建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年5月号〉

interview

未来に誇れるまちづくりを展開

豊かな海づくりと共に漁業と観光をリンクさせ地域振興に努める

利尻町長 田島 順逸 氏

田島 順逸 たじま・じゅんえつ
昭和 36年 3月 北海道利尻高等学校卒業
昭和 37年 5月 利尻町職員に採用
昭和 53年 10月 水産課長
平成 2年 4月 民生課長
平成 5年 6月 助役に選任
平成 9年 4月 〃 退職
平成 9年 5月 町長就任
昆布やウニで有名な利尻・礼文島にある利尻町は現在、町民と観光客の人々の交流を促進するために、あいさつ運動を展開するほか、交流促進施設も建設中だ。人と人とのふれあいを漁業や、観光に活かした利尻町のまちづくりについて、田島順逸町長に語ってもらった。
――いよいよ町長1期目が終了しますね
田島
新人としての4年間でしたから、率直に言えば無我夢中でまちづくりを進めたという印象です。まちづくりでは、基幹産業である漁業や観光・商工業で、安定化また所得を増やすために資源の増産と確保に努めてきました。
その中でも昆布やウニは、ブランド製品として売り出していますので、生産量を増やすために魚場の整備を行ってきました。また水産加工品などを全国的に販売先の開拓や新製品の開発などに努めています。
――利尻空港がジェット化になりインフラも発展していますね
田島
観光客はまちの発展のために大いに歓迎すべきだと考えています。このジェット化により観光客の伸びは、就航以来、飛躍的に増加したわけではないですが、順調に増加傾向にあります。またこれからも観光客が増加することが予想されますので、受け入れ体制を整えるべく、宿泊施設や設備、土産品などの充実を引き続き図っていきたいものです。
また観光客だけでなく、ジェット化によりウニなどのブランド製品を以前より早く本州などに送れるようになり、今まで3日費やされたのが2日で市場に出回るようになりました。このようにジェット化は、地元に様々な効果的メリットをあげました。
――北海道の離島として、隣町の利尻富士町また隣島の礼文町との連携はありますか
田島
3町ではそれぞれ共通の課題があり、特に交通アクセスの問題を始め、漁業や観光等の様々な分野でお互いに手を携えて協力しています。これによって、離島の振興対策が円滑かつ実効性に結びついていると思っております。
例えば漁業では、3町で6漁業協同組合があり、漁業の振興や国や道に対する要望など、連携しながら密な関係を取り合っています。
――子供たちの育成はどのように行っていますか
田島
国際交流としてサハリンなどへの研修をしています。本来ならば子供たちのアンケートで希望の多いカナダやアメリカ、ヨーロッパなどの国に行かせてあげるべきですが、こういった国は大人や就職してからでも観光や用務で行けると考えます。
その点を考えると生活物資や資源、生活環境の厳しいロシアなどを見てきたほうが、将来のためにまた、人間として成長するために役立つものと考えています。
――現在、交流促進施設を建設するなど生活環境の改善も見られますね
田島
当施設は、現存する町民センターの老朽化に伴い建設されています。私たちのまちは離島ですので、文化・芸術に触れる機会が少なく、町民の方々より以前から施設として図書館や児童館などの要望が多く、今回それらは交流促進施設に含まれる予定です。また町民の方々と観光客での都市の方々とのふれあいの場としても活用する予定です。そして現在ある総合体育館「夢交流館」との連携も図り、地域文化の活性化とスポーツ・文化の組み合わせによるまちづくりを一層進めていく予定です。
さらには、これからは高度情報化の時代ですので、情報技術を整備してインターネットなどのitにも対応していきたいものです。
まだまだ希望は多数あり、現在はそれら要望に応じるべく、まちづくりを進めています。ただこれからの時代は、個々の教育と言われていますので、町民にも子供の教育を含めた家庭環境を整えていただきたいです。
――離島としての地理的なハンディや恩恵はありますか
田島
ハンディとしては物価に格差がありますね。離島の宿命ですが、何を移出入するにしても輸送コストが掛かり、陸地続きの方々と比べると多めの時間やコストを費やさなければなりません。
逆に離島として有利な点は、観光地としてのメリットが多数あり、山や花などの緑豊かなすばらしい大自然があり、又、島内の海産物などは新鮮さと北の味でおいしいものが多いですね。また離島に住む人々の結びつきが強く、他にない人情味に溢れていると思っております。
――今後、2期目に向けての抱負は
田島
第4次まちづくり推進計画をスタートさせていますので、「未来に誇れるまちづくり」をめざし、そのためには第一に地場産業の漁業の振興を図ると共に、観光も漁業とリンクさせた観光漁業を推進していき、少しでも観光客が訪れ、喜んでいただけるまちづくりを進めたいです。
また、これからは福祉の時代ですので、保健・福祉医療の一体化を図り、島内でも受けられる最小限の高度医療を最低限整えたいです。観光地や漁業地にとっては、必要な下水浄化センターを完成させ、本年度末から一部供用開始し、住み良いまちづくりを進めたいと思っております。
さらには平成10年度から進めている「街に笑顔を・あいさつを」ということで、声かけ・あいさつ運動の推進に努めており、この運動を通して、子供たちには礼儀の大切さを教え、大人たちにも地域住民との交流を図っていく予定です。
これからも利尻の多くの先人に感謝の心を捧げるとともに、この緑豊かな自然と開拓者精神を町政に反映させ、創造的なまちづくりを行っていこうと思います。

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