interview-農林水産業構造の活性化(96/1〜96/2)

漁家も流通に関心を持つべき

求められる資源管理と国際秩序維持への理解

水産庁長官 東 久雄 氏

東 久雄 あずま・ひさお
昭和14年生まれ
昭和39年東大法学部卒
昭和39年農林水産省畜産局畜政課
昭和41年同局流通飼料課
昭和45年同課総務班総括係長
昭和47年4月大臣官房企画室企画官
昭和47年10月蚕糸園芸局総務課課長補佐(総務班)
昭和47年12月食品流通局野菜計画課課長補佐(総括)
昭和49年農林経済局国際部国際経済課課長補佐(総括及び総務班)
昭和51年埼玉県農林部農政課長
昭和53年水産庁漁政部漁政課課長補佐(総括)
昭和54年大臣官房秘書課監督官兼農林水産大臣秘書官事務取扱
昭和55年食品流通局野菜計画課長
昭和56年食品流通局付
昭和57年2月経済局国際部付
昭和57年5月在アメリカ合衆国日本国大使館参事官
昭和61年畜産局牛乳乳製品課長
昭和62年畜産局畜政課長
昭和63年大臣官房予算課長
平成2年経済局国際部長
昭和5年畜産局長
昭和6年経済局長
昭和7年7月現職
水産業は国内の厳しい経済情勢ともからみ、過酷な国際競争を強いられている。そのためか、特攻船による違法操業、越境操業も中には見られ、北海道ではロシア船に銃撃されたり拿捕されるなどの不祥事も発生している。これは漁民の資源維持・管理に対する意識の低さが、今日の事態を招いたともいえよう。水産資源は今や量的限界に来ており、このため国際条約に基づき、各沿岸国による資源管理の必要性が高まっている。したがって従来の遠洋、沖合い一辺倒の発想では通用しなくなった。そうした情勢から国際秩序を維持しながらも、どうすれば我が国の水産業を発展させていけるか。まさに将来は、日本の漁政を担う水産庁の政策にかかっている。東久雄水産庁長官は、現在の水産業の問題点を鋭く分析しており、今後に向けて行政、漁業協同組合、漁家が何をどう取り組むべきかについて、明確な理念を持っている。東長官に問題の核心と、今後の政策について語ってもらった。
――漁業は構造不況に入ってしまったのではないかとの悲観的な意見も聞かれますが、どう考えますか
構造不況というものをどう捉えるかにもよりますが、その意見には疑問があります。ただ、良い状況でないことは確かで、原因は漁業がいろいろな厳しい問題に直面しているということと、一般経済の動向が消費をかなり鈍らせていること、この2点から漁業に対する影響が出てきているのではないかと思います。
漁業が直面している問題は、一つには漁業の規制が内外ともに厳しくなってきているということです。
魚の世界全体での漁獲可能量は年間1億トンといわれています。魚は卵をたくさん産んで稚魚がたくさんできるが、成魚になるのはわずかです。それを漁獲するわけですが、その際、魚の生態系やバイオマスの中で、生き残って成魚になることにより、資源は保たれているのです。従って、成魚を一定量漁獲しても、その部分がまたうめられることになります。
しかし、それもある一定量を超えると即座に資源を悪化させてしまうわけです。水産資源に関する用語でマキシマムサスティナブルイールド(MSY)というのがあり、“最大持続生産量”と和訳されますが、その理論によれば、資源のピーク時を世界で利用したとしても上限は1億トンということです。
現況では、海上での利用量は約8千万トンで、残りの2千万トンは内水面での養殖を中心としたものです。したがって、海上では量的にはまだ余裕があるのですが、実際には様々な制約がありますから、実態としては上限に近い利用状況にあるといえます。それどころか、問題はそれを超えている部分も先進国にはあり、日本近海でもそれが見られます。先のMSYは釣鐘型のカーブを描きますが、この論理に基づけば最大限の資源利用をしていることになるのです。
