建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ1998年11月号〉

interview

北海道の公営住宅について

北海道建設部住宅都市局長 佐々木 鉄雄 氏

佐々木鉄雄 ささき・てつお
昭和16年8月15日生まれ、札幌市出身、札幌東高、法大建築卒。
53年根室支庁建築
55年上川支庁建築
57年都市計画課土地利用
60年同企画
63年都市整備課開発指導各係長
平成元年寒研企画情報課長
3年工営課主任技師
4年同課長補佐
5年都市計画課長
7年住宅都市部次長(岩見沢市助役)
9年まちづくり推進室長
10年現職。
――北国の住み良い生活環境づくりに向けてどのような対策が必要ですか
佐々木
少子・高齢化の進行や生活水準の向上、安全への関心の高まりなど、経済社会情勢の変化に伴い、暮らしの場である住まいやまちづくりに対する道民のニーズは多様化・高度化しています。
このような経済社会情勢や意識の変化などを踏まえ、少子・高齢社会の到来に備えた人に優しい住まいづくり、北国らしい景観形成、地域の特性を活かした個性豊かなまちづくりなど、北海道の積雪寒冷な気候・風土に適した豊かさを実感できる生活環境の整備が求められています。
このため、人々の多様なニーズに対応した良質な住まいづくりを進めるなど「北国の住み良い生活環境づくり」を図るため、高齢社会に対応した居住環境整備、地域の住宅需要に的確に対応しつつ地域特性を活かした良質で多様な住宅供給などの「北国にふさわしい豊かな住まいづくり」施策を推進することとしており、公営住宅事業はその推進のための重要な事業として位置づけられています。
――北海道の公営住宅と、公営住宅関係予算の状況は
佐々木
平成9年度末の北海道の公営住宅管理戸数は、道営・市町村営合わせて16万8,000戸となっており、建替を含め、これまで概ね年間3,000戸ペースで建設してきましたが、その内容を見ると、既存公営住宅の建替比率は平成元年度から5割を超え、平成9年度には7割となるなど、建替中心の事業展開となっています。
また、本年度の公営住宅等建設費補助関係の予算状況を見ますと、当初予算における国費は、前年度比1割滅の300億900万円(事業費622億4,600万円)でしたが、補正予算では国費べ−スで68億7,500万円(事業費37億5,000万円)の配分を受けました。
私たち公営住宅建設に携わるものとしましても、この度の補正予算により、良好な住宅ストックの形成や公営住宅の建替などが促進されるのみならず、北海道の景気浮揚に資することを期待しているところです。
――北海道の公営住宅に関する重点施策と今後の取り組みなどについてお聞きしたい
佐々木
重点施策として、北海道では良質な住宅ストック形成のため、公営住宅の建替と改善事業を推進するとともに、シルバーハウジングなどの高齢者に配慮した住宅供給、地方定住促進のための特定公共賃貸住宅の供給などを施策の重点事項としています。
一方、今後の取り組みについては、重点施策の他、北海道においても中心市街地の人口減少や空家の増加が進んでいることから、活力ある中心市街地の形成を促進するため公営住宅・特定優良賃貸住宅の供給を図ること、厳しい財政状況を踏まえつつ必要な予算確保及びコスト縮減に配慮した公営住宅の建設を進めることなどが重要と考えられます。
――道営住宅建設における新しい工法は
佐々木
本年度の道営住宅建設は、当初予算で416戸、補正予算で115戸、計531戸の建設を進めているところですが、シルバーハウジングプロジェクトや市街地中心部に位置する外断熱工法、雁木等の冬の生活に配慮した新規団地などの事例があります。
――道営住宅建設の概要は
佐々木
道営住宅は市町村営住宅の補完的役割を主旨として、広域的な需要に対応する建設、既設道営住宅の建替、モデル的な建設などを行い、良質な賃貸住宅の供給を今後も推進していきます。
平成10年度当初分 計416戸一般建設(10市町 214戸)
所在地 団地名 戸数
石狩市 センターコート花川 18
江別市 サンゴールドヴィラA 20
大野町 大野中央 12
深川市 緑町中央 18
富良野市 しらかば 24
名寄市 マーガレットヴィラ 31
苫前町 オリオン 18
北見市 サンシティ北見 18
網走市 サンリッチヴィラ 37
登別市 新川 18
建替建設(8市町 202戸)
北広島市 広葉町 48
函館市 住吉 12
函館市 宝来 18
倶知安町 えぞ富士 18
岩見沢市 しらかば 18
留萌市 野本中央 16
静内町 さくら 18
幕別町 若草 36
釧路市 白樺 18
平成10年度補正分 計115戸一般建設(2市38戸)
所在地 団地名 戸数
江別市 サンゴールドヴィラ 20
深川市 緑町中央 18
建替建設(3市 77戸)
留萌市 野本中央 36
登別市 (仮称)東町 24
釧路市 (仮称)春採望洋 17

(1)網走市道営サンリッチヴィラ
@団地の特徴
・北海道の住宅施策と網走市における福祉、保健・医療施策が連携し、高齢者が地域の中で自立して安全かつ快適な生活が続けられるよう住宅生活を支援するために必要な福祉、保健医療サービスが一体的に整備された道営住宅団地
・オホーツク圏の道営シルバーハウジングのモデル団地
A団地概要
・網走市中心部の総合福祉センタ一などの関連施設が整備されている地区
・全体の計画戸数 3棟105戸(うち、シルバー住戸30戸)
・整備計画 平成9年度〜12年度
・付帯施設 高齢者生活相談所、集会所、児童遊園
B10年度事業の概要
・A棟、B棟 RC造5階建 37戸(うち、シルバー住戸8戸)
・身障者用エレベータ−設置
・住棟内に高齢者生活相談所、集会所を組み込み
・工期 平成10年〜平成11年

(2)名寄市道営マーガレットヴィラ
@団地の特徴
・道の住宅施策と名寄市における福祉、保健・医療施策が連携し、高齢者が地域の中で自立して安全かつ快適な生活が続けられるよう住宅生活を支援するために必要な福祉、保健・医療サービスが―体的に整備された道営住宅団地
・道北圏の道営シルバーハウジングのモデル団地
A団地概要
・名寄市中心部の総合福祉センターなどの関連施設が整備されている地区
・全体の計画戸数 4棟63戸(うち、シルバー住戸23戸)
・整備計画 平成10年度〜13年度
・付帯施設 高齢者生活相談所、児童遊園
B10年度事業の概要
・A、B棟 RC造3階建 31戸(うち、シルバー住戸11戸)
・地域の特性に配慮してカバードウォークを設置
・住棟内に高齢者生活相談所を組み込み
・工期 平成10年〜平成11年

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