建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年9月号〉

interview

量より質を大切にした町政を目指す

観光客の心をとらえるのは、チューリップを植え付ける町民の気持ち

上湧別町長 松田 隆 氏

松田 隆 まつだ・たかし
生年月日 昭和9年1月29日、上湧別町出身、自治大学校卒
昭和 24年 4月 上湧別村事務生
昭和 34年 1月 工営課国土調査係長
昭和 36年 1月 財政課財務係長兼財産係長
昭和 42年 4月 総務課庶務係長兼予算係
昭和 47年 8月 産業課長兼農政係長
昭和 52年 12月 総務課長
昭和 54年 6月 総務課長兼企画財政課長
昭和 57年 4月 上湧別町教育委員会教育長
平成 5年 10月 上湧別町長に就任 現在2期目
北海道のオホーツク海沿岸線(稚内から知床)のほぼ中央に位置するまち、上湧別町。明治の昔、屯田兵がこの地に鍬をおろして以来、農業を基幹産業として発展してきた。そして新たに平成13年4月からスタートさせた第4期上湧別町総合計画を基に、まちづくりを進める松田隆町長に、今後の上湧別町のあり方を伺った。
――町長としての8年間を、どう自己評価していますか
松田
多くの町民の声に耳を傾け、町民の真の幸せのため、力一杯の努力をしてきました。しかし、まだ達成していない公約がまだあります。町の歴史上最も多難な時代を迎えようとしている時、少しでも多く公約したことを完成させ、開基100年を終えた本町に、夢ある、明るい明日を築きたいとの考えを念願に持ち、町政を進めてきました。
――基幹産業の農業・畜産業は
松田
私達の先人が、このまちを開拓してから、上湧別は農業を基幹産業としながら着実に発展してきました。これからも農業の振興が、町の振興につながると考えています。しかし環境意識が高まる現在、酪農のふん尿処理が、環境意識が高まる現在、今後の課題となります。そこで、堆肥舎などの施設の整備に努めます。
また畑作は、玉ねぎ主産地として、畑地かん水の大事業が完成したので、専業化に向けた経営基盤づくりが必要となります。今後は、基幹産業の振興を図るために、より効率的な経営を目指し、消費者の要求を把握するとともに、都市と農村の交流を図っていきます。
――チューリップ公園には、年間10万人以上が来園するとのことですが
松田
長い間、輸出用のチューリップ栽培に取り組んできた経緯があり、その歴史に基づき昭和51年に「町の花」に指定しました。そしてチューリップを生かしたまちづくりと公園の整備を進めてきました。まさにチューリップは、町花として町民が作り育ててくれた観光遺産です。
私達が長年にわたってつくりあげたチューリップ公園は、総面積12万5,000uで、北海道の広大な土地を代表する見渡す限りの花園です。そして多くの観光客が訪れるオホーツクの観光地として全国的に有名になりました。これも一株ずつ、心をこめて植え付ける町民の気持ちが、多くの観光客の心をとらえていると思います。
また施設づくりも、年々充実させており、これからもこの公園を整備し、町のイメージアップを図りながら町全体が花につつまれた美しいまち、だれもが一度は訪れてみたいまちの実現に努めていきます。
――上湧別町の人づくりは
松田
上湧別は、保育所や児童センターなどの施設が充実しており、子供を持つ親も安心していただける状況です。またボランティア活動も活発で、スポーツ少年団活動や子供会活動など、町全域を町中の人々が支えてくれています。子供達に良い環境で学んでもらうために、築後35年と老朽化した中学校の改築にも着手したいです。
またこれは私の考えですが、子供から高齢者まで町ぐるみで、生涯学習に励む姿が定着してきたと思います。今後は、さらなる生涯学習社会の実現に向け、活力があって、思いやりのある地域づくりを進めるとともに、学ぶ喜びを共感できるまちづくりを推進していきます。
――平成13年4月より新たに第4期上湧別町総合計画がスタートしましたね
松田
町民の声を結集したのが今回の総合計画です。これまでの計画では、人口や経済の伸長を想定し、量的な社会資本の整備を進めてきました。しかし、定住人口や経済の伸びが、あまり期待できなくなった現在では、量的な整備から、より質の高い整備への転換が求められています。このような社会情勢に対応するために、新しいまちづくりのテーマを「みどり豊かで心やすらぐチューリップの里・かみゆうべつ」としました。
この計画の推進にあたっては、財政状況をしっかりと見極め、関係機関との連携を深めながら町民のご理解とご協力のもとに、英断を持って進める方針です。町財政はきびしくなりますが、計画に盛り込まれた施策は、それぞれ適期に着手していきたいです。
先ず、農業の振興、商工業の振興と街並整備、そして観光産業は、現在進めている温泉の完成と活用、また先程述べた、チューリップ公園の整備です。また心ふれあう健やかな福祉のまちづくりとして、健康づくりを応援し、リハビリ施設などを含めた医療の充実、ケアハウスの建設事業を進め、介護サービスなど、福祉の充実と低所得者の負担軽減対策を図ります。
この他にも、環境に配慮した市街地下水道供用など生活環境の整備、農村下水道の整備、ゴミの減量化と、広域処理。そして上湧別の歴史を後世に残すために郷土資料保存館の建設をします。
――今後の政策展望は
松田
今こそ、行政経験を必要とするときです。量より質を大切にした町政を心がけたいです。また開かれた行政を目指し、行財政改革として人材育成や広域行政の推進、町村合併の研究・検討、it時代への対応、情報公開などを推進します。
今後も、上湧別の恵まれた自然や歴史を生かした個性的で魅力あふれるまちの実現を目指し、町民と行政が一体となって、多難な時代への基盤作りを行いたいです。

HOME