建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2004年11月、2005年1月号〉

interview

(後編へ)

世界の物流競争に打ち勝てスーパー中枢港湾プロジェクトが本格始動

わが国の物流経済の命運を賭しての一大公共投資へ突入

国土交通省港湾局長 鬼頭 平三 氏

鬼頭 平三 きとう・へいぞう
昭和 23年 3月 3日生まれ
昭和 46年 3月 東京大学工学部土木学科卒業
昭和 48年 3月 東京大学大学院工学研究科土木工学専門課程修了
昭和 48年 4月 運輸省入省
昭和 58年 4月 港湾局計画課補佐官
平成 元年 2月 茨城県土木部港湾課長
平成 4年 4月 港湾局計画課民間活力推進室長
平成 5年 4月  〃  〃 企画調査室長
平成 8年 4月 第四港湾建設局北九州港湾空港工事事務所長
平成 9年 7月 運輸政策局貨物流通施設課長
平成 11年 7月 港湾局計画課長
平成 14年 7月 北陸地方整備局長
平成 16年 1月 現職に就任
物流コストの削減に向けて、船舶は年々巨大化の一途を辿り、それに合わせて港湾の大水深化が世界的な趨勢となっている。アジア諸国では、ハブポートの整備が加速度的に進み、物流拠点としての役割と地位を独占せんばかりの勢いである。そうした物流競争に打ち勝ち、わが国の流通経済の再生を実現すべく、国土交通省港湾局が構想してきたスーパー中枢港湾プロジェクトが、ついに動き出した。その実現にあたっては、年間予算の配分など、予算体系も大きく変化することになる。港湾政策を推進する鬼頭平三局長に、政策と予算要求のポイントなどを伺った。
――新年度の概算要求におけるポイントは
鬼頭
今回の公共事業予算は前年度比1.094%の数字で要求していますが、初めて非公共のその他施設費を、国費ベースで10億円、事業費では21億円を要求していることが大きな特徴です。これは公共事業と一体となって、港湾の機能の高度化を図るために要求しているもので、公共事業の一部と考えられなくもないのですが、これを併せると約1.10%ほどの規模ということになります。
全体を通して、特に重点を置いている柱は5本くらいです。一点目は「物流改革の推進」で、非常に関心の高いスーパー中枢港湾プロジェクトをはじめとする、港湾の国際競争力の強化です。また、それに関連して港湾の情報化という政策課題もあります。おかげさまで、昨年の7月に港湾における輸出入手続きのシングルウインド化が実現しましたが、経済界からはもう少し簡素化して欲しいとの要望もあるので、それを一層進めることとしています。
二点目は、全体に景気が回復基調にあるといわれますが、地域によってはまだ少し遅れているところもあります。そうした地域を中心に「地域経済の再生」を進めていくために、港湾を整備することによって民間需要の拡大、あるいは雇用の拡大に効果の大きいプロジェクトに重点的に予算配分し、地域の景気を回復につなげるということです。
三点目は、「安全安心な地域づくり」です。今年も地震や台風などの災害が全国各地で続発していますが、特に大規模地震や津波に対する備えといった防災対策は重要です。また、今や世界的な課題となり、非常に注目を集めているテロ対策、水際対策も重要テーマです。港湾の保安対策としては、この7月1日に発効した改正solas条約に基づいて一定の保安対策が講じられましたが、それをさらにもう一歩進めることで、国際海上輸送の信頼性の向上を実現していきたいと考えています。
四点目は、「環境問題への対応」です。我々は全国で18港をリサイクルポートとして指定していますが、その指定された港湾を核に海上輸送とドッキングさせ、物流の静脈のネットワークシステムをつくり上げることです。また、この6月には国土交通省の「環境行動計画」がとりまとめられましたが、その中でも環境対策を行政の本来的な使命にしていこうという方向性にあり、特に干潟や海浜の再生・保全が重要視されています。
