建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年2月号〉

寄稿

北陸から公共施設の新しい世界を開く

北陸地方整備局営繕部発足から早1年

国土交通省北陸地方整備局 営繕部 計画課長 平 善之

平 善之 たいら・よしゆき
昭和30年4月18日、福岡県出身、熊本大学工学部卒
昭和57年建設省建設大臣官房官庁営繕部採用
中部地方建設局
関東地方建設局
東北地方建設局等を経て
平成13年4月より国土交通省北陸地方整備局営繕部計画課長
▲小松地方合同庁舎

北陸地方整備局営繕部は、省庁再編により、平成13年1月6日の北陸地方整備局の発足と同時に建設省関東地方建設局営繕部新潟分室の所掌を引き継いで発足し、この1月ではや1年が過ぎました。同時に関東地方建設局より移管された金沢営繕工事事務所とともに新潟・富山・石川の北陸3県の官庁施設に関する営繕及び保全の指導を基本的な業務としております。
この1年間を振り返ると、まず完成した施設としては新潟県警察学校射撃場、第九管区海上保安部新潟航空基地格納庫があり、また年度末には富山県警察機動隊が完成する予定となっております。
その他にも小松地方合同庁舎の新営工事を前年度に引き続き実施し、平成14年度の完成を目指しています。
また、現在これからの当部の目玉となる新潟第2地方合同庁舎の設計を実施しておりますが、来年度からは工事が発注される予定で、日本海側随一の大規模合同庁舎としてふさわしい建物を造っていく計画であります。
近年公共事業を取り巻く環境は厳しくなっており、当営繕部でも時代の要請にマッチし、答えていけるものを考えていかなければならないと思っております。
例えば、今、営繕行政に求められている重要なテーマとしては、次の5点があげられます。

我々はこれらのテーマを心に刻みながら日々の業務に意味を持たせ、よって国民の皆様へ貢献をと頑張っております。
北陸地方の特徴は、個性豊かな比較的小さな都市が多数存在していること、また、多量の雪がもたらされ、概して厳しい気候風土となっていること、さらに環日本海交流の中心となっていることであります。
このような地域の状況に根ざし、北陸地方整備局営繕部では「地域の息吹を感じられる施設づくり」をテーマに掲げております。
具体的な例としては、個性的な都市が散在しているという特徴については、おのおのの都市の個性を重視した、例えばウォーターフロント的なシビックコア、あるいは中心市街地活性化といったその都市のまちづくりに寄与する庁舎整備を推進したいと考えております。
現在、シビックコアの視点からは新潟、長岡、七尾、上越、両津の各合同庁舎計画、中心市街地活性化の視点からは、小松、長岡の各合同庁舎計画において検討を進めておりますが、これらの中でそれらが実現できればと考えております。
北陸の厳しい気候への対応としては、北陸型のグリーン庁舎・グリーン化の試み、あるいは、雪に閉ざされる地域の貴重なスペースとしての地域コミュニティーの場の創出といった取り組みを行っております。
北陸型のグリーン庁舎の例としては、中間期が比較的長い気候を活かし、積極的に外気を取り入れ、空調負荷を低減した「風の庁舎」として小松地方合同庁舎の整備を行っております。また、冬季の厳しい環境から自動車への依存率が高いために駐車場へのニーズが高いという特性を逆にとらえ、ただ舗装されただけの無味乾燥な駐車場ではなく、周辺に樹木を配置して市街地の緑を増やすグリーンパーキング構想といったものを新潟第2、小松の両合同庁舎で検討しております。また、雪国におけ地域コミュニティーの場の創出の例としては、雨や雪の時でも、来庁者や市民の方々に開放的な公共空間を提供する小松地方合同のピロティ化された広場と「コミュニケーションショーケース」の整備や、雪国の生活の知恵である雁木をモチーフとし、四季を通じて回遊性を提供する新潟第2地方合同の「エココリドール」といった計画を進めております。
とかく一辺倒になりがちな公共事業に新しい風を吹き込むという事で、これらの北陸型の営繕施設は必ず新しい世界を開く事でしょう。
この1年を振り返って、小さい組織であり、またできたばかりという事もあって、試行錯誤を繰り返しながら、周囲の暖かい支援によりなんとかやってきた新米営繕部ですが、この1年の経験を大切に活かし、環日本海の要の営繕部として全員で頑張って行こうと考えておりますので、皆さまよろしくお願いします。

▲富山県警察機動隊庁舎

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