建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ1997年6月号〉

interview

日本赤十字北海道看護大学 平成11年4月開学に向けて最大の支援

機構改革で職員定数を30人削減

北海道北見市長 小山健一 氏

小山 健一 こやま・けんいち

昭和11年7月4日生まれ、北見市出身、北大農学部林学科卒。
昭和 34年 4月 北見市役所奉職、総務部総務課に配属
60年 4月 衛生部長
62年 1月 農務部長
平成 3年 6月 都市住宅部長
6年 12月 北見市退職
7年 4月 市長に初当選
道東の拠点都市・北見市は日本赤十字北海道看護大学、北見芸術文化ホール、市庁舎、介護支援センターなど大型の建設事業(計画)が目白押し。しばらく低迷していた人口も一昨年、11万人の大台に乗り、市内は活気にみなぎっている。国の新年度予算で自動車専用道路・北見道路の建設に初めて調査費が認められたほか、国立北見工業大学に博士課程が開設された。2年前の市長選で現職を破って初当選した小山健一市長は早くも任期4年の折り返しに入り、ごみの分別収集、機構改革の着手など着実に公約の実現に取り組んでいる。小山市長に新年度の重点施策を聞いた。

事務事業の効率化を推進
―市長就任から早くも2年が経ちましたが、昨年11月には機構改革を実施するなど、体制づくりも着々と進んでいるようですね
小山
これも行政改革の一環で、行革は私が市民にお約束した公約の中の大きな柱の一つです。合わせて仕事の進め方も、これまで係単位だったのを課単位に改めたところです。市長部局は9部を8部にし、高齢化対策、環境問題、公共事業の一元化などを柱に、事務事業の効率化を一層推進したいと考えています。
平成9年度からは職員定数を30人減らし、最終的には105人の削減を目標にしています。
―この2年間を振り返って、市長としての実感は
小山
市長職は想像以上に激職です。市民に公約した高齢化対策、ごみ処理、行政改革など一部は実行に移し、ようやくスタートしたというのが率直な感想です。毎日、毎日が勉強ですね。
厳しい財政状況の中で、市民の負託に応えるため、公正効率的に事務事業を進めなければならないという、大変な2年間だったというのが実感です。
ごみの分別収集がスタート
―9年度の新規事業、政策予算のポイントは
小山
懸案事項の中では、日本赤十字の北海道看護大学(1学年定員100名)が平成11年4月の開学に向けて、いよいよ今年から校舎の建設が6〜7月に始まります。市としても最大の財政支援を考えています。
看護大学の設置は、学園都市を目指している北見市の発展にとって大きな原動力になりますし、高齢化時代を迎えて医療看護の高度化に果たす役割は大きいと期待しています。
建設工事がスタートするのでようやく形として目に見えてきたところです。ある意味では将来に向けて最大の事業かと思っています。
もう一つは環境対策のごみ処理問題です。ごみの減量化と資源化を図るため、この4月から分別収集をスタートさせました。いままでは「燃えるごみ」も「燃えないごみ」も共に埋めていましたが、埋め立て用地にも限界があるので、向こう3〜4年の間にリサイクル施設と焼却施設、最終処分場を造ることにしています。
介護支援センターを建設
高齢化対策では、老人保健福祉計画の中で平成11年までに実施するメニューを想定しています。ソフト面ではヘルパーの増員は既に手掛けていますが、デイサービス、ショートステイなどを行う介護支援センターを総事業費10億円で建設することにしており、新年度に着工を前提とした予算を組んだところです。このように、私としてはある程度、市民の期待にこたえられる予算を組めたと思っています。
ただ、北見市の財政状況も非常に厳しいので、公共事業については抑制の傾向に向かわざるを得ません。ただ当面は看護大学、福祉施設など大型事業が続きますし、市民の要望が強い道路整備にも配慮していく必要があります。
芸術文化ホール、平成10年2月オープンへ
―芸術文化ホールの建設が進んでいますが、10年2月オープン後の活用方法についてはどのように考えていますか
小山
中ホールの建設構想に始まって10年間議論してきた経緯がありますが、音楽ホールと多目的ホールの二つのホールを持った複合施設になります。管理部門の一部は民間に任せるなど、運営管理面であまり財政負担がかからないように工夫するのが基本的なスタンスです。
そこで活用方法ですが、多目的ホールは生涯学習の拠点施設として有効利用できます。特に、北見市のことぶき大学は抽選を行うほどお年寄りから好評です。
音楽ホールの活用が最大の課題です。現在、北見文化連盟と活用方法を協議しており、芸術性の高い中央の芸術文化を呼び込むなど、この地域の文化を育てていく一翼を担えるように芸術文化ホールの機能を充実させたいものです。
高速道路の整備促進を
―今後のまちづくりにおいて、国や道への要望などは
小山
国の事業の中では高速道路の整備を推進してほしいですね。幸い、今年はバイパス整備のため北見道路の予算が付き、調査がこれから始まると思いますが、これなどは高速道路と同じタイプの自動車専用道路で、横断自動車道の延長線上になりますから、一日も早く完成させてほしいと願っています。
高齢化時代を迎えて介護保険の導入も予定されているので、遅れているハード面の整備を支援してほしいと思っています。公共投資に対する批判がありますが、道内の地方都市では生活道路の整備が遅れているのが現状です。また、中央との間に背骨を通す意味で高速道路は早急に整備してほしいと思います。
しかし、北見工業大学に今年から博士課程がスタートし、学園都市北見として、さらに一歩踏み出すことになったことは朗報です。 

HOME