建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年9月号〉

寄稿

南信地域の地域づくりへの支援

地域と連携した緑の道づくり

国土交通省中部地方整備局 飯田国道事務所長 田島 功

田島 功 たじま・いさお
福井県 出身
昭和43年4月入省
平成11年4月中部地方建設局 道路部 交通対策課長
平成12年4月中部地方建設局 道路部 道路計画第二課長
平成13年1月中部地方整備局 道路部 地域道路課長
平成13年7月中部地方整備局 道路部 道路計画課長
平成14年4月中部地方整備局 飯田国道工事事務所長
飯田国道事務所は、長野県南信地域における幹線道路の事業を担当しています。
当事務所の管内は、日本を代表する中央、南アルプスの3,000m級の山々とその谷筋を流れる木曽川や天竜川の源を発するなど、大変自然に恵まれた地域であり、国内のみならず諸外国の方々からも大変親しまれている地域であります。
しかしながら、当地域は自然が豊かな半面、地形が急峻なため、社会基盤の整備を困難なものにしています。
この様な状況から、道路整備に対する地域の皆様方からの期待は非常に大きく、当地域の生活基盤の確保に向け、当事務所の役割は大変重要であると感じています。
当事務所は、南信地域における将来の発展の要となる遠州地域、東三河地域と南信地域の交流を促進する三遠南信自動車道を始めとして、伊那地域と木曽地域の連携・交流を図る伊那木曽連絡道路、飯田都市圏、伊南都市圏の各バイパス事業、更に19号、153号等の交通安全対策や維持管理業務を担当しており、今年度は175億円を持って各事業を推進することとしております。
▲三遠南信自動車道(長野側から青崩峠を望む)
1.三遠南信自動車道(高規格幹線道路)
三遠南信自動車道は、長野県飯田市の中央自動車道を起点とし静岡県引佐郡三ヶ日町の東名自動車道路に至る、高規格幹線道路として整備を進めております。当事務所は、起点より長野県境付近約50q区間を担当しており、現在飯喬道路のうち、中央自動車道から天竜峡ic間に重点をおいて、平成19年度の開通を目途に鋭意事業を推進しているところです。また、静岡・長野県境付近の交通不能区間の早期解消を図るため、青崩峠道路の調査を進めており、pi(パブリックインボルブメント)方式によりルートの決定を行うこととしています。
▲三遠南信自動車道(飯喬道路)
2.伊那木曽連絡道路(地域高規格道路)
伊那木曽連絡道路は、中央アルプスを横断し、伊那谷と木曽谷を結ぶ地域高規格道路として、長野県と飯田国道が一体となって事業を進めており、当事務所ではこのうち、権兵衛峠道路約6qを担当しています。当道路には約4.5kmの長大トンネルを計画しており、平成10年度からトンネルの掘削工事に入っています。
現在までの進捗状況は、6月末時点で伊那側で1,930m、木曽側で1,060mと約67%の進捗となっており、早期完成に向け、事業を推進しているところです。
▲伊那木曽連絡道(権兵衛トンネル)
3.一般国道二次改築
153号の飯田バイパスについては、現在終点部の四車線化事業を進めており、年内には四車線化の工事が完了する見込みとなっています。また、駒ヶ根市から飯島町にかけての伊南バイパスについては、昨年度から工事に着手しており、市道中通り線との同時完成に向け、事業を推進しています。
飯田バイパス
4.交通安全・防災対策事業
交通安全対策事業としては、国道19号の交通事故に対する緊急対策として、平成13年1月に道路管理者、交通管理者及び地元代表として木曽広域の三者が一体となって「19号道路交通環境安全推進委員会」を設置し、事故防止に努めているところです。今年度も新たな社会実験も含め、19号のみならず153号においても交差点改良等積極的な事故対策に取り組むこととしています。
また、防災対策事業として、災害に強い道路ネットワークの整備を目指し、中山改良については平成14年度完成を目指し工事を推進します。また、桟改良については、今年度から新たに用地買収に入る予定です。
5.ソフト的施策
中部地方整備局が取り組んでいる「未知普請プロジェクト」への取り組みの一環として、当事務所では、長野県南信地域の地域づくりへの支援として「地域と連携した緑の道づくり」を目指し、
(1)活力と豊かな生活環境を目指した道づくりへのビジョンの策定、共有【今年度は長野県の道ビジョンを策定予定】
(2)対話型行政による住民参加型の事業の円滑な実施【今年度は青崩峠道路のルート選定に係るpiの実施、伊南bpの自然に優しい自歩道整備、19号の事故対策に係る社会実験など】
(3)地域連携への総合的な支援【今年度は市町村合併や広域・隣接市町村との交流・連携に係る事業について積極的に支援など】
(4)既存ストックを生かした適正な道路管理【今年度は適正な道路管理を行うため、周辺の既存ストック(他管理道路も含む)も活用した一体的な道路管理を推進。また、他の道路管理者や地元自治体、地域住民と協働作業によるボランティアサポートプログラムの積極的な展開】
について重点的に実施することとしています。
また、より対話型行政サービスの向上を目指し、今年の3月から当地域において多方面で活躍されている有識者による車座集会として「未知普請・南信州道路集会」を設立し、自由な議論の中から南信地域の将来の道づくりのあり方などを模索するなど、今後とも着実に基盤整備を進め、「長野県南信地域の地域づくり」に貢献して参りたいと考えています。

▲19号中山改良 ▲19号桟改良

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