建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ1998年4月号〉

interview

15万人都市を見据えた基盤整備を促進

アメニティネットワーク、rtn、陶芸の里事業に力点

北海道江別市長 小川公人 氏

小川 公人 (おがわ・きみと)

昭和16年9月1日生まれ、江別市出身、道立江別高校卒。
江別市職員、江別市議会議員、同市議会副議長等を経て平成7年5月、江別市長に就任、現在1期目。
任期満了日は平成11年4月30日。

江別市は札幌市のベットタウン、学園、研究都市として15万人規模の理想的な環境都市を目指している。平成7年5月に就任し、今年で任期最後の年を迎えた小川公人江別市長に抱負や政策について語ってもらった。
―任期最後の年を迎えましたね
小川
そうです。平成10年は、私にとって市長任期の最終年にあたる仕上げの年となります。したがって、特に10年度予算編成においては、公約実現を確実にしたいと思います。
新総合計画後期10ヵ年計画を基本とし、今日的課題である市内の経済の活性化、次代を担う子供たちの環境への配慮、高齢化やノーマライゼーションの対応、都市環境の整備などの行政需要を的確に受け止めることにより、時代の要請に応えた街づくりを進めます。
―具体的にはどう取り組みますか
小川
大きく変わりつつある状況に対処し、江別市の将来を見据えた政策を実現していくためには、街づくりの主役である市民本位の視点から行政の守備範囲や既存制度などを根本的に見直し、政策の優先順位や経費の節減合理化などを不断に進めることにより、効率的な組織の確立と新たな投資財源を確保するために行政改革を実行することが不可欠であると考えます。
―将来の江別市は、どんな地域的役割を果たすべきと考えますか
小川
江別市は道央圏の中核都市として、近隣市町村からその役割に大きな期待が寄せられています。一人ひとりの市民が、都市の利便性を享受し、自らの価値観に応じた多様な生き方と、より広域的に自由な交流を促進するため、近隣市町村の自主性と独自性を尊重しつつ、相互補完、機能分担のもとに均衡ある発展と圏域の形成に寄与することが必要であると考えます。
地域高規格道路の「道央圏連絡道路」は、新千歳空港から石狩湾新港、小樽港を連結し、道央都市圏のバイパス機能を果たすとともに、地域の振興、活性化や経済、文化の発展に寄与することで、広域的な都市圏の形成を促進することを目的として計画されました。
現在、江別市においては石狩川の美原大橋の架橋工事が着工されるなど、各区間での整備が進められていますが、沿線の各市町村では、農・工業、都市開発、観光など各種のプロジェクトを構築し、それぞれの機能分担についても検討していく必要があると考えています。
―よく都市の理想的な人口規模は15万人とも30万人ともいわれますが、江別市は15万人を目指していますね
小川
15万人都市を目指す最大の目的は、江別市の魅力を最大限に生かした本格都市の条件整備です。その視点は、常に社会経済トレンドを先取りした確かな政策選択と都市の成長条件を豊かに創造していくことが求められています。
江別市は、その発展生成、或いは社会経済システムの変革や、地勢・地理的条件から、江別地区・野幌地区・大麻地区と大きな3つのブロックに平均した人口が配置され、バランスよく発展し、今日に至っているのですが、それだけに平均化され、都市の顔が強調されていないとの指摘があります。
15万人都市のグランドデザインが求められ、その中で、都市軸・都心の形成など21世紀に向けた、本格都市としての都市マスタープランを策定し、セントラルスクエアを中心とする都市構造や都市機能の高次化が緊急の課題となっています。
―具体的にはどんな施策に取り組みますか
小川
まず、アメニティネットワークの形成があります。
最近は都市化の進展とともに、今まで身近にあった自然が失われつつあります。市民が憩い散策し、健康を増進し、明日へのエネルギーとするかけがえのない生活空間、アメニティネットワークは都市のオアシスであり、命の源泉ともなります。"江別市に住んでよかった、住み続けたい"という快適空間創造は市域の公園化をめざすものであり、21世紀街づくりの大きな課題です。
他にも、RTN(先端技術頭脳集積地)計画を推進しています。これは、文教都市から先端技術研究都市へと、江別市が道央圏の本格都市として、21世紀に向けて発展する都市基盤づくりの根幹を成すものです。
研究施設の集積を図るとともに地場産業の高度化などに資するため、誘致を推進することが大きな課題です。
―市立病院の整備も進んでいますね
小川
はい。新しい市立病院は患者のアメニティを重視したものになります。人工透析を始め、出来るだけ設備を整えていますが、採算性を維持していくのが大変です。
―江別市といえば、やはり「レンガの街」というイメージが強く、その知名度も高い。それを活用するのも一策では
小川
そうですね。「レンガの街」江別は、良質な原料とともに、北海道を代表する窯業産地として、確かな地位を築いてきました。今日、レンガは装いを新たに風格ある建築・都市景観素材として注目されるに至っています。
陶芸の里事業は、rtnパークに隣接し、江別市が誇る一大文化ゾーンの形成であり、21世紀に伝える江別市民の歴史的継承事業です。
―地域振興に向けて国に道に対する要望などは
小川
道路整備をとにかく急いでもらいたいものです。道央圏連絡道路をはじめ、国道12号、275号の4車線整備や、道道では札幌北広島環状線、江別長沼線の整備促進。江別恵庭線と東雁来江別線の4車線整備などを進めてほしいですね。

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