五点目は、政府を挙げて観光立国へ向けての取り組みが行われていますが、港は観光資源としての価値をたくさん持っているわけで、そうした港自身の観光資源としての価値をどう活かしていくかということに併せて、海からのアクセス、内陸への円滑な接続をトータルで考え、広域的なネットワークの中心として港湾を位置づけ、それに必要な仕様を実現していくことです。
ただし、この場合はその地域に住んでいる人々が、どのような方向に持って行きたいと考えるのかが非常に重要で、地域、市民の方々の地域計画に基づいて、行政として支援していくという仕組みが大切です。
――最近は、投資効果を最優先するため、予算配分もかつてのように「広く薄く」ではなく「狭く厚く」という方向性が主流になりつつありますね
鬼頭
確かに今申し上げた、5項目は政策的な柱になりますが、それらとはまた別の切り口で、今回の要求内容にはポイントがいくつかあるのです。ひとつはメリハリのある予算配分とするために、例えばスーパー中枢港湾については、前年度の6割増しの予算を配分しています。逆に重要港湾でも小規模な施設については、いくぶん伸び率を抑えたかたちになっています。その意味では、今日の経済や、社会的のニーズに応えるかたちでの予算の配分をしたことがひとつです。
二つ目は、公共事業とそれ以外の非公共の政策、例えば港湾の運営方法の改善や、そのための施設整備など、ソフト的な施策も合わせることによって、公共事業の効果をできるだけ高めていくということです。その意味で、できるだけいろいろな施策を重層的、総合的に組み合わせることにしています。
三つ目は、三位一体改革の一環として、縦割りで、地域にとっては同種の事業が重なっているケース、港湾の場合でいえば、例えば地方の港湾で隣に漁港があるようなケースについては、少し広域的に捉えて、一体的な事業展開を行った方が効果が高まる場合もあると考えられます。そうしたケースについては、所管官庁双方から予算を配分し合って、ひとつの財源として合算し、地域が裁量権を持って、その財源を使えるような仕組みをつくりたいと思っています。これは仮称ですけれども、「港湾漁港利用高度化事業」を創設するための予算要求をしています。
また、もうひとつはこれから地方とも相談をしていくことになりますが、例えばこれまでは各市町村に個別にあった港が、市町村合併によってひとつの市になれば、一市に港が複数存在する状態になってしまいます。そこで、それらの港湾をひとつの港として統合し、投資の重複を防ぐとともに機能を補完しあえるように、港湾の再編統合も進めたいと思っています。
――日本の再生に向けて、国運を賭して重点投資していくのがスーパー中枢港湾となると思いますが、具体的にはどのように国際競争力を上げていきますか
鬼頭
スーパー中枢港湾というプロジェクトについては、ご存じのように2年ほど前から局を挙げて、全国的に様々な有識者の意見を聞きながら進めていますが、港湾の「コストを3割下げること」と、現在2.8日ほどかかっている「リードタイムを1日に短縮すること」に目標を置いて、その実現に向けて必要なことは全てやるという姿勢で取り組んでいます。
17年度予算ではスーパー中枢港湾プロジェクトの中核になる、次世代高規格コンテナターミナルの形成を中心に取り組みを進めたいと思っています。次世代高規格コンテナターミナルというのは、今までひとつずつ縦割りになっていたコンテナターミナルをいくつか統合して一体化させることでまとまった規模にし、より多くの貨物を扱えるようにすることによって、規模のメリットを出しコストを下げる戦略です。また、その次世代高規格コンテナターミナルを一体的に運営する、ターミナルオペレーターが、自己資金で施設整備をしようとする場合には、国や港湾管理者が一定の支援をできるよう無利子の融資制度の新設を要求しています。コストを下げるには、一箇所により多くの貨物を集めることが最も重要なことですから、例えば釜山港にトランシップされている貨物を、スーパー中枢港湾に集めることが重要ですが、内航海運を利用促進するために、どのような手だてが必要なのかを把握するため17年度に社会実験する予定です。これは当然国土交通省の中で内航海運を担当している、海事局とも連携して実施することになります。
