建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年11月号〉

寄稿

沓形港に道内初!バリアフリー型浮桟橋

国土交通省北海道開発局 稚内開発建設部沓形港湾建設事業所長 廣田 正俊

はじめに
当事業所は、地方港湾3港(沓形港、鴛泊港、鬼脇港)及び第4種漁港1港(仙法志漁港)の直轄港湾・漁港整備を担当しています。
沓形港
沓形港は、昭和27年から国直轄事業で整備が進められ、近海沿岸漁業や物資流通の拠点基地として、重要な役割を果たしています。
近年、物資の大量輸送時代を迎え、大型フェリーなどの入港需要が高まり、3,000t級フェリー岸壁を沓形岬地区に整備を図り、平成元年度供用開始となりました。また、9次計画より離島における防災対策として耐震岸壁が計画され、災害時における港湾機能の確保が急務となっています。
鴛泊港
鴛泊港は、昭和25年に地方港湾となり、特に第5〜6次港湾整備計画に基づき進められた港外地域への拡張・整備は、鴛泊港のイメージを一新させ、離島観光のかなめとなるフェリーの拠点として利用されています。平成7年から3,000t級フェリーが3隻就航すると共に、平成8年よりroro船700t型就航により島民の生活も向上しています。
鬼脇港
鬼脇港は、昭和43年に諸施設の機能が整ったためー応の完成をみましたが、その後利用船舶の大型化に伴い港内が狭隘となり昭和49年より整備再開をしました。
当港は、流氷による影響を受けることが少ないことや、本道と短時間で結びうる近距離にあるという優位性を有しています。このため鴛泊港の補完港として、ますます重要な役割を担っていきます。
バリアフリー型浮桟橋
利尻島は、毎年多くの観光客が訪れており、「飛鳥」や「日本丸」など日本最大級のクルーズ客船も寄港しています。クルーズ客船は大型のため直接接岸することができず、観光客は小型ボートに乗り換えて上陸します。しかし小型ボートは岸壁より1m近く低い位置に着くため、乗り降りの際、大変不便で危険な状況でした。そのため、新しく桟橋の整備を進め、平成12年6月に完成しました。
完成した桟橋は、浮桟橋方式です。浮桟橋は潮の干満に関係なく水面から一定の高さを保ちます。また、一番の特徴は、バリアフリー型に設計したため、誰もが安全に利用できるようになりました。桟橋を渡る連絡橋、連絡通路は段差をなくし、ゆるやかなスロープをつけています。バリアフリー型の設備を岸壁に取り入れたのは道内でも初の試みでした。この桟橋周辺は、今後、物産館が整備される予定で、フェリーターミナル、親水性展望施設と合わせて利尻島の観光交流ゾーンとなることが期待されています。
▲浮桟橋利用状況

平成14年度整備事業概要
【沓形港】 港内の静穏度を確保し、出入港船舶の安全を図るため防波堤(島)の整備を進める。
【鴛泊港】 港内の静穏度を確保し、出入港船舶の安全を図るため防波堤(島)を整備。また、老朽化した西防波堤の改良を行う。
【鬼脇港】 港内の静穏度を確保し、出入港船舶の安全を図るため防波堤(島)の整備を推進。また、老朽化した物揚場(-4.0m)を利用対象船舶の利便向上のため物揚場(-3.0m)に改良する。

HOME