建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年6月号〉

寄稿

【連載特集・整備新幹線 北陸新幹線(1)】

青海鉄道建設所管内の工事概要について

日本鉄道建設公団 北陸新幹線第二建設局 青海鉄道建設所長 宮崎 竜聖

宮崎 竜聖 みやざき・りゅうせい
平成元年東北大学工学部土木工学科卒
同年日本鉄道建設公団入社平成
平成10年本社新幹線第1課担当係長
平成12年北陸新幹線第二建設局工事第3課担当係長
平成13年4月より現職
はじめに
青海鉄道建設所は新潟県の西端、西頚城郡青海町にあり北陸新幹線(長野・富山間)のうち糸魚川市および青海町内約30km間の建設工事を担当しています。当地は有名なフォッサマグナの西縁糸魚川―静岡構造線の大断層があることから地形・地質的に複雑な構造となっています。また、北アルプス連峰の東端飛騨山脈が日本海に落ち込むところに、天下の難所として知られている親不知子不知海岸があります。
さらに周辺はヒスイ(翡翠)の産地としても有名であり、太古の時代には玉作りが盛んであったようでこれに関連した遺跡がいくつも発見されています。
建設所管内の概要
当建設所管内の構造別内訳はトンネル約6割、高架橋約3割、橋梁・路盤約1割となっており、現在の糸魚川駅に併設した新幹線駅を計画しています。主なトンネルとして、高峰トンネル(3,940m)、青海トンネル(4,300m)、新親不知トンネル(7,334m)があります。
また主な橋梁として、姫川橋梁(436m)、北陸道架道橋(393m、北陸自動車道と交差)があります。現在は延長約30kmのうち旧糸魚川・魚津間のうち新潟県側が全面着工し、昨年4月認可になった糸魚川市域についても高峰トンネル西工区が発注になり、約13km間で工事を施工中です。
代表的な施工例
北陸道架道橋は北陸自動車道に対して交差角14.5度で交差する延長393mの橋梁です。本橋が位置する場所は海岸からの離れが約600mで、高速道路直上ということもあり維持管理の省力化を考慮して新しく開発された海浜耐候性鋼材を使用しました。橋桁の構造は4径間連続合成桁と3径間連続src(steel reinforced concrete)桁から構成されています。SRC桁は既成鋼管を主桁に用い、鋼管内にコンクリートを充填させた複合構造で、路線直下に北陸自動車道の管理施設、管理用道路があるため、桁高を極端に低くする必要があったことから世界で初めて採用しました。
本橋のうち、4径間連続合成桁(l=247m)の大半は供用中の高速道路上での架設となることから、安全性・作業時間の制約条件を考慮して旋回・横取工法を採用しました。本工事は平成9年9月の下部工事着手から桁架設を経て平成12年12月に完成しました。
青海トンネルは全長4300mで、糸魚川―静岡構造線の西側に隣接する地帯に位置することから、地質構造が複雑になっています。この付近では石灰岩が多く分布しており、これを利用して大規模なセメント工場があります。
青海トンネルの東側坑口は急斜面の地山に斜めに入ることや雪崩の危険性があることなどから、RRR(reinforced road with rigid facing construction system)工法による防災工を行いました。
これに対して西側坑口では石灰岩がオーバーハングしており、岩片は非常に硬質なものですが、割れ目の発達が顕著でありオーバーハング部上部斜面には落石の危険性のある転石などが多数分布していたことから、詳細な調査・解析を基に防災対策を行いました。
これらの対策工については事前の調査・分析を十分に行ない、施工中の安全にもかなりの注意を払って施工しました。青海トンネルは平成9年1月の本坑掘削開始以来、平成13年2月に無事故で貫通しました。
新親不知トンネルは全長7334mで、西側約5300mは工事が終了しており、現在は東側約2000m間の施工を行なっています。このトンネルの東側に隣接して歌トンネル(全長1758m)がありますが、両トンネルともフォッサマグナに近接して位置することから、地質的に大規模な断層破砕帯がいくつか存在しており、地質調査から蛇紋岩層がかなりの範囲で分布していることが判明しています。さらに部分的に土被りの浅い場所では地すべりを誘発する可能性があることから、トンネル掘削については補助工法等を適切に検討した結果、歌トンネルは平成13年12月に無事貫通しました。現在は引き続き新親不知トンネルの掘削を開始しています。
▲北陸道架道橋 ▲青海T 東側坑口 ▲青海T 西側坑口 ▲新親不知T 東側坑口

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