建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年10月号〉

寄稿

総人口普及率63.5%・全国第4位 ―石狩川、十勝川、函館湾の3流域下水道を管轄

「基本方針2002」のもと、新たな4分野に重点

「合流式下水道」にも前向きな姿勢で

北海道建設部 公園下水道課長 大島 敏雄

大島 敏雄 おおしま・としお
昭和23年11月17日生 札幌出身、札幌南高、北大工卒
昭和59年札幌土現道路建設課主査
昭和61年函館土現都市施設
昭和63年小樽土現都市施設
平成元年公園下水道課下水道第1
平成 3年6月同下水道各係長
平成 5年4月留萌土現事業課長
平成 8年4月公園下水道課長補佐
平成10年4月室蘭土現企画調整室長
平成12年4月網走土現事業部長
平成13年4月現職
北海道の下水道整備の現況
本道の公共下水道事業は、これまでの各市町村の積極的な取り組みにより、着々と整備が進められてきており、平成14年度までに、212市町村のうち175市町村で下水道事業に着手しています。この他に、農業集落排水事業や漁業集落排水事業を23町村で実施していますので、これを合わせると198市町村となり、下水道事業や農業集落排水事業などの集合処理施設事業を全く実施していない町村数は14町村、下水道事業着手済175市町村のうち平成13年度末までに供用開始した市町村は155市町村となります。
道が事業主体の流域下水道事業は、石狩川流域下水道、十勝川流域下水道、函館湾流域下水道の3箇所で事業を実施しています。流域下水道関連市町村は、石狩川流域下水道が6市4町、十勝川流域下水道が1市3町、函館湾流域下水道が1市3町となっていますが、全て供用を開始しています。
また、同じく道が事業主体の特定公共下水道は、石狩湾新港地域の工業団地で事業を進めており、昭和58年度に供用を開始しています。
本道の下水道普及率は、20年前の昭和56年度末は39.5%でしたが、平成13年度末は、83.7%と、この20年間に約44ポイント向上しています。全国の平成13年度末の下水道普及率は63.5%となっていますので、本道の下水道普及率は全国平均を大きく上回っているといえます。平成13年度末の北海道の下水道普及率は、東京都、神奈川県、大阪府についで全国第4位となっています。
これからの課題
平成14年6月21日経済財政諮問会議において「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(以下「基本方針2002」)が決定され、6月25日に閣議決定されました。
この中で、これまでの改革の成果の上に立ち、経済と財政の改善傾向をさらに確実なものとし、国民が将来を安心できる確固とした経済社会を構築するために、改革の第2段階に歩を進めるための方向性が示されました。
社会資本整備のあり方についても、「国から地方へ、官から民へ」という考え方の下で、公共投資の実行ある重点化、効率化や既存プロジェクトの見直し、公共事業関係計画のあり方の見直しに取り組むこととしています。
また8月7日には、平成15年度概算要求基準が決定され、公共投資関係費については、「基本方針2002」を踏まえ、公共投資重点化措置として「新重点4分野」(1人間力の向上・発揮―教育・文化、科学技術、IT 2.魅力ある都市・個性と工夫に満ちた地域社会 3.公平で安心な高齢化社会・少子化対策 4循環型社会の構築・地球環境問題への対応)への重点化を図り、予算規模については前年度予算の3%減とされました。
このように公共投資関係費が厳しくなる状況や最近の市町村の厳しい財政状況がありますが、道としては、厳しい市町村財政に配慮しながら、「道民皆下水道化」を目指して、道内全域の整備手法などを定めた「全道みな下水道構想」や過疎町村に対する下水道代行制度などを活用しながら、市部に比べ遅れている町村部の下水道整備の促進を図ると共に、未着手町村の解消に努めたいと考えています。
次に、報道にもたびたび取り上げられた合流式下水道の問題については、道内には17市町が合流区域を持っており、これまで一部の市において合流改善対策が実施されてきたところですが、本年、国において当面の改善目標や改善対策が示され、合流式下水道緊急改善事業が創設されたことにより、道としても合流区域を持つ全市町を対象として、下水道の役割である健全な水環境・良好な水環境の創造などのために今後重点的に取り組んでいく必要があると考えています。
また、下水道の普及が進んできたなかで、下水道の機能をきちんと保持していくために下水道施設の適正な維持管理を行っていくと共に、老朽化した施設の改築更新に今後力を入れて行く必要があります。
さらに、普及率の向上に伴い、今後も下水汚泥の発生量の増大が見込まれますが、埋立処分場の容量にも限りがあることから、これまで以上に下水汚泥の減量化・有効利用に取り組んでいくことが必要になります。
近年、下水道経営を取り巻く環境が厳しさを増す中で北海道としては、下水道を設置している市町村と連携、協力しながらこれからの下水道の発展のために、これらの課題に積極的に取り組んで参りたいと考えています。
▲石狩川流域下水道「奈井江浄化センター」全景

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