もうひとつは、より多くの貨物を扱うようになれば、必然的に夜間もターミナルが稼働していかなければなりません。ターミナル内でのコンテナの荷役は、3年前に港湾労使が合意して、24時間、364日稼働することになりましたが、それをさらに強化する意味で、ターミナルの効率化をバックアップする施設のひとつとして、例えばciqの検査場、あるいは作業員やciqの係員などが作業に当たるまで待機する施設が必要です。
また、そうした大規模なコンテナターミナルでは、荷物を運んでくるトレーラーなどが出入りするゲートを、いかにスムーズに通れるようにするかが、保安性の向上と物流の効率化を両立させる意味で非常に重要なポイントです。現在は、紙の身分証明書をチェックしているやり方ですが、それを厳密にやればやるほど、トレーラーは長蛇の列を作ってしまいます。そこでitを活用し、できるだけスムーズに通れるゲートシステムが必要です。
また、港が近接している地域では、「横持輸送」という不経済な輸送形態も見られます。東京港と横浜港のケースでは、両方の港で扱うコンテナの個数が、20フィート換算で500万個を超えています。そのうち東京都で消費される貨物なのに、横浜港で荷揚げされているものあるいはその逆もあわせて全体で約6%、そうした非効率な「横持輸送」が数にして30万個以上、一日にして1,000個もあるのです。しかも、ほとんどが帰りの荷物がない「片荷」の場合が多いので非常に不経済です。そこで、共同デポのようなものを両方の港に整備し、夜間のうちに配置し直すなどの対策が有効です。それによって、昼間の渋滞緩和にも役立ちます。こういった施設については、港湾の運営を効率化するための機能高度化の仕掛けとして、「その他施設費」として来年度予算で要求しているところです。
――それを大阪港、名古屋港、東京港の3港で先導的に実施するわけですね
鬼頭
スーパー中枢港湾というのは、東京湾の東京港と横浜港を併せて京浜港として指定しています。港としては別々ですが、一体的に連携してスーパー中枢港湾として機能を果たして欲しいというのが、我々の狙いです。したがって、港湾管理者にもそうした視点での運用をお願いし、実際にそれぞれの港がどのようにして連携を深めていくか、具体的な協議が始まっています。
このようにして、伊勢湾では名古屋港と四日市港、大阪湾は神戸港と大阪港の阪神港というかたちになっているわけです。
――湾を一つの港としてとらえるわけですね
鬼頭
むしろ、そういった体系で捉えた方が、スーパー中枢港湾として我々が進んでいく方向に合致したものになると考えています。
――地形全てを活かした港と捉えると、今後の船舶の大型化にも対応しやすいでしょう
鬼頭
現在、世界の船舶会社が発注している大型のコンテナ船は、概ね8,000teu以上を積める規模のものが主流となっています。したがって、何年か後には世界の基幹航路を巡回するコンテナ船は、その規模が主流となる時代が来ると思います。8,000個の貨物を積載できる船舶の規模とは、若干の大小があるにしても概ね10万tクラスです。それが、8,000個のコンテナを積めば、喫水は14.5mくらいになります。通常は、それに対して1割くらいの余裕を見るので、少なくとも16mの水深の施設が必要なのです。
そのクラスの施設は、日本ではまだ横浜の南本牧で供用されている2バースしかありません。名古屋港でも、整備を始めているところですが、東京港や神戸港、大阪港での整備はこれからです。
一方、近隣アジア諸国を見ても、16m級のバースはまだ日本以外にはないのです。ただ、上海では50以上のバースを整備する構想や、釜山でも40kmほど西の加徳島で整備している釜山新港でも、20バース以上の施設があり、来年にはそれぞれの港でいくつかの施設が供用開始する予定になっているなど、8,000個積コンテナ船時代を見据えてそれぞれ対応した施設整備がどんどん進んでいる状況です。
上海では、今年の取扱量は、1,400万teuと言われ、毎年30%ずつ増加しているのです。そのため、現在の施設だけでは満杯になるのは目に見えていますし、また、今の施設は揚子江の河口で大量の土砂が流入するため、常時浚渫していないと大型船が入港できないのです。そのため、大型船に対応した施設整備をかなり意欲的に行っているということです。

