建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年3月号〉

寄稿

公社における事業概要

―その存在意義と、これからの展望について─

大阪府住宅供給公社 理事長 松尾 純

松尾 純 まつお・じゅん
昭和16年5月25日生
昭和41年3月大阪大学工学部卒業
昭和41年4月大阪府採用
昭和49年4月生活環境部公害室特殊公害課主査
昭和58年5月企面部企画室主幹
昭和62年5月企画部企画室参事
平成 2年4月企画調整部企画室総括参事
平成 3年5月建築部建築指導課長
平成 5年4月建築部副理事兼住宅政策課長
平成 6年4月建築部副理事(まちづくり担当)
平成 7年5月建築部技監
平成10年4月建築都市部長
平成12年4月大阪府退職
平成大阪府住宅供給公社理事長、現在に至る
▲西田辺-1団地

大阪府住宅供給公社は昭和40年11月に設立して以来、これまで大阪府の住宅・まちづくり政策の一翼を担い、府民の多様化・高度化する住宅ニーズに応えられるよう良質な賃貸住宅、分譲住宅、宅地開発事業等を手掛けてまいりました。その数は一般賃貸住宅約2万3千戸、分譲住宅約2万4千戸を超えるに至っております。
まず、公社を取巻く環境は近年の地価下落や住宅需要の低迷など厳しい社会経済情勢の影響を受け、大変厳しい時代を迎えております。
こうした状況を踏まえ当公社では、昨年、経営改善計画を新たに策定し、一般賃貸住宅ストックの有効活用、建替事業の推進並びに保有地等の早期処理などを柱として、各種の対策に鋭意取り組んでいるところであります。
まず、当公社における平成13年度に実施した主な事業について紹介いたします。東大阪の若江岩田駅前団地においては、急速な高齢化社会に対応するため、医療機関と連携した緊急通報システムや医師、ナースの派遣などによるメディカルサービスシステムを導入いたしました。
また、大阪市内の西田辺団地の賃貸住宅建替事業においても、高齢者向け優良賃貸住宅制度を初めて導入するとともに、バリアフリー化はもとより、緊急通報、健康相談などのきめ細かなサービスを実施いたしております。
次に、平成14年度予定の事業計画についてですが、府域南部の泉北御池台(l-12)においては、民間企業の企画力・技術力等の活用を図るため、事業提案コンペ方式により、計画面積約13h

aの団地開発を実施し、良好な市街地の形成と高品質な戸建分譲住宅(約400戸規模)としてのまちづくりを目指しています。
また、府域北部の高槻天川団地においても、民間活力導入による事業提案コンペ方式により、府営住宅跡地約1.3h

aに高密度ながら環境良好な都市型低層分譲住宅(約80戸)を建設し、魅力ある住宅と街並みの実現を目指します。
一方、地方公共団体からの依頼による事業である島本町営住宅建替事業については、買取公営住宅制度に基づき、公社が町より設計、建設工事、工事監理等に亘る全ての業務を引き受け住宅及び集会所等を建設しようとするものです。
また、公団の分譲住宅である豊中旭丘第二団地住宅における公民共同建替事業については、築30年以上経過した当該住宅を建替し、良質な住宅供給と豊かな住環境及び新しい市街地の形成を図ろうとするものです。事業手法としては、事業提案コンペを実施し公社と民間事業者がー定の役割分担の下、各々が有する事業ノウハウを相互に発揮しながら建替推進を図ろうとするものです。

一般賃貸住宅ストックの有効活用については、近年の生活様式に合わなくなった住宅を高齢化に対応したバリアフリー、手すり設置などによるリフオーム等の再生賃貸住宅事業を昨年に引き続き実施するとともに、相当年数を経過した住宅については、昨年策定した建替計画に基づき、順次建替をすすめ、居住水準の向上を図るとともに高齢化にも対応した住宅に整備していく予定です。
このように公社は、これまで培ってきた企画力、調整力、技術力など住まいづくりのノウハウを発揮し、公的機関でなければ対応が困難な市街地整備事業、分譲マンション建替事業におけるコーディネーター並びに賃貸住宅ストックの有効活用等に重点を置いた取組みをすすめながら、少子・高齢化社会の進展やライフスタイルの変化など、時代ニーズに的確に対応した良質な住まいをユーザーの方々に提供できるよう、これからも努力してまいる所存です。


HOME