建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ1997年12月号〉

interview

留萌港から本州へのフェリー就航に大きな期待

関係市町村と密接に連携して各事業を推進

北海道開発局留萌開発建設部長 杉岡博史 氏

杉岡 博史(すぎおか・ひろし)

昭和23年2月2日生まれ、45年北海道大工学部卒。
昭和 50年 北海道開発局道路計画課企画第2係長
51年 建設省
52年 土木試験所土質研究室主任研究員
54年 室蘭開発建設部室蘭道路第1工事課長
57年 日本道路公団札幌建設局工務課長代理
60年 札幌開発建設部道路建設課長
61年 北海道開発局道路建設課長補佐
63年 開発土木研究所維持管理研究室長
平成 元年 北海道開発庁地政課開発専門官
3年 函館開発建設部次長
5年 室蘭開発建設部次長
6年 札幌開発建設部次長
7年 北海道開発局機械課長
9年 7月 現職

この7月に北海道開発局機械課長から留萌開発建設部長に赴任した杉岡博史部長にご登場いただいた。杉岡部長は、「管内の情勢は確かに厳しいが、留萌市を中心として誘致活動が盛んになっている留萌港から本州へのフェリー就航が実現すれば、産業の流通コストの低減や観光客の増加など、管内の活性化に大きく寄与する」と、大きな期待を寄せている。また、事業の推進については、「関係市町村と密接に連携して事業を進めている。しかし、行革などが論議されている中で、今後の政府としての方針を考えるならば、継続時業を主体に重点的かつ効果的に推進することが必要」と語っている。
――留萌では国も自治体も熱心に振興策に取り組んでいますが、経済力の向上にはいま一つ足踏み状態との感がありますが
杉岡
確かに情勢は厳しいものがあります。管内の総人口は7万人を割り、留萌市も3万人を切りました。管内の各市町村では、他管内と比較にならない早さで高齢化が進み過疎化が進行しています。
管内の産業を見ても、基幹産業である農林水産業などの第一次産業は国際化の波を受け、価格の低迷により非常に厳しい状況にあります。
また、後継者不足も深刻な問題となっています。
しかし、各市町村では、このような現状を打開するため、第一次産業の振興、農水産物などの流通の高度化、暑寒別天売焼尻国定公園を中心に変化に富んだ美しい海岸線を生かした広域的な観光産業に活路を求めています。また、高齢化にも対応した、くらしやすい街づくりにも積極的に取り組んでいます。
中でも、留萌市では、平成14年度を目途に留萌港から本州へのフェリーを就航させるべく積極的に運動しています。
このフェリー就航は留萌管内だけでなく、旭川市などの道北圏からの農水産物などを留萌港から本州に輸送することで輸送コストの低減が図られるとともに、観光客などの交流人口の増加も期待されます。留萌港が道北圏の海の玄関口となることで留萌管内の活性化に大きく寄与する可能性があります。
――そうした効果をより確実にするまで、国の基盤整備は手を抜けませんね
杉岡
そうです。留萌管内の産業の振興、活性化のためには、流通の高度化が不可欠です。そのため、港湾整備、高規格幹線自動車道、一般国道の整備、また、農業農村の整備、漁港整備、さらに安全でゆとりのある地域社会の実現のための治水事業など、地域から多くの意見・要望があります。
私たちもそれら関係市町村と密接に連携して、事業を進めています。
特に留萌市が誘致活動をしている留萌港から本州へのフェリー就航には高規格幹線道路「深川・留萌自動車道」の早期完成、留萌港の機能拡充は欠くことができません。このほか、国道の留萌拡幅などフェリー就航を視野に入れた事業を展開しているところです。
また、天塩町では平成6年4月に北海道開発庁から二ューカントリー構想の指定を受け、天塩町、北海道、北海道開発局の3者が連携して、「人が光り、文化が薫り、街が輝く」天塩町のまちづくりに関する事業を積極的に展開しています。
その他、小平町の道の駅「おびら鰊番屋」に駐車場、トイレ、右折レーン、遠別町の道の駅「富土見」において右折レーンを設置するなど様々な形で支援をしており、各市町村の現状を十分踏まえ積極的に応援していきたいと考えています。
――最近は「時のアセス」で既存の事業を見直したり、国も来年度の公共事業費を7%も削減する方針で、留萌にとっても影響が大きいのでは
杉岡
そうですね。とりあえず平成9年度予算は、前年度当初予算に対して100.8%の301億2千8百万円となっています。
事業別にみると、河川・漁港・農業農村整備事業については予算が減額となってしまいました。
道路事業・港湾事業では微増、ダム事業では留萌ダム建設事業本体工事の早期着工を視野に入れて、大幅増額となっています。
今後の政府としての方針を考えるなら、継続事業を主体に重点的かつ効果的に事業の推進を図ることが必要だと思います。