しかし、開発途上国にはまだMSYの上り坂のところの段階にあるところもあり、漁撈を改善したり漁船を増やして漁獲量を増やす可能性があるのですが、先進国のほとんどはmsyを超えて下り坂に到っているところが見られます。
これを背景にして、国連海洋法条約が1982年に採択され、60か国が批准した1年後の段階で発効することになっていたのですが、深海底の鉱物資源の開発をめぐる先進国と途上国の意見の違いがあり、しばらくそのままになっていました。その後、深海底の資源開発で妥協が成立したことで批准が進み、ようやく昨年11月に発効したわけです。
その際、日本側もすぐに外務大臣の談話を発表して、平成8年の通常国会に日本国としても批准を行うべく準備を進めることを明らかにしました。これにより沿岸国による量的資源管理を主体とした体制ができあがることになります。
ただ、これについて北海道の方々は、1977年に200海里体制を敷いたはずではないか、と疑問を持たれると思います。当時は200海里までは自国の資源として活用できるという、沿岸国主義の考え方があったため、アメリカに続いてカナダ、それにロシア(当時はソ連)、ヨーロッパ各国が200海里体制を敷いたのです。ところがそうした200海里体制を敷くだけでなく、漁獲可能量を設定して適切な資源管理措置を講ずる義務も伴うというのが海洋法条約の趣旨なのです。ただ、義務に関する条項が発効していなかったため、日本も義務に対応する体制を整えないまま200海里体制を敷くという作業が行われたわけです。しかも、それは当時のソ連に対応したものであったことはご承知の通りです。
しかし、今度は条約として発効すると、義務が伴うことになり、今後は200海里以内の資源を適正に数量的に漁獲可能量を発表して沿岸国が管理しなければなりません。
そこで私たちは、海洋秩序が変わってくることを強調しています。日本もこの新しい数量による資源の適正な管理が必要になってくるのです。特に、中国、韓国と日本との200海里体制は特殊な体制になっていますが、中国、韓国とも条約批准の方向へ動き始めており、96年には批准へ向かいますから、日本としても早急に対応しなければならない状況になっているわけです。
今までは、どちらかといえばソ連へのガードという意味合いで敷いてきた200海里体制ですが、今度は中国、韓国に対してどうするかという問題が生じてきています。
しかし、そういう資源管理は世界的に取り組んでいかなければなりません。さらに公海での漁業についても、地域ごとの国際機関による資源管理という方向への条約が95年8月に成立し、これから批准手続きに入るなど体制が固まりつつあります。
このように世界全体が水産資源を最大限利用した結果、200海里内の沿岸国による資源管理と、公海においても国際機関による資源管理の2つの方向へ動きだしており、漁業は大きな節目を迎えているわけです。
また、資源管理の必要性は、国際的な動きのほかに、国内的には、漁獲努力量が資源量からみて過剰になった結果、今度は逆に急激に漁獲量が減ってきていることからも高まっています。イワシのような特殊な例もありますが、ほかの底魚類を中心に非常に漁獲が減ってきています。それは中国・韓国との競合関係もさることながら、資源を取り過ぎて漁船の1隻当たりの漁獲量が極端に悪くなっており、資源的にそれを管理しないとジリ貧になっていきかねないという背景によるものです。
もう一つは経済情勢が芳しくないこととも関係があると思いますが、魚価が安いことが問題です。水産物の場合には沿岸・沖合の魚種を除いてほぼ輸入が自由化されています。その輸入品の増加により、国内での生産量が減っても魚価が上がらない場合があるわけです。漁獲量が減り、価格が低迷して経営が悪化するという状況が、水産界としてかかえている問題だと思います。

