〈建設グラフ1999年9月号〜〉

interview

「高速道路」「常陸那珂港」「百里飛行場の民間共用化」前進で、限りない発展ポテンシャルを持つ茨城県

茨城県土木部長 鈴木則夫 氏

鈴木 則夫 すずき・のりお
昭和16年8月9日生、日本大学理工学部土木工学科卒
昭和43年茨城県入庁 土木部河川課
昭和44年大宮土木事務所
昭和47年土木部河川課
昭和55年土木部河川課係長
昭和57年下館土木事務所工務第一課主任係長
昭和59年那珂水系ダム建設事務所調査課長
昭和62年下館土木事務所主査
昭和63年土木部河川課課長補佐
平成 3年水戸土木事務所工務第一課長
平成 4年水戸土木事務所道路整備課長
平成 5年久慈水系ダム建設事務所長
平成 6年土木部河川課技佐兼課長補佐(技術総括)
平成 8年土木部河川課長
平成10年土木部都市局長
平成11年現職
“つくば研究学園都市”を有する茨城県だが、昨年供用を開始した国際港湾の「常陸那珂港」を皮切りに、今年に入っての県新庁舎、国際会議場の落成、また、この7月に供用開始したばかりの「東水戸道路」「常陸那珂有料道路」など、2002年W杯サッカー開催地、常磐新線、高速道路の施策とともに、首都圏との連動性はもとより、世界的な視野までも意識し始めている。
これまで建設省の出向ポストだった土木部長席にこの4月、42年ぶりの生え抜きとなる前・土木部都市局長の鈴木則夫氏が就いた。鈴木部長は河川課長などを経ており、「つくば研究学園都市を築くとき、その基盤となる関連河川をきっちりと仕上げた思い出は印象深い」と河川経験に自信を覗かせる。
県の土木行政を担う抱負と、公共事業の再評価、地元業者の育成など、2号連載で鈴木部長にその真意を伺った。
土木部において早急に取り組むべきものとは
鈴木
少子・高齢社会の到来を間近に控えており、投資余力の残るうちに、真に必要な社会資本の整備を計画的にかつ重点的に進める必要があります。特に、本県においては、シビルミニマムとしての生活関連施設の整備や、高速道路・国際港湾等の発展基盤の整備が急務となっています。
また、本県も全国の例に漏れず、財政構造改革が大きな課題です。公共事業予算の確保も引き続き厳しいものと考えられるので、事業の重点化を進めるとともに、一方では、より少ない予算で高い効果を発揮させる様々な工夫、例えば、他機関・他事業との連携による事業執行をはじめ、リニューアルや適切な維持管理等による既存施設の有効活用などを図っていく考えです。
さらに、公共工事のコスト縮減対策や、県民へのアカウンタビリティの向上、入札・契約制度の改善なども、今後とも重点的に取り組んでいく課題と考えています。
――土木部施行の社会基盤整備と、茨城県の発展性については
鈴木
東京や成田空港との近接性、全国第4位の広大な可住地面積、温和な気候、豊富な水資源等、本県は地理的・自然的条件に恵まれています。
さらに、鹿島臨海工業地帯や筑波研究学園都市などの国際的プロジェクトのおかげで、世界的な科学技術や産業技術の集積も図られており、また、県人口もまもなく300万人に達するなど、全国でも有数の発展ポテンシャルを有する県と自負しています。
来るべき21世紀は、大競争の時代とも言われていますが、このような時代にあって発展を続けていくためには、国内外との連携や交流を支える陸・海・空の交通ネットワーク整備が重要かつ有効です。
現在、本県においては、北関東自動車道、首都圏中央連絡自動車道、東関東自動車道水戸線という新たな3本の高速道路の整備に加えて、東京と筑波研究学園都市を結ぶ常磐新線の整備、本県4番目の重要港湾である常陸那珂港の整備、さらには百里飛行場の民間共用化の計画が進むなど、この発展可能性を現実のものとするプロジェクトが並行して進められています。
本年度は、北関東自動車道の一部区間が開通する予定であり、また、昨年開港した常陸那珂港は外貿埠頭の供用開始を12月に控えているなど、これらの整備事業も着々と成果を現しつつあります。
加えて、全体で約1,840haにも及ぶ常磐新線の沿線地域開発も進みつつあり、今まさに本県の更なる発展の条件は整いつつあるといえます。
     
(次号へ続く)


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