<建設グラフ96年10月号>

interview

北一条地下駐車場整備がスタート

都心部道路整備に一言

北海道開発局札幌開発建設部長 斉藤智徳 氏

斎藤 智徳 さいとう・とものり
昭和20年3月22日生まれ、千葉県出身
東北大学大学院工学研究科土木工学卒
昭和44年札幌開発建設部
昭和50年帯広開発建設部帯広道路事務所工事課長
昭和52年室蘭開発建設部室蘭道路事務所第1工事課長
昭和54年北海道開発庁地政課開発専門官
昭和58年札幌開発建設部道路調査課長
昭和59年北海道開発局建設部道路計画課課長補佐
昭和61年同道路企画官
昭和63年網走開発建設部次長
平成 2年北海道開発庁計画官
平成 4年北海道開発局建設部道路計画課長
平成 6年室蘭開発建設部長8年現職
7月1日付で室蘭開発建設部長から札幌開発建設部長に就任した斉藤智徳(さいとう・とものり)氏。札幌開発建設部は、慢性化する都市部の交通渋滞の解消に向けて、平成5年度に策定した「新渋滞対策プログラム」による整備促進のほか、「北一条通り地下駐車場」をはじめ、「国道230号線の拡幅事業」、「川沿立体交差事業」「国道337号のバイパス整備事業」など大型事業が目白押しだ。このほか、工事が最盛期を迎えた高規格幹線道路「深川・留萌自動車道」や農業農村整備事業、空港整備事業、国営公園整備事業の取り組みについて具体的に語っていただいた。
――札幌市のような都市部における土木事業の問題点は
斉藤
これは以前から抱いており、今でも変わらない将来への懸念ですが、都市部では地下埋設物が非常に多く、道路整備においても今後の地下利用においても、当初から共同溝を設置すべきだったと思うのです。
現在、東京都内では遅ればせながら共同溝の設置を進めています。もちろん、道路管理者だけでなく水道、下水道、電力会社、ガス会社、nttなどが交替で掘り返すため渋滞が慢性化するという事態があるからです。しかしながら、すでに完成したものを再び再編整理することは、格別の困難を伴うことになるのです。
道都・札幌市も早晩、同様の事態が発生することは十分、予測できたはずですから、これを反面教師にして当初から着手しておくべきだったのではと思いますね。

――札幌市中央区北一条通地下駐車場は、都心部にあっては珍しく大規模な工事ですが、どんな構想なのでしょうか
斉藤
この地区は、札幌駅から大通りにかけて商業、業務機能が集約された札幌市の中心地で、近年の自動車交通量の増加、荷捌き車両による路上駐車などにより、交通渋滞が慢性化しています。これを解消をするため、道路地下空間を利用した地下駐車場を設置しようというものです。
駐車場は収容台数163台で、駐車形式は自走式。構造は地下2層構造で地下2階部が駐車場になります。地下道路は地下1階で、公共地下通路は札幌駅前通り公共地下通路(地下街)とアクセスすることになります。完成は平成12年の予定です。

――豊浜トンネル事故以来、トンネルの安全性が注目されていますが管内のトンネルについては
斉藤
トンネル坑口部などの点検については、すでに公表されていますが、管内においてもトンネル・覆道の計38箇所について点検を行いました。
その結果、早急に対応を行うべく詳細調査を進めており、対策が容易なものについては平成8年度中に、また対策規模の大きなものについては8年度中に浮き石除去、崩落土除去、ロックネットなどの応急対策を実施し、9年度から引き続き本体策を積極的に実施していきたいと思っています。

――平成9年度概算要求に向けてのポイントは
斉藤
平成9年度は、第11次道路整備五箇年計画の最終年として、北海道地方版の「ぬくもりと豊かさを育む北の道」をガイドラインに、一層の道路整備の推進に努める考えです。このガイドラインは、「交流」、「活力」、「くらし」、「環境」、「ふゆ」の5つの基本施策が柱となっているものです。

――高規格幹線道路の整備は
斉藤
現在、高規格幹線道路深川留萌自動車道の「深川・沼田道路」、「沼田・幌糠道路」について事業を促進しています。特に「深川・沼田道路」については、部分的な供用を目指し整備を急いでいます。
これと一体となって、地域の連携による新たな集積圏の形成、集積圏相互の交流の促進、集積圏と交流拠点などとの連結を図る地域高規格道路についても、計画路線道央圏連絡道路の「調査区間」、「整備区間」の指定をふまえ整備・調査を進めています。

――一般国道や開発道路については
斉藤
国道については、452号不通区間や冬期不通区間の解消を軸に整備を進めており、開発道路は、美唄富良野線・富芦道路及び幌子道路を中心に6路線の整備に力を入れています。
また、12号線岩見沢市で推進している「ふれあいのまちづくり事業」を促進し、地域活性化を支援するほか、通年的な観光・レクリェーション活動を支援する道路整備として、452号西芦別局改、北芦別道路、沼の沢改良の整備、安全かつ安心な暮らしを支える災害に強い道路整備として、231号雄冬災害整備などを推進しています。

――農業農村整備事業については
斉藤
基幹的な農業用水施設の整備を行い、水利用の安定と合理化、農業上の土地利用の高度化を図るほか、土地利用の再編と地域活性化に必要な多面的整備を行い、農業の生産性の向上と農業構造の改善も図ります。
また、地域の総合的発展に寄与するため、国営かんがい排水事業と道営水環境整備事業と連携した用水路整備を行います。
今年度は、国営かんがい排水事業「空知中央用水(一期)地区」、国営農地再編整備事業「美葉牛地区」に新規着工します。

――空港整備事業について
斉藤
新千歳空港は、第B期事業として、エプロンの新設や空港需要の増加に対応するための施設整備などを実施します。
また、丘珠空港は、施設改良の整備のほか、老朽化の進んでいる誘導路などの施設改良整備を行います。

――国営公園整備事業について
斉藤
滝野すずらん丘陵公園次期開園地域である中心ゾーンの整備を継続して実施します。
滝野すずらん丘陵公園は、札幌市中心部から南へ18qに位置し、車で約30分程度の南区滝野地区にあります。計画面積は約400ha、豊かな自然と都市部から至近の利便性を生かして、札幌市を中心とする広域的なレクリェーション利用に対応できるよう、昭和53年度から国営公園としての整備に着手したものです。現在は、渓流ゾーン、保全ゾーン及び宿泊ゾーンの一部の130haを開園しています。
平成9年度は、次期開園エリアである「ネイチャーガーデン」「プレイガーデン」の基盤施設の整備を促進するとともに、「ウインターパラダイス(ファミリーゲレンデ等)」関連施設を重点的に整備する予定です。


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