建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年8月号〉

寄稿

連載特集・整備新幹線 

大牟田鉄道建設所管内の工事概要

九州新幹線

日本鉄道建設公団 九州新幹線建設局 大牟田鉄道建設所長 松室 哲彦

松室 哲彦 まつむろ・てつひこ
昭和55年日本大学理工学部土木工学科卒
同年日本国有鉄道 下関工事局入社
昭和62年日本鉄道建設公団 福岡新幹線準備事務所入社
平成8年九州新幹線建設局 計画課補佐
平成13年1月現職
はじめに
当建設所は、新規着工区間の博多・新八代間に位置し、平成13年1月に設置された。担当範囲は、福岡県の瀬高町、高田町、大牟田市並びに熊本県南関町の一部の延長約18.4qである。なお、この区間には、新大牟田(仮称)駅が計画されている。
現在、発注されている工事は、博多方から瀬高南高架橋工事、高田田尻高架橋工事、高田トンネル工事、三池トンネル北工事、三池トンネル南工事の明かり2件とトンネル3件の計5件である。
工事概要
明かり工事が発注されている瀬高町、高田町は筑後平野の南端部に位置し、西は有明海に面している。ルートは家屋密集地帯を避けて主に田園地帯を通過しており、水田の他にハウス栽培が行われている。
地質は変成岩を基盤岩とし、上部には礫・砂・粘土等の未固結土層が厚く覆う地層構成となっている。
瀬高南高架橋工事は、本年3月に発注された約2.4q間の高架橋工事(場所打ち杭、高架橋、橋脚、RC桁)であり、現在、工事着手に向け関係箇所と精力的に協議を行っている。
また、高田田尻高架橋工事は、昨年3月に明かり工事として福岡県内でトップを切って発注された約2q区間の高架橋工事(場所打ち杭、高架橋、橋脚、rc桁)であり、工事用道路並びに農業施設の付け替え等の工事完了後、本体工事に着手し、現在、オールケーシング工法により場所打ち杭の施工を行っている。
トンネル工事3件については、高田トンネル工事が平成10年11月、三池トンネル北工事並びに三池トンネル南工事が平成12年3月に発注され、3件とも工事用道路、坑外設備等の工事完了後に掘削を開始した。
高田トンネルは筑肥山地の西端部の丘陵地帯を南北に貫く全長1,905mのトンネルであり、地質は古生代石炭紀〜二畳紀の三郡変成岩類の泥質片岩が主体である。掘削は上半先進ショートベンチカット工法機械掘削並びに補助ベンチ付き全断面工法発破掘削を併用した。また、一部区間で福岡県指定の地滑り地帯を通過するため、鋼管杭による抑止杭を施工後に計測管理等を実施しながら、慎重に掘削を進め、本年1月に新規着工区間のトンネルとして初めて貫通した。現在は覆工コンクリート、インバートコンクリートも完了し、トンネル内の路盤コンクリート及びトンネル前後の土工区間の施工を行っている。
三池トンネルは、大間山、三池山の山系が連なるほぼ中央を貫く全長5,360mのトンネルであり、博多・新八代間では3番目に長いトンネルである。起点方2,985mを三池トンネル北工事とし大牟田市側から、また終点方2,375mを三池トンネル南工事として南関町側から工事を進めている。地質は中世代、白亜紀の花崗岩である朝倉型花崗岩が主体である。両坑口部ともに花崗岩特有の深層風化現象が顕著であることから、補助工法併用の上半先進ショートベンチカット工法機械掘削で開始した。現在は両工事ともに堅岩地山となり、補助ベンチ付き全断面工法発破掘削で施工を行なっている。
工事の進捗については、三池トンネル北工事は昨年5月に掘削を開始し約780mが完了しており、インバートコンクリートは約110m完了している。なお、覆工コンクリートについては、間もなく開始する予定である。
また、三池トンネル南工事は昨年1月に掘削を開始し約1,040mが完了しており、インバートコンクリートは約680m、覆工コンクリートは約510m完了している。
おわりに
当建設所は、当面、瀬高南高架橋工事の着工並びに既に着工している4工事の安全で円滑な工事の推進を目標としている。
また、今後発注される新規工事も含め関係自治体等との密接な連携のもと、建設所一丸となって安全で質の良い九州新幹線の建設に努力していく所存である。関係者の更なるご支援、ご協力をお願いする次第です。
▲高田田尻高架橋工事 ▲高田トンネル工事 ▲三池トンネル北工事 ▲三池トンネル南工事

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