建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2004年10月号〉

interview

整備の緊急性等を踏まえた事業の重点化と時代のニーズに応じた開発事業の展開を図る

新年度概算要求総額は9,093億7,500万円で前年比1.16倍に

北海道開発局長 吉田 義一 氏

吉田 義一 よしだ・よしかず
昭和25年2月3日生
出身(本籍)北海道
昭和 47. 3 北海道大学工学部卒
昭和 47. 4 北海道開発庁採用
53. 10 建設省中部地方建設局長島ダムエ事事務所 調査設計課長
56. 4 北海道開発庁北海道開発局帯広開発建設部 札内川ダム調査事業所長
59. 6   同   北海道開発局室蘭開発建設部 沙流川ダム建設事業所長
61. 5   同   北海道開発局石狩川開発建設部工務第1課長
62. 5   同   北海道開発局石狩川開発建設部計画課長
63. 6   同   水政課開発専門官
平成 3. 6   同   北海道開発局建設部河川計画課河川企画官
6. 6   同   北海道開発局石狩川開発建設部次長
6. 11   同   北海道開発局室蘭開発建設部次長
8. 7   同   北海道開発局建設部河川管理課長
9. 7   同   北海道開発局建設部河川計画課長
12. 1   同   水政課長
13. 1 国土交通省北海道局企画課長
14. 7   同  北海道開発局事業振興部長
15. 7   同  北海道開発局建設部長
16. 7 現職
企業収支が改善され、国民消費支出も伸び始め、全国的に景気は回復に向かっているが、最北端の孤島・北海道に波及するにはタイムラグがあり、真の雪解けを謳歌できるのは少し時間がかかりそうだ。そのため、景気の下支えとなる公共投資と公共事業の役割の重さは変わらない。そのため、より一層の投資効果の高い事業の選定が求められる。全道の開発行政の頂点に立つ吉田義一北海道開発局長に、平成17年の北海道開発予算概要要求のポイントと、今後の北海道開発の向かうべき方向性について伺った。
――就任に当たっての抱負についてお聞かせください
吉田
私たちに期待されていることは、国民の豊かな暮らしや安全を保障し、環境を保全し、経済社会の活力を支えることです。北海道は、国民全体からは、恵まれた資源や国土空間を持つ優位性を活かした食糧基地としての役割強化と新たな産業育成、さらにゆとりある生活環境を生かした安らぎの場としての役割が期待されています。また、豊かな環境を次世代に引継ぐこと、多様性な生活や文化を享受出来る安全でゆとりある地域であることが求められています。私たちは、北海道の持つ潜在的な力が十分発揮できるよう、きちんとした社会資本整備を進めていきたいと思っています。
事業の実施に当たっては、限られた財源の下で、コスト削減と事業の重点化により整備効果の早期実現を進めることです。また、地域の声をどう開発行政に生かしていくかが引き続き大きな課題と考えており、従来以上に開かれた開発局でありたいと考えています。
――平成17年度北海道開発予算概算要求のポイントは
吉田
北海道は、雇用情勢をはじめとして依然として厳しい環境にあり、全国の中で最も回復が遅れている状況にあります。このため、公共事業依存から民主導の自律的な発展を展望できる地域経済への移行を促し、地域活力を回復しつつ、北海道の可能性を最大限発揮できるよう、経済の活性化に資する事業等を重点的に推進すると同時に、北海道の特性を活かした先駆的な取組みや、頻発する自然災害等に対応し、安全で安心して暮らせる地域社会の形成を進めること等により、地域の自立・再生を図ることが必要と考えています。
こうした考えに基づき、安全な食料の供給基地としての役割強化、北海道の豊かな自然環境の保全・再生、循環型社会の構築、観光立国の実現と成長期待産業の育成支援、地域再生の基盤となる人・物・情報の流れを支えるネットワークの形成、災害に強く、安全で安心できる地域社会の形成という視点に立って、各般の施策・事業を総合的に展開するべく、概算要求を行っています。
平成17年度北海道開発予算においては、総額9,093億7,500万円(対前年度比1.16倍)となっています。
このうち、北海道開発事業費(一般公共事業費)は、社会資本整備の進捗状況や地域からの事業ニーズ等を勘案し、8,943億800万円(対前年度比1.16倍)を要求しています。また、北海道開発計画費は、環境・エネルギー問題の解決や産業振興に資する分野を中心に、14億7,400万円(対前年度比1.79倍)、独立行政法人北海道開発土木研究所経費は、積雪寒冷地における構造物の劣化予測手法とマネジメントに開する研究等を実施するため、18億7,200万円(対前年度比1.04倍)を、それぞれ要求しています。
これらの要求に当たっては、「基本方針2004」を踏まえ、「重点4分野」に重点的に配分するとともに、整備の緊急性等を踏まえた事業の重点化を図ることとしています。また、事業間連携施策やコスト構造改革の一層の推進、地域住民との協働・連携、地方の自主性・裁量性を活かした取組み、北海道スタンダードによる地域の特性に応じた公共事業の実施等、時代のニーズに応じた開発事業の展開を図ることにしています。
――北海道における公共事業が果たす役割と、今後の展開をどう展望しますか
吉田
北海道における公共事業は、北海道の豊かな発展可能性を顕在化させ、ひいては北海道の発展が我が国全体の課題解決に寄与するための基盤整備を図る重要なツールであると考えています。また、公共事業の実施により、関連産業における生産の増加や雇用創出効果などを通じ、北海道経済の活性化にも貢献するものと考えられます。
公共事業の実施に当たっては、政府の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」や、昨年10月に閣議決定された社会資本整備重点計画に係る北海道に関する「北海道ブロックの社会資本の重点整備方針」などを踏まえ、我が国の課題解決及び北海道の自立・発展に貢献するよう、第6期北海道総合開発計画の効果的な推進を図る、着実な社会資本整備に努めていきます。
――6期計画の7年目に入り計画期間の後半を迎える中で、今後の北海道開発の在り方について、どう考えますか
吉田
北海道は、安全・安心な食料基地としての役割を担うこと、豊かな自然やすばらしい環境といった優れた特性を活かし、我が国の発展に貢献することが期待されています。北海道開発局としても、第6期北海道総合開発計画と企画調査部会報告に基づき、当局の総合調整機能を十二分に発揮し、先駆的、実験的な取り組みを、北海道を舞台に積極的に展開していくとともに、北海道の活性化につながる不断の努力を続けなければならないと考えています。
今後は、第6期北海道総合開発計画や、北海道の現状と課題、目指すべき将来像と重点事項について取りまとめた「北海道ブロックの社会資本の重点整備方針」を踏まえつつ、地域連携会議での意見交換などを通じ、北海道や市町村を始めとする関係機関と連携・協働し、着実な社会資本整備等を進めてまいりたいと考えています。

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