資源管理型漁業へのムードづくり

――資源管理については国際条約で守っていけるが、価格の問題になると政策的な主導が必要になってくる、ということでは
――東
漁業とは“競争して取る”、“魚がそこにいれば取ってくる”という性格のものですから、資源管理をどうするか、法制上の整備もしながら進めていかなければ、皆さんの利害調整は難しいだろうと思うのです。資源管理に関しては国際的な動きと共に、一方では、日中・日韓の漁業協定があります。これは、日本の漁業が強い時にできたので、今では非常に難しい問題をはらんでいます。ただ、両国とも量的管理に向かわなければならない方向にあるので、じっくり話し合って解決へ持っていきたいと考えています。
経済的問題については、ある意味では、いまのような資源を食いつぶす形ではなく、ある程度の調整をして、資源を利用していくことにより、一隻当たりの漁獲量を最大に仕向けていくことが有効策ではないかと思うのです。
例えば今年の秋サケ漁の場合、確かに価格は低迷していますが、量的にはかなりよいので、今のところ所得は全体的に前年並みという状況です。したがって漁獲量が非常に重要なポイントなので、そこが改善されていく方向を取るということ、これが今後の漁業経営の根本になるところだと思います。
しかしながら、経営体として非常に苦しい状況が、現実には目前にあるわけで、これに対しては金融措置を中心にした対応を考えていきます。
――北海道でも密漁船が出たり、ロシアの警備艇にだ捕される漁船が出ていますが、国内における違法操業の対策について罰則強化などの可能性は
――東
罰則というのは難しい審査を経て規定が設けられるわけです。私たちが法律で罰則を設ける時は、必ず法務省と連携してバランスをとらなければなりません。したがって、容易なことではありません。
かつて、罰則が強化された例としては、罰金体系が引き上げられたこともありました。しかし、罰則を強化するよりも、違法操業が発生しないように防止すること、つまり取り締まりを厳重にするということが大事だと思うのです。知らずに違法行為を犯す場合は、法をしっかり理解をしてもらい、協力してもらうこと、違法操業を知っていて自分だけ抜け駆けするという場合は、皆が同じことを始めたらどうなるのかを理解してもらうことだと思います。そうした理解を深めていかなければ、皆で資源を枯渇させてしまうことになります。
もう少し待てば立派な資源になるものを、小さいうちに獲ってしまって、むだな使い方をすれば、将来、どんな影響が出るのかをしっかり理解してもらわなければなりません。お互いに我慢すべきところは我慢をして、秩序ある操業をしてもらう、これが基本だと思います。その上に立って取り締まりがあると思うのです。
――漁家自身のモラルのあり方が問題かと思いますが、後継の若い人たちに対してはモラルやルール遵守への意識を高めるための研修なども必要なのでは
のために私たちが奨励するのは、“資源管理型漁業”のあり方について皆で話合い、我慢すべきところでは我慢しあって、最大限に資源を活用するムードをつくり、自主的に意識を方向づけることです。それにより、お互いに抜け駆けはやめ、皆が豊かになろうという意識を持つことが大事だと思います。北海道の一部などはそれが進んでいる地域がありますね。シシャモ漁の資源回復のための禁漁がそれであり、また、秋田県のハタハタ漁の例も同様の試みで、いずれも地先の魚種中心にならざるを得ないのですが、話し合いによる資源管理型漁業の理想的な姿だと思います。全体的には地先だけのことではなく、話の展開が広域的になりますからこれは何らかの形で法的な措置を取り、適正な管理体制へと方向づけなければならないと考えています。 日本の漁業は、明治時代以前は沿岸漁業に限定し、大型船の建造を許可しないという政策が取られてきましたが、明治以後になると動力船を利用した沖合漁業への方向が出てきました。沿岸とは日帰りで操業ができる範囲を指しており、沖合とは1週間から10日ほどかかる範囲を指していますが、さらにその後遠隔地で操業する遠洋漁業も出てまいりました。しかし、遠洋漁業はカツオ・マグロを除いてほぼ各国から締め出されてきたという経過をたどりました。 したがって、沖合と沿岸の漁業振興が今後の課題であり、沖合資源をどのように確保して行くかは各県ごとではなく、全体で考えなければならないのです。漁獲量が下がってきている沖合資源を以前の状態に回復させていく一方、沿岸ではほぼ横ばいの漁獲量となっていますが、これを維持して行くという方向へ転換して行かなければならないのです。
――沿岸漁業で生産力を高めていくために、研究にも力が入っているのですね
そうです。沿岸を中心にした資源量の的確な調査と栽培技術に関する研究を鋭意進めており、最近ではついにクロマグロの稚魚を育成できるところまできました。栽培技術の研究は、卵から稚魚を孵化させることまではほとんどの魚種で可能なのですが、幼時に何を食べているのか、その成長過程での生活実体の把握が困難なのです。というのも、成長過程で食餌の状況がさまざまに変わるらしく、ある一時期にエサになっていても、次の成長段階からは違うものがエサになる、といった具合です。
しかし、こうした研究の積み重ねによってある程度の稚魚が育成できるようになったのです。今後も、あらゆる魚種についてまだまだ研究を続けなければならないので、その体制を強化して行く方針です。

