建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年1月号〉

寄稿

管内の地域事情と基盤整備の必要性

北海道 網走土木現業所長 猪俣 茂樹

猪俣 茂樹 いのまた・しげき
昭和25年3月27日生 札幌出身
札幌西高、北大工卒、大学院修
平成4年網走土現事業課長
平成6年旭川土現総務課長
平成8年空港港湾課主幹
平成9年同課長補佐
平成10年旭川土現事業部長
平成11年建設部参事(北海道エアシステム業務部長)
平成13年現職
管内の現状
網走管内は、北は雄武町幌内から東は知床岬に至る約278kmの海岸線でオホーツク海と接する10,689平方キロメートルの広大な面積を有し、人口は約339,000人で3市20町3村で構成されております。
管内の気候は、オホーツク海型気候に属し、1月下旬から3月下旬にかけて流氷により海面は全面結氷し航路は閉ざされますが、年間を通じて降雨量が810mm程度と少なく日照時間に恵まれた比較的温暖な気候となっております。
管内の産業としては、全道の約14%を占める広大な農地に支えられた畑作や酪農、オホーツク海やサロマ湖などの豊かな漁場に恵まれた漁業や水産加工などによる食糧供給基地としての役割を担っております。
また、空の玄関口として女満別、オホーツク紋別の2つの空港を有し、知床や阿寒国立公園のほか、網走や天塩岳、斜里岳国定公園があり、近年では夏場の観光に加え、流氷や冬のスポーツを利用した冬場の観光も盛んになってきております。
このほか、豊富な農林資源を活かした乳製品加工や木工クラフトづくりなどの体験型観光や「花」をテーマとした公園など、地域の特性を活かしたオホーツク観光への広域的な取り組みが進められております。
基盤整備の方向性
管内の主要産業である農林水産業や観光をはじめとした経済活動を支援し、地域の人々の生活や利便性を向上させるため、道路網をより一層拡充整備する必要があります。
また、着実に増加している台湾・韓国を中心とした東南アジアからの海外観光客や冬場の流氷観光などを念頭に置いた冬場にも強い道路の整備を進めます。
近年の大雨による災害の多発化傾向を踏まえ、洪水を未然に防止したり土砂災害から人命や財産を守り、高潮や侵食から海岸を守るため、河川や砂防、海岸などの施設整備を進める必要があります。
また、漁業や水産加工業の発展を支援するため、漁港機能の高度化、物流効率化やhaccpなどに対応した漁港施設の整備も急がれております。
当所では、これらを踏まえ、住民の視点に立ち、環境や地域社会との調和を図りながら、道路や漁港などの産業基盤や河川、砂防、海岸などの整備を進め、ゆとりと豊かさを実感できる地域社会の実現を目指しております。
道路事業
広域分散型の地域特性を踏まえ効果的な道路網の整備を進め、都市内交通の円滑化や市街地の活性化を支援するため、市町村の「まちづくり」と連携した街路などの整備も進めます。
整備に当たっては、高速道路へのアクセスや観光ルートのほか、冬に強い道路づくりを念頭に置いて進めます。
治水事業
安全で安心できる社会基盤づくりを目指した整備はもとより、自然環境への配慮や周辺景観と調和、地域との連携を図りながら河川、砂防、海岸などの整備を進めます。
漁国関係施設については、機能高度化、物流効率化やhaccpなどに対応した整備を進めます。
まとめ
当所といたしましては、次のとおり重点目標を定め事業を進めます。
1.主要な産業の農林水産業や観光事業を支援するため、冬期間の交通の確保も含めた道路網の拡充整備を進めます。
2.災害を未然に防止するため、河川・砂防や海岸などの整備を進めます。
3.都市内交通の円滑化を図り地域の活性化を支援するため、北見市、留辺蘂町、置戸町、訓子府町、清里町において中心市街地活性化基本計画や商店街近代化事業と連携を図りながら関連道路などの整備を進めます。
これらの事業推進にあたっては、関係市町村並びに地元関係者とより一層の連携を図りながら、適切に事業を進めて参ります。
▲留辺蘂浜佐呂間線特1工事(護岸工) ▲湧別漁港修築工事2工区

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