建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ1999年8月号〉

interview

いよいよ中核市に移行

北海道旭川市長 菅原功一 氏

菅原功一 すがわら・こういち
昭和19年6月24日生まれ、旭川市出身、道立旭川商業高校卒。
旭川市議、北海道議会議員(当選2回)を経て平成6年11月旭川市長に初当選、現在に至る。
――平成11年度予算の特徴は
菅原
今年度の予算編成では、「地域経済の活性化」と「少子・高齢社会への対応」の二つを重点的課題と位置づけています。
財政状況は決して裕福ではありませんが、市民要望に対する積極的な対応を図るために大型の予算を組み、全庁を挙げて、施策の効果的な連携と総合的な推進に努めていきたいと思っています。
重点的課題の一つとした「地域経済の活性化」の面は、厳しい経済状況に対応するため、融資や助成制度の一層の拡充や消費拡大に向けた施策の展開など、経済対策最優先で取り組み、地域経済活性化に向けた可能な限りの施策を実行に移していきます。
一方、地域の資源を活かした創造的な活動の展開や分野を超えた産業間の連携支援など、中・長期的な視点に立った産業振興策を推進し、魅力ある雇用の場の創出と自立した地域産業の創造に取り組んでいきます。
もう一つの重点的施策である「少子高齢化」の面は、21世紀を担う子どもたちが、健やかに育つことができる環境や、高齢者がいきいきと安心して生活していくことができる社会づくりに向けて、総合的に施策を推進していきます。
特に、平成12年度からスタートする介護保険制度の円滑な開始に努めるとともに、関係機関との有機的な連携による保健福祉サービスの一層の向上を図っていきたいと考えています。
さらに、様々な行政課題や増大し多様化する市民ニーズに応えるためにも、公共料金などにおいて必要な措置を講じ、サービスに対する公平な負担、財源のより有効な活用を図っていきたいと思っています。
――現在進めている大型事業について
菅原
まず、JR旭川駅周辺の再開発事業として、シビックコア事業「北彩都あさひかわ」を進めています。この事業は、将来の旭川市の発展にきわめて大きな役割を持つとともに、広域圏発展のためにも意義のあるもので、旭川市の重要なプロジェクトの一つとして取り組んでいます。事業的には、まだ始まったばかりですが、事業の骨格となる鉄道の高架事業や土地区画整理事業など、基盤整備に係わる部分については、既に着手をしたところです。
今後、空間デザインなど、より具体的で重要な検討を行う必要がありますが、なにしろ長期的で大規模の計画ですから、今後はより一層、市民の意向やアイディアを計画・事業に反映しながら、新しい時代にふさわしい自然と調和した都心をつくり、既存の市街地である買物公園や駅南側の神楽地域などと一体的に、より魅力とにぎわいに富んだ都心形成を進めていこうと思っています。
また、旭川火葬場と永山火葬場に替わる「旭川聖苑(仮称)」の建設を昨年から進めています。施設は、火葬棟、中央ホール棟、待合棟に分かれていて、13基の火葬炉と120名の収容が可能な待合ホールなどがあるほか、火葬時のダイオキシン対策として、最新の集塵装置を設置します。完成は12月、供用開始は来年2月を予定しています。
――地域振興に必要な条件整備とその実現に向けての取り組みについて
菅原
今の時代は、人々の生活や経済活動が市町村の区域を越えて展開されています。
こうした動きは、ますます拡大する傾向にあり、その中で旭川市は、北・北海道の拠点都市としての自覚を持って、圏域のリーダーの役割を踏まえた都市機能や基盤の整備を図っていく必要があると考えています。
また、新たな時代の要請に応え、地域の共通課題の解決に向けた広域的な取り組みを進めるとともに、それぞれの地域が有する資源を有効に活用し合うなど、近隣自治体同士の相互の機能補完、連携強化が必要です。
今後ますます、都市間・地域間競争が激しくなる中で、競争の時代を勝ち抜いていける魅力と活力ある圏域づくりに一丸となって取り組み、圏域全体の発展を目指していくことが地域の振興につながるものと考えています。
――地方分権と地域の自律についての取り組みは
菅原
現在、地域の方向性を自ら決定するという地方分権が、一層具体化してきています。旭川市においても、来年の4月に中核市に移行するなど、新しい時代に入ろうとしているところです。
これからは、都市や地域間の競争がますます激しくなっていくでしょうし、地方は、自らの判断で選択し、その結果に対して自ら責任を負っていかなければならないでしょう。
このように、地方自治体の果たす役割がより大きくなることを考えると、本市においても、時代の変化と置かれている状況を十分に認識し、まちづくりにおいては、市民の知恵や力を生かしながら、政策力の向上につなげるなど、常に自己改革に努めていかなければならないと思っています。
――道や中央省庁に対する要望などについて
菅原
北海道は、旭川市も含めて社会資本の整備がまだまだ立ち後れています。北海道は広大な面積を持っているわけですから、高速道路網の整備などによって、産業や経済、医療、文化などいろいろな意味で広域的なつながりを強化し、それぞれの地域が均衡ある発展をしていくことが重要だと思います。
こうしたことから言えば、北海道第2の都市である旭川などは、札幌が持っている中枢機能の一部を担うことも考えられるのではないでしょうか。
また旭川市は、いよいよ来年度から中核市となりますので、その準備を急いでいるところですが、この指定によって、保健所の設置や保健行政、都市開発の権限などが移譲され、より主体的に個性的なまちづくりを進めることができるようになります。しかし、権限が増える分、仕事も増えますので、今後は一層の国や道の支援、ご協力をお願いしたいと思っています。

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