――北海道では檜山管内の8漁協による大型合併が行われました。このように、漁協・漁家の経営の苦しさは以前から聞かれますが、新年度の新規政策としてはどんなものを考えていますか
まず、漁協と漁家とは経営主体が異なるので、分けて考えるべきでしょう。漁協合併は、管理経費の増高という問題が背景にあり、それが顕著になるのは例えば信用事業です。農協合併にも見られるように信用事業は機械化しオンライン化が進んでいますが、漁協の場合は全国的に見ても機械化がまだ1割なのです。そうなると、資金量からいって現体制ではとても間に合わないので、体制や労力など管理経費の削減を含めて合併を進めて行かなければならないわけです。
また、漁協の事業といえば、信用・販売・購買・共済・指導などですが、特に販売・購買事業について見ると、浜ごとではロットが小さいだけに共同販売・共同購入のメリットも小さい。それが合併を進めて行く要因になります。指導事業でも共通性のある地域は広域的な指導が可能であり、共済事業についてはすでに広く行われています。これらの他にも通信網、道路網の整備が進んだことで漁協間の連携がとりやすくなったことも反映しています。
一方、漁業者の経営の問題については、個人の経営に関わることなので、従来から低利融資を基本に支援をしています。沿岸漁業では、まだ体力がかなりあるので新しい投資や、より良い漁業体制をとるための投資的経費を中心に経営の資金を供給する形をとっています。運転資金については、それほど大きな金額ではありませんが、経営的に行き詰まった際には経営維持・安定のための低利資金も用意しています。
問題なのは、巨額の経費を使っている中小漁業といわれる漁船漁業者なのです。これは経費が大きく、そのかわり収入も大きいのですが、わずかなブレが非常に大きな経営危機をもたらす場合が多いのです。これらには一定の限度額を設け、その範囲内であればいつでも借り入れできる制度をつくり、運転資金に対しても低利資金を提供できる体制を平成7年秋からとっています。8年度も継続する方向で、枠を確保して十分に応えて行ける体制をとりたいと考えています。

