場について、平成14年度完成を目指し建築、機械、電気設備の整備を進めています。
○その他
一般国道16号、20号の維持・修繕、防災、騒音対策(低騒音舗装)等も行っています。また、国道20号神奈川県藤野町小渕地先において、対向車等検知システムの実験を行います。その他に、交通連携推進道路事業(交通結節点改善事業)として橋本駅南入口交差点の立体横断施設について、調査、設計を進めています。

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