「治水事業」

●天塩川下流改修事業
北川口地区の浚渫及び樋門・円山地区の築堤及び樋門・間寒別川の護岸工事を継続実施
天塩町のニューカントリー構想の支援=天塩川河口市街部における護岸及び高水敷の整備
●留萌川
大和田地区=護岸工事を継続して実施
幌糠地区=「水辺の楽校プロジェクト」を取り入れた護岸工事
川北右岸地区=排水機場を新規実施
●留萌ダム建設事業
留萌川の洪水調節、流水の正常な機能の維持及び留萌市の水道用水供給を目的とした特定多目的ダム
平成9年度は付替道路工事を継続実施

「港湾・漁港事業」

●重要港湾留萌港
国内静穏度をより向上させるべく、西防波堤及び南防波堤を継続して実施
国内施設の充実を図るため、航路泊地の浚渫、−7.5m岸壁、物揚場−3.0mの促進、また、三泊地区に耐震強化構造を備えた−12m岸壁の整備を実施
●地方港湾
増毛港、羽幌港、焼尻港、天売港、天塩港=港内静穏度、航路の安全確保、港内施設の充実を図るべく防波堤、岸壁、泊地浚渫、道路等の整備を実施
●漁港
第三種苫前漁港=外かく施設及び構内施設の整備を促進 第四種遠別漁港、雄冬漁港では、航路の安全確保のため、防波堤の整備を実施

「道路整備事業」

●高規格幹線道路「深川留萌自動車道」
沼田幌糠道路=峠下橋下部工を完成、上部工の製作架設と工作物の先行実施
幌糠留萌道路=設計協議の実施
●一般国道231号
増毛防災=法面防護を行い、危険箇所の解消を図る
増毛パイバス=改良、舗装を実施しl=3.0qの全面供用
留萌拡幅=浜中地区の改良、舗装を行う。
●一般国道232号
小平道路(l=1.4q)=設計協議
天塩バイパス=改良の実施
●地方道
小平幌加内線=改良
名寄遠別線=奥正修トンネルに着手
上遠別霧立線=改良
増毛当別線=環境影響調査を実施する。
●維持事業
<交通安全対策>
40号の天塩町国根府歩道の新設
232号留萌市三泊及び239号苫前町古丹別の歩道拡幅
233号留萌市峠下歩道の新設
232号留萌市塩見町に道路情報板の設置
<舗装補修>
232号金浦・興津・鬼鹿、233号大和田地区での舗装修繕の促進
●災害防除事業
231号増毛町歩古丹〜雄冬間と239号苫前町霧立の道路法面防災対策
232号で羽幌町南大通りのロードヒーティングの設置、防雪切土、防雪柵の設置
239号で古丹別流雪溝の今冬の供用を目指し、霧立峠では雪崩防止柵設置を継続

「農業農村整備事業」

●国営かんがい排水事業
苫前地区=用水路等を継続実施
苫前二期地区=継続して苫前ダムの堤休コンクリート打設を行い、完了に向けてその促進を図る
天塩沿岸地区=堤体盛土及び用水路を施工
雄信内地区=ダムの工事用道路を継続して実施
幌進(一期)地区=本年度から事業着手、工事用道路及び実施設計測量
●直轄地すべり対策事業
羽幌二股地区=集水井工、杭工等を継続して実施
●国営畑地帯総合土地改良パイロット事業
天塩平原地区=用水路及び畑かん施設等を継続して実施
調査計画地区=国営かんがい排水事業、初山別地区の調査及び基本調査を継続して実施

HOME