販売に対する意欲を

――魚価の不安定さも問題では
多くの漁家は魚価の安定を渇望しているものと思われますが、これについては調整保管事業という形で魚価安定を目指すことになっています。8年度はこの運用改善として事業展開していくことになります。
それにしても、魚の価格というものは、浜の価格と小売店に並ぶ時の価格にかなりの差があるのですが、その原因となる中間経費については、まだまだ合理化できると思うのです。そのためには浜の努力に負うところも相当あるものと思います。というのも、これまでは、ただ“獲ってきたから、さあ売れ”といった具合で、漁獲後の競りには無関心だったケースが多かったのです。例えば、極端な例ですが、船が着いたら主婦らが待っており、亭主の方は、荷揚げを手伝ったら魚を持って行け、後は知らぬという風潮だったのです。その点で、私としては漁業者が市場の動きにもっと鋭敏になって販売方法を工夫し、もう少し高く売れないものかと思います。魚の場合には腐敗を防止したりハラワタを抜いたり、切り身にするなどの作業も伴うので難しいかも知れませんが、もう少し浜値と小売値の差を抑えられる可能性もあるのではないかと思うのです。
私は、7年7月まで農協を所管する部局にいましたが、農協の野菜についての販売努力は相当なものだということを知りました。例えば、ある農協の職員が中央市場に出荷された野菜の値のつけ方を見ていて、納得のいかない値のつけ方をするとすぐにクレームをつけるほど熱意をもっているのです。また牛肉の競りでも、ある農協では地元産の牛を出荷した際に、東京・芝浦のと場で競りを見ていて安値がつけられると、なぜそんなに安いのか理由を究明するのです。必ず安値の原因を聞いて帰って行くというように、市場の動向には非常に敏感に反応する体制をとっています。もっともこのためには、農協自身の力が強くなければならず、そのために合併し、力をつけ、販売に携わる人材も育てるという方針をとってきたわけですが、これは漁協の販売についても同様のことがいえるのではないでしょうか。自ら積極的に販売努力をすることは、これから大きく求められて行くものと思います。
例に挙げたのは力のある大農協で、だからできるのだという反論もあるかも知れませんが、販売に対するその意欲は、漁協も意識してほしいと思いますね。魚の場合は加工という途中作業がありますが、消費者ニーズを的確に捉え、売り方というものを漁協中心に確立しておくべきでしょう。決して漁業者対漁協という対立関係であってはなりません。漁協はあくまでも漁業者の協同組合なのですから、漁業者も漁協に出荷したらそれでよしとせず、自分が海から取ってきた魚がどこでいくらで売られたのか、市場にまで関心の目を向けて、安ければ漁協の尻をたたくほどでなければと思います。ただ、獲ってきたから売ってくれというのではなく、良いものを高く売ることを念頭に置いて収穫物の形を揃えたり、船内保存の方法を工夫するなど、ていねいな取り扱いに注意してほしいものです。
――その意味で、模範になるような漁協はありますか
もちろん、漁協の中でも静岡や宮城、千葉の一部など、懸命に努力しているところもあります。それらは付加価値をつけることもさることながら、自分たちの商品をいかに高く売るか努力をしています。
――農業の場合は基盤整備事業などにかなりの国費が注ぎ込まれていますが、漁業については「海が漁民の畑」などといわれながらも、農業に比べて事業費が少ないとの声も聞かれますね
漁業の場合には、海岸・漁港・漁場と三種類の整備事業があるのですが、全体で3,000億円をやや下回る程度の公共等予算を組んでいます。それに対し、農業では2兆円強でしょうか。しかしこれは、生産額で比較すべき性格のものではありませんが、相当の比重だと私は思っています。というのは、例えば漁港の整備などは農地の基盤整備と異なり、漁業者に受益者負担をほとんど課していません。都道府県または市町村が管理しているので、私たち国は補助金として支出しており、結果的には漁業に対する事業費を合計すると、2倍ほどになるのです。農業の場合は国営事業が大きく、地元負担が必ず伴い、これには個々の農家負担も伴いますから、それを考慮するなら漁業について国費が少ないという見方は適切ではないと思いますね。 まず、理解してもらいたいことは、漁港の数が非常に多いということです。計算では、日本の海岸線の12kmに一つの漁港があるという状況です。ちなみに北海道は11kmに一つでしょうか。皆が自分の庭先のように漁港に船を泊めたいというわけで、その気持ちは十分にわかるのですが、非常に数の多い漁港を対象にバランス良く整備を進めるため、個別に見ると事業規模が小さなものに感じられるわけです。関係者からは「不足だ」といわれますが、国の予算の全体的なバランスの中では、決して見劣りのするものではないと思っています。現在、第9次漁港整備事業が進められていますが、計画に対しては若干プラスになっています。
――北海道の水産に対してアドバイスを
北海道は水産王国ですから、水産については全体としてなかなか奮闘しており、他府県が範とするべき点が多いと思います。そこで私としては、日本の水産が当面している様々な問題に、北海道が率先して取り組んでほしいと思うのです。何しろ日本の水産業の大基地なのですから、指導性を持って全国にも気を配りながら取り組んでほしい。道漁連は、不幸な経験をしたことは事実ですが、今や立派に立ち直ったのですから、漁協とともに指導力を発揮してもらいたいと思います。

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