建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年8月号〉

寄稿

連載特集・整備新幹線

玉名鉄道建設所管内の工事概要

九州新幹線

日本鉄道建設公団 九州新幹線建設局 玉名鉄道建設所長 北原 太一

北原 太一 きたはら・たいち
昭和41年福岡県立八女工業高校土木科卒
同年日本鉄道建設公団 下関支社入社
平成13年九州新幹線工事第6課補佐
平成14年4月より現職
はじめに
当建設所は平成10年8月に設置され、博多起点66q895m〜90q120m間の23q225mを担当している。担当範囲は熊本県内の南関町、玉名市、玉東町及び熊本市の一部区間の2市2町である。
線路構造の内訳は明り(土工路盤、高架橋、橋りょう)区間が10q194m(44%)で、トンネル区間が13q031m(56%)である。この区間には新玉名駅(仮称)が現在の鹿児島本線玉名駅から東へ約3qの所に計画されている。
現在着手している工事は、玉名トンネル工事、大坊トンネル工事、木葉トンネル工事、野田トンネル工事及び一級河川菊池川橋りょう工事の5件6工区であり、着手延長は13q658m(59%)である。
工事概要
現在着手中の工事概要を博多方より紹介する。
玉名トンネル工事
玉名トンネルは延長6,760mで福岡県との県境の南関町より玉名市を結ぶもので、花崗岩を主体とする壮年期の小岱山体(標高501m)を平均土被り150mで貫くものである。
当トンネルは南関町域を玉名北工区とし、工事延長2,525mで平成10年7月に着手した。一方、玉名市域は玉名南工区とし、工事延長4,235mで、平成12年3月に着手した。
両坑口より全断面発破掘削工法で施工中であり、北工区の掘削は完了し、現在、覆工コンクリート等を来年1月の完成に向け施工中である。
南工区は4月末現在、掘削1,070m(25%)を完了しており、平成16年3月の本体工事完成に向け鋭意施工中である。
大坊トンネル工事
本工事は本年3月に着手し、完成は16年3月の予定である。内容はトンネル区間655mと高架橋主体の明かり区間840mであり、トンネル区間は低土被り(0〜25m)強風化花崗岩(マサ土化)を上半先進ショートベンチ機械掘削工法で施工することで準備中である。明り区間は菊池川流域の沖積低地に位置し、下流部には軟弱地盤層が分布しており、杭基礎構造の高架橋工事を現在準備中である。
菊池川橋りょう工事
本工事は昨年3月に着手し、完成予定は平成16年3月である。内容は延長400mの橋りょう工事であり、5径間連続pc箱桁で橋脚6基にて渡河するものである。現在右岸側堤外地内の橋脚2基の基礎工のケーソンを施工中である。掘削深は夫々22.5m、33.0mであり、有人掘さく及び無人掘さくの併用工法を採用しており、5月末には完了予定である。
なお左岸側堤外地内の2基の橋脚基礎工もケーソンで計画しており、掘削深は31.5m、36.0mで、来年の渇水期に施工するよう計画している。
木葉トンネル工事
本工事は昨年3月に着手し、平成16年3月の完成予定である。内容はトンネル区間755mと明り1,960mの工事である。トンネル工事は上半先進シートベンチ機械掘削工法で本年2月に掘削開始し5月現在、未固結凝灰角礫岩層を280m掘削完了している。
トンネル本体工事完了後、明り区間の高架橋工事に着手する予定である。
野田トンネル工事
本工事は昨年3月に着手し、完成は平成17年3月の予定である。内容は1,690mの野田トンネルと165mの西安寺トンネルの2本のトンネル工事と延長265mの高架橋工事である。野田トンネルの地質は安山岩を基岩とする多孔質安山岩と塊状安山岩の互層からなっており、全断面発破工法で本年6月上旬より掘削を開始する予定である。西安寺トンネルは低土被り(h=10〜15m)で、未固結火山灰質土のため上半先進ショートベンチ機械掘削工法で野田トンネル本体工事終了後に施工するよう予定している。
おわりに
当管内はトンネル及び橋りょう工事に加え、今年度より新たに土工路盤工事、高架橋工事が始まり、工種の多様化に伴い、益々多忙となってきたが、地域住民の方々との調和を図り、特に第三者事故防止に努め、無事故で工事の完成をめざしていきたいと考えている。
▲玉名トンネル(北)工区 ▲玉名トンネル(北)工区 ▲玉名トンネル(南)工区
▲玉名トンネル(南)工区 ▲菊地川B

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