建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年9月号〉

interview

村民と職員の緩やかな意識改革を目指して

テーマは、村民みんなで創る希望に満ちた21世紀へのまちづくり

猿払村前助役 森 和正 氏

森 和正 もり・かずまさ
(平成13年11月の北海道猿払村長選挙に出馬予定)
昭和22年8月31日紋別郡丸瀬布町生まれ(53歳)
昭和 23年 9月 猿払村在住
昭和 41年 3月 道立稚内高等学校卒業
昭和 41年 9月 猿払村に奉職
昭和 54年 6月 総務課庶務係長
昭和 57年 4月 総務課企画係長兼務
平成 2年 1月 総務課長
平成 12年 4月 猿払村助役
平成 13年 7月 退任
趣味 仕事・読書・音楽鑑賞・パークゴルフ
座右の名
身を殺して仁をなす 志ある者は事竟に成る
今年11月予定の村長選挙に、北海道猿払村現村長・笠井勝雄氏の勇退に伴い、同村前助役・森和正氏が出馬表明を行った。猿払村といえば、恵み豊かな育てて獲る漁業、オホーツク海を臨み、全国的にホタテの天然生産で有名だ。今後の猿払村のまちづくりの展望と理念を森氏に伺った。
――現職中は、どのような政策分野に携わりましたか
役場に勤めてから34年になりますが、そのうち26年有余りを村長の側近として総務・企画・財政・税務を主に努めてきました。その中で、主にふるさとの家一号館(ホテルさるふつ)、パーソナルコンピューターlan整備、庁舎建設、猿払村理念条例の策定、猿払村村民参加条例の策定などを進めてきましたが、昨年4月1日に助役に選任されてから、笠井村長の片腕として十分だったかどうかは分かりませんが、誠心誠意助役としての使命を遂行してきました。
――村長選出馬の気がまえは
笠井村長の勇退により、村長から指名を受けたことに対し、村民から信託を得ることができるのかどうか分かりませんが、光栄に存じています。公務員としては10年間を残して退職し、立起した以上、村民の負託に応え、村の幸せのため出きる限りの努力をし、貢献させて頂く覚悟です。
――出馬の決意の主な理由は
出馬の決意については、国の法律、中央集権制度によって、国、都道府県、それから市町村が担う業務と、行政システムが大きく変わり、この形の中で、情報公開制度、村民参加条例等を基として村民に開かれた行政を行いたいと考えています。
それに伴い、今までに村に無かった理念、村づくりの理念というものをはっきりさせて、それに憲法で定められている住民主権というものをしっかりとした考え方に基づいた、住民参加条例のもとで、村のこれからの基盤づくりを行っていきたいというのが一つの大きな決意です。
これを住民に定着させていくには、住民側の意識の改革も必要であり、もちろん職員の意識改革も必要です。これらも緩やかに改革を進めながら、地方分権に基づいた政策を進めていきたいものです。またこれに関わらず、制度的な条例をどう村民に理解を求め、協力してもらうかが、これからの課題だと考えています。
――猿払村が抱える行政課題は
水産業もある程度定着し、農業も同じように伸展していますが、農業政策については、色々な制度的問題があり、環境保全の問題を含めて、資源の循環、既存施設の整備などがこれからの課題になってくると思います。
水産業についても、ホタテは日本一、世界一とも言われていますが、ホタテばかりに頼らずに、色々な魚種の捕獲と育てる漁業を大切にして、また浅海増養殖事業も展開しなければならないと考えています。
――観光地としても猿払村は魅力がありますね
観光事業については、猿払公園にホテルを建て、公園施設整備を進めています。温泉もあります。観光事業については、まだまだ整備しなければならない部分があり、第三の産業として、今後大きく位置付けていかなければなりません。
観光も経済の波及効果がかなり大きく期待できますし、現在、若者の観光客や台湾などからも観光に来てくれている状況なので、今後も国道を挟んだ海や山の資源、日本にない恵まれた自然環境を活かしつつ、既存の施設では不足している状況にもあるので、拡張する計画も検討しなければならないと考えています。
――村長選では、支援層はどのようなパターンですか
議会の方々も支援をしてくれています。それから第1次産業関係の人たちもある程度、支えてくれている状況です。商工会の関係者や、建設業も含めて、応援してくれています。ありがたく思っています。こういう人たちの支持を得ながらこれから戦っていきたいと思っています。
――政策展望は
私が課長時代に企画・立案しま猿払村理念条例・村民参加条例にもあるように、村長選挙に立起した以上は、今まで私がしてきた行政事務の基本的概念を代えようとする考えはありませんが、時代は生き物であり、時は刻々と進化しています。
具体的な施策としては、現在進行中のものは一部を除き、見直しをかけ、行政を支えるものは、やはり村民の所得の増を目指さなければなりません。
また先に述べた通り、一次産業の振興は欠かせない問題で、水産物・畜産物の試験研究施設を造り浅海増養殖事業・有機資源の循環型システムの構築等により、その活性化をより拡充したものにしたい、そのためにも村民の理解と協力そして行政の多面的支援は極めて重要であり、必要と考えます。かつ、公共事業の確保を図り、これらに従事する人たち生活の安定を図らなければなりません。
国の財政構造改革が実施されようとする中で、景気低迷とあいまって、更に公共事業は抑制され、既に地方交付税は減額されています。よって、村の財政は決して良いものとはなりませんが、単独事業等財源の創意工夫をしながら、努めて必要事業の確保を図っていきたいと思います。
具体的には総合計画によるものの、現在の計画事業に盛られていない事業であっても、これからの村民参加、時代の変化に応じて計画性を持って、緊急性ある事業の展開を図っていかなければなりませんし、ソフト的事業も重要な問題として位置づけていかなければ村民の心の豊かさも・安らぎも生まれてきません。その意味においては、社会経済環境の変化が著しい今の時代にあって、難しい行政運営が強いられることと思います。
――村長選挙に向けての抱負は
私は、住民側の視点に立った目標設定が必要であり、村の運営は村民の皆さんが担うことが基本であると考えます。私はあくまでも、村民の代弁者であり、代行者であると思っています。村民の皆さんが今、考えていることが公約であると思っています。
これらの私の理念と施策事項を何年で達成できるかは、後援会の方々とそして村民の皆様と十分相談しますが、その他にも、やらなければならないまちづくりは、まだまだあると思います。
基本とすべき産業の振興は勿論のこと、村民との合意と責任を理解して頂き、村民で構成する戦略pj(ワーキンググループ)をもって、将来の村のあるべき姿を示し、村民の理解と協力そして支持を賜りたいと考えています。
最後にメインテーマとして「村民みんなで創る希望に満ちた21世紀へのまちづくり」を合い言葉に、サブテーマとして「物身ともに豊かで心温かく、人を愛し・村を愛し・勤めを愛す」3愛まちづくりを進めていきます。
戦うからには勝つことは勿論のこと、批判票はできる限り最小限に止めたい、でなければ今後のまちづくりに影響が出て、思うような仕事ができません。村民の皆さんの信頼と負託に応えるため、全身全霊を持って、村の発展を期したいと決意しています。

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