【後編】

5年以内に次世代高規格コンテナターミナルの完成を目指す

入港手続き簡素化に向けFAL条約締結へアクション

ITバブルは過ぎ去ったとはいえ、自動車、デジタル家電などを筆頭にわが国の製造業が、低迷してきた景気を牽引し始め、ようやくその効果が他産業にも波及し始めている。こうした潮流は、本格的な景気回復に結びつけるチャンスでもあるが、わが国経済の国際競争において、足枷となってきた課題の一つが流通コストだ。これを解決するには、輸出入と輸送にかかるコストの低減が不可欠で、そのためには、港湾の大型化と道路網整備が欠かせない。この二つは、わが国経済の再生のネックとも言え、今後の明暗を大きく分けることになるだろう。
――日本の港湾が、各国のハブポートに対抗していくには、かなりの施設整備が必要でしょう
鬼頭
インフラについては、アジアの主要港と比べて見劣りがしない水準で整備しなければなりません。同時に、施設の利用効率を上げるためのソフト面の施策も併せて進めていく必要があります。ハードだけを整えれば良いというものでもありません。
他国の港湾のコンテナターミナルを見ると、大型のコンテナ船用の岸壁については水際線の延長もさることながら、ターミナルの面積が広く、一度に大量の貨物の積み降ろしを迅速に行うことができます。まさに、最大限まで効率を上げ、コストを下げるためには、岸壁の水深と水際線の延長、そしてまとまった規模のヤード面積を兼ね備えていることが必要で、これが我々の言う次世代高規格コンテナターミナルなのです。
今、盛んに整備が進められている釜山港や上海港などアジアの主要港の規模にまで、一気に手が届くかどうかは分かりませんが、できるだけそれに近づけようと考えています。
――現代の公共事業の基本的な発想は、集中的な投資によって、なるべく早めに成果を出そうという方向性にありますね
鬼頭
スーパー中枢港湾プロジェクトの目標は、アジアの主要港を凌ぐコストとサービス水準の実現に置いています。その目標をできるだけ早くに達成することが極めて重要だと考えています。現時点では、港によって若干の差はありますが、3〜5年くらいでそれを達成したいと考えています。
時間が経てば、アジアの主要港もさらに前に進んでいることも考えられますので、現在の目標が3〜5年後に達成されたとしても、その時点でさらに目標を高く置くことが必要となるかもしれません。
――もう少し早くから取り組んでおくべきだったかも知れませんね
鬼頭
その意味では、我々自身の反省もありますが、今からでも遅くはありません。日本の製造業でもまだまだ健闘しているところが数多くありますから、そうした企業が競争力を失わないかたちで、できるだけ早めに国際競争力のある港の実現に向けて頑張っていきたいと思います。
――これまでの日本のコスト高が、アジアとの競争の足かせになってきましたね
鬼頭
部品から完成品までの全製造工程が、国内で行われていたときには、米国やヨーロッパに輸出するにも、利用される港の数はそれ程多くは必要ありませんでした。しかし、今は日本で製造した部品が中国に輸出されたり、逆に中国で製造された部品が日本に輸入されたり、あるいは完成品となって日本に戻ってくるというように、国境を越えて物のやり取りが頻繁に行われ、それもほとんどがコンテナで輸送される時代になってきています。
そうなると、多い場合には3回も4回も日本の港と外国の港間をコンテナ船が行き来することになり、いかに製造コストを下げる努力をしても港湾コストを含めた物流コストが高いままでは、価格競争力ではマイナスが大きくなるばかりです。
――港から先の消費地には、高速道路網の体系が完成していることも必要ですね
鬼頭
我々も道路局とも連携して、できるだけ港湾へのアクセスを向上させるよう努力していますが、海岸部から離れたルートを通る高速道路の場合など、アクセスの不便なところがあります。そうした箇所で、アクセス効率を上げる対策が今後の課題です。
――港湾事業として整備される臨港道路を、高速道路のように汎用性を高めて、内陸部にまで独自に整備する可能性は
鬼頭
臨港道路である程度までは整備しますが、それ以降はあくまで道路事業として、道路部局による整備をお願いすることになります。
