<建設グラフ96年11月号>

interview

高規格幹線道路・深川留萌自動車道の幌糠・留萌道路建設に着手

人口減少、高齢化が進む管内の事業支援などを積極的に実施

北海道開発局留萌開発建設部長 福田幸一郎 氏

福田 幸一郎 ふくだ・こういちろう
昭和18年1月1日生、43年東京都立大工卒
昭和50年道開発局小樽開発建設部蘭越道路改良所長
昭和51年道開発局小樽開発建設部寿都道路改良所長
昭和52年道開発局土木試験所道路研究室副室長
昭和56年道開発局帯広開発建設部道路課長
昭和58年道開発局道路計画課長補佐
昭和59年苫小牧東部開発株式会社
昭和62年道開発局札幌開発建設部札幌道路所長
昭和63年道開発局留萌開発建設部次長
平成 2年道開発局帯広開発建設部次長
平成 3年道開発局札幌開発建設部次長
平成 4年道開発局情報管理室長
平成 5年6月道開発局道路維持課長
平成 7年11月道開発局函館開発建設部長
平成 8年7月現職
今年7月1日付人事で函館開発建設部長から留萌開発建設部長に転任した福田幸一郎氏。留萌管内は、人口減少と高齢化に伴う第1次産業の後継者不足が深刻な問題となっており、その打開策として各自治体が積極的な事業展開をしている。開発建設部としては、その支援事業とともに早期開通に向けて高規格幹線道路「深川留萌自動車道」の着手や重要港湾「留萌港」の港湾機能の充実など、地域社会に貢献する事業展開を行っている。福田部長に、実施している各事業の具体的な取り組みについて語ってもらった。
――管内状況と課題について
福田
留萌管内は人口が約7万人で、そのうち約43%を占める約3万人が留萌市に集中しています。全道各地でも大きな問題となっている人口減少は、留萌市ではやや鈍化しているものの、他の町村では急速に進んでおり、高齢化などの問題も大きな課題となっています。
管内の産業は、基幹産業である第1次産業が非常に厳しい状況となっており、先の人口減少・高齢化に伴う後継者不足が深刻な問題になっています。
この現状を打開するために各市町村とも第1次産業の振興や農水産物の流通の高度化などをはじめ、暑寒別天売焼尻国定公園を中心とした広域的な観光産業に活路を求めています。さらに、高齢化社会に対応した暮らしやすいまちづくりの実現へ向けて積極的な事業展開を実施しています。
開発建設部としてもそれら自治体の現状を踏まえ、地域からの要望などに基づき、高規格幹線道路の早期開通や留萌港の機能拡充に向けて着実な事業推進を心がけているところです。
――平成8年度はどのくらいの公共投資が行われますか
福田
平成8年度の当初予算は、298.86億円で前年度と比較すると2%増額となっています。
事業別に見ると、ダム・港湾事業については減額していますが、河川・道路・漁港事業では微増。農業農村整備事業については苫前ダムの堤体工などを継続して施工するほか、民安ダム・雄信内ダムの堤体工着手に向けての準備が始まるため、大幅な増額となっています。全体的に継続事業を主体に重点的・効果的に事業促進を図っているところです。
――各事業について具体的にお伺いしたい
福田
治水事業では天塩川下流の改修事業と留萌ダム事業を実施しています。
天塩川下流改修事業は、北川口地区の浚渫と樋門の整備、円山地区の築堤と樋門の整備、間寒別川の護岸工事を継続して実施しています。また、天塩川河口の市街地では護岸と高水敷の整備のほか、天塩町のニューカントリー事業の支援も行っています。
留萌ダム事業は、留萌川の洪水調整と流水の正常な機能の維持、留萌市の水道用水供給を目的とした特定多目的ダム「留萌ダム」を建設しており、現在は付替道路工事を継続して実施しています。
道路整備事業については、高規格幹線道路「深川留萌自動車道」の沼田幌糠道路において、峠下橋下部の継続と先行して工作物の製作、暫定土工を実施しているほか、延長13kmの幌糠留萌道路の建設にも着手しています。
このほか、一般国道では231号線の危険個所の解消を図る法面保護を増毛防災として実施し、増毛バイパスの改良・舗装と暑寒別橋を完成させます。また、留萌市内の交通渋滞緩和を図る留萌拡幅では留萌大橋の完成させます。
さらに、232号線では延長1.4kmの小平道路の建設に着手しているほか、天塩バイパスにおいて新六志内橋上部と改良を実施しています。
――管内では、留萌港の再生を地域振興のポイントとする見方がありますね
福田
そうですね。留萌港では、三泊地区に管内初の耐震強化構造を備えた−12m岸壁に着手するほか、港内施設の充実、港内静穏度の向上を図る各工事を実施しています。また、各地方港湾においても航路の安全確保、港内の静穏度の向上、港内施設の充実を図るため、泊地浚渫、防波堤、岸壁、道路などの工事を実施しています。
この他、苫前漁港では外郭施設の建設に着手し、遠別・雄冬漁港では防波堤の延伸や護岸防波の改良などを実施しています。
――UR対策も着実に進められていると思いますが、現況は
福田
農業農村整備は、先にも述べたとおり今年度の事業費が大幅にアップしており、国営かんがい排水事業では、苫前地区の用水路などを継続施工しているほか、苫前二期地区で苫前ダムの堤体コンクリート打設も継続して実施しています。
また、天塩沿岸地区では仮締切盛土と肥培施設の施工、雄信内地区ではダムの工事用道路を実施しています。
直轄地すべり対策事業では、羽幌二股地区の集水井工と堰堤工などを継続施工し、国営総合農地開発事業サロベツ第1地区では、農地造成整備などを本年度内に完了させるよう施工しています。
国営畑地帯総合土地改良パイロット事業では、天塩平原地区において農地造成と肥培施設等の継続施工を実施しています。
こうした国の直轄事業は、地域の政策を後押しするものでもあるので、今後も地域の事業と歯車をあわせながら進めていく方針です。

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