建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年1月号〉

寄稿

東京都における市街地再開発事業について

東京都 再開発事務所長 横田 協

横田 協 よこた・きょう
昭和45年南多摩本部
昭和59年都計局交通企画課係長
昭和61年建設局三建補修係課長
平成 2年道路公社建設課長
平成 5年都市計画局新線計画担当課長
平成 7年都市計画局開発計画部市街地開発課長
平成10年多摩都市モノレール(株)技術部長
平成11年 より現職
北新宿地区内における放射6号線整備区域

本年四月、組織再編成により、これまでの第一再開発事務所と第二再開発事務所が統合されて新たに「東京都再開発事務所」が発足した。
これまで第一再開発事務所は、白鬚西地区、北赤羽地区、および北新宿地区において再開発事業を進め荻窪駅北口広場において駅前広場築造事業等を行ってきた。また、第二再開発事務所は、亀戸・大島・小松川地区と新橋から虎の門に至る環状2号線地区再開発事業を行ってきた。
なかでも白鬚西地区および亀戸・大島・小松川地区は、昭和44年に策定された「江東再開発基本構想」に基づく防災関連市街地再開発事業と位置づけられ、大震災にも耐える安全で快適な市街地を創出することを目的に事業が進められ、現在その目的が達せられようとしている。
また、北赤羽地区は、JR埼京線北赤羽駅前において交通広場や環状8号線の都市施設の整備を行い、商業及び公共施設を整合させた良好な住環境の形成を目指して事業を進めている。
北新宿地区においては、地区内の放射6号線を整備し、沿道の低層密集市街地を新宿副都心にふさわしい市街地として再編しようとしている。さらに環状2号線地区は、都心と汐留地区、ならびに臨海副都心を結ぶ重要な幹線道路であることから「立体道路制度」を活用した幹線道路整備とあわせ、土地の有効利用と都心部における定住人口の確保をはかることをめざしている。
これら事業は、全て新たに統合発足した再開発事務所において継続して進められる。
このほか、再開発事業調査地区として、十条駅西口地区及び東池袋地区が挙げられている。これは、都市基盤が未整備のまま市街化が進み、防災や住環境上の課題をかかえる地域を都の「防災都市づくり推進計画」に位置づけ良好な都市環境を創出しようとするものである。
市街地再開発事業は、計画地域の立ち遅れた住環境の向上をめざして、土地の高度利用を図り、あわせて公共施設の計画的立地により、災害に強い安全で快適な都市環境を創造しようとする事業である。
もとより再開発事業は、地域に居住する人々の生活環境と権利に対し大きな変化をもたらすことから、その事業の遂行には行政と地域住民との密接な連携が不可欠である。
最近の社会・経済情勢の変化は、事業の遂行に大きな影響を与えており、事業収支の改善や特定建築者制度の導入など事業手法の工夫を強く求められているが、関係権利者への十分な情報提供や意見交換を通じて円滑な事業遂行に努め、新たな都市づくりを推進していきたい。


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