一方、茨城県の常陸那珂港では、同時並行的に整備が進められている北関東自動車道の延長線上に港の中までアクセス道路が整備されています。このように、インターチェンジが港湾内にあるパターンは、今後の港湾の在り方としてひとつのモデルかもしれません。その整備運営をどの事業者が担うかは別にしても、港ごとに背後の高速道路の利便性を見据えながら、対応していく事が重要だと思います。
――仙台の塩釜港では、道路事業と港湾事業が巧みに連携した形で整備されていますね
鬼頭
以前よりも事業間の融合が進み、連携が密になっています。高速道路インターチェンジに10分でアクセスできるような港を増やすことを目標にして、こうした取り組みを、さらに促進していきたいと考えています。
――わが国経済の再生という視点では、大都市圏の再生による牽引が地方にとっても必要ですが、スーパー中枢港湾への重点投資から漏れた地方港湾は、どのように活路を見出していけば良いでしょうか
鬼頭
港湾施設を整備することによって、背後圏にある企業や、新規に進出する企業にも活力がもたらされます。現在、各港で多目的国際ターミナルの整備が行われていますが、そういった民需の創出・雇用の拡大に効果のあるプロジェクトを促進することが地域経済の再生という点からも急がれています。
また、昭和30年代から40年代にかけて、新産業都市・工業特別地域が指定され、それらの地域にはかなりの工業の集積とともに、立地した民間企業自ら整備した港湾施設も数多くあります。
ところが、そういった岸壁や航路などの中で、建設後、30〜40年間あまり手入れがされていないものも多いのです。製造業をはじめとする企業の中に全国に散在する工場を集約し、生産能力を上げようという計画を推進しているところもありますが、その場合、原料を運んでくる船舶を大型化して輸送コストをできるだけ下げる努力が併せて行われる訳です。航路が砂で埋まり水深が足りなくなったり、岸壁も老朽化しているような港で、公共的ニーズの高いところではそういった施設を公共施設と一体となって再整備することで、立地している企業はもとより、それ以外の企業にも利用され、効率的な運営が可能となるような施設整備を進めて行ければと考えています。
港湾管理者にとっては、新たに別の場所で施設整備をするよりは、かなり安価にできるメリットもあります。
――そうした仕組みが順調に機能すれば、地方港湾の活性化も可能ですね
鬼頭
現在、私共の出先事務所を通じて立地企業などに直接ご用聞きをしていますので、そういったニーズがあればどしどし言って欲しいと思います。
――港湾機能の高度化の一環としては、港湾や輸出入手続きの簡素化も重要課題とのことでしたね
鬼頭
こういった手続きを引続き簡素化することは、我が国港湾のサービス水準の向上という観点で大変重要な問題だと認識しています。しかしながら日本の場合極端に言えば、必要な手続が港ごとに異なるものもあるのです。そのため、例えばユーザーである船会社は、港ごとに異なる手続きの準備をしなければなりません。それを解消するため、 FAL条約(Convention on facilitation for international maritime traffic :国際海運の簡易化に関する条約)への批准が急がれている訳です。FAL条約は、入港手続きを国際的な標準にのっとってできるだけ簡単にしようというもので、既に今年度中に批准することを政府で決定しています。
もちろん、この条約の対象となっている手続き以外のものでも、簡素化・画一化できるものがあれば実行していきたいと考えています。来年の通常国会で港湾法を改正し、全国統一の手続きや様式の採用をする方向で準備を進めているところです。
――港湾内の安全対策や北朝鮮船籍の問題など、国際的な課題もありますね
鬼頭
港湾の保安対策という点では、我が国が四面を海に囲まれてるという地理的な状況を考えるとき、海域全体の保安をどうするかが非常に重要です。これは我々港湾局だけで対応できる問題ではなく、海上保安庁との連携も必要ですし、ポートステイトコントロールを所管する海事局もあわせた三局が共同してこの問題に対応していく必要があり、17年度は、これに対応するための予算要求を三局共同で行っています。

HOME