建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年12月号〉

interview

特集・港湾新時代〜世界の港湾立国へ〜

一石三鳥の成果を生み出す港湾整備

東北地域の発展を担う仙台塩釜港・石巻港の整備を進める

国土交通省 東北地方整備局 塩釜港湾・空港整備事務所長 小平田浩司 氏

小平田 浩司 こひらた・こうじ
昭和 35年 12月 6日生
昭和 60年 3月 九州大学大学院修士課程(水工土木工学専攻)卒業
昭和 60年 4月 運輸省入省
平成 2年 4月 第二港湾建設局 企画課補佐官
3年 12月 沖縄開発庁沖縄総合事務局
開発建設部港湾計画課 建設専門官
6年 4月 鉄道局 施設課補佐官
9年 4月 第四港湾建設局 工務第二課長
11年 5月 関西国際空港株式会社工務部 企画課長
13年 4月 国土交通省航空局飛行場部計画課 課長補佐
15年 1月 現職に就任
塩釜港湾・空港整備事務所は仙台塩釜港と石巻港で、ハード面・ソフト面から、この地域ならではの多面的な整備を行っている。同事務所の「一石三鳥の港湾整備」を小平田浩司事務所長に伺った。
――事務所の業務概要からお聞きしたいと思います
小平田
この塩釜港湾空港事務所は、東北と宮城県の発展を担い、地域の社会資本として重要な役割を持つ港湾と空港の整備を行っています。東北では唯一の特定重要港湾である仙台塩釜港、重要港湾の石巻港、そして第二種空港の仙台空港の整備が主業務です。
15年度予算の内訳を見ると、補正予算を含めて石巻港が53億円、仙台空港が20億3,900万円の規模で、仙台塩釜港では現在は防波堤の上部工工事を行っています。
▲塩釜港

▲石巻港
――石巻港の現況についてお聞きします
小平田
石巻港は、江戸時代から北上川の河川港として発展し、昭和35年に堀込式港湾である釜地区の整備が進められてきました。しかし、釜地区は最大でも水深が10mの岸壁で、港内も狭く、1万tクラスの船が限界なので、貨物船が沖待ちや潮待ち、あるいは入港する前に貨物を降ろして喫水調整をしているのが現状です。12年度の実績では、146隻にも及ぶ喫水調整、潮待ちを余儀なくされています。
10m以上の大型船の入港実績は、3万t以上が40隻、1万〜3万tが106隻です。1t以下は釜地区に入りますが、1万tを越える船は、満載だと干潮時に入港できないのです。そのため、水深13m岸壁を整備するため、昭和59年度から釜地区に代わって沖合展開の雲雀野地区の整備に着手してきました。静穏度が悪いので、防波堤の整備を行いながら、昨年度末で1,140m、今年度末で1,260mが完了しています。
現在は13m岸壁が1バースありますが、2バース目の整備を進めています。これは日本製紙の大工場があり、主にその資材関係の輸入需要を中心とする埠頭です。16年度の完成を目指しています。
またこの岸壁の整備に併せて、4万tクラスの船が入れるような航路泊地の浚渫を実施して行くことにしています。
――防波堤では、ケーソンヤードが日本国内でも類を見ない大規模なものとのことですね
小平田
最大かどうかはわかりませんが、かなり大きなものです。特徴としては3,000t級のケーソンを同時に4函製作することができます。ほぼ7階建てビルの大きさに相当します。横引台車によって、製造したものを斜路に運び、それを進水台車で進水させるという操作性、安全性に優れた最新の技術を導入しています。
これによって、フローティングドックに比べてコストは半分くらいになります。使用料・回航費をかけずにコストを抑えられる利点があります。特に石巻は漁業への配慮が大切で、施工時期も限定されることから、天候に左右されずに製作スケジュールの管理がしやすいこともメリットのひとつです。
――そうした環境問題も、いろいろと考慮されているのですね
小平田
環境対策としては、カキ殻をサンドコンパクションの地盤改良材として、防波堤に使用しています。混合比率は砂とかき殻が2:1で、年間に使用する約3万uのサンドコンパクションのうち、3分の1はかき殻を使っています。
こうした事例は全国にも無いでしょう。かき殻は砂を使う場合に比べて安価であり、一方、県漁連としては処分に困るもので、両方のニーズが一致しています。これについては、広島県からも問い合わせがありました。
――13メートル岸壁を今にして整備するというのは、開発が遅れていた地域だったのでしょうか
小平田
仙台塩釜港と石巻港は非常に対称的な港です。仙台塩釜港は、東北全体の不特定多数の荷主がコンテナやユニットロードに代表されるものを扱う流通拠点港湾であるのに対し、石巻港は地域に立地している企業の産業振興、工業港湾の性格が強いのです。荷主も特定されており、工場が石巻にある限り産業と港湾施設というものが一体的になっている形です。
その意味では、石巻港の整備は一石三鳥の効果を生み出しています。ひとつは港湾の工事費を安価で実施でき、二番目は環境にも優しく、三番目は地元の地場産業の振興に寄与することです。
――仙台港の今後は
小平田
13年6月に供用した高砂14m岸壁には、5万t級のコンテナ船が就航できます。同年4月には特定重要港湾に昇格し、コンテナ貨物は毎年15%くらいの割合で増えています。トータルで見た場合は、輸出入貨物の比率がほぼ同じ割合です。太平洋に面しているので、特にアメリカを対象に、太平洋の港湾では拠点的な役割を果たしていると言えます。
一方、日本海側の港は、中国などへの拠点的な役割を担っています。東北各地の港のこうした機能分担は東北の自立という観点からも必要でしょう。東北で必要となるコンテナ貨物のうち、東北の港で扱っているのは20%で、残りの80%は東京港や横浜港、名古屋港に集中しています。特に7割は東京湾からの貨物、あるいはトラックによる陸上輸送となっていますが、今後はCO2発生量の問題、企業の経費節減の問題を考慮すると、東北の港のコンテナ取扱量はさらに増えることが見込まれます。
――港にアクセスする道路整備も進めば、さらに可能性も出てくるのでは
小平田
そうです。道路整備により、東北各港を広域的に活用する可能性が広がり、荷主に対して航路をアピールすることができます。
――今後の課題は
小平田
国内では4つの中枢国際港湾に次ぐ8つの中核国際港湾に指定されていることから、ハード面にも力を入れてきたのですが、やはり東北各港で広域活用港湾を実現するには、ソフト面にも力を入れていく必要があります。
そのため、この4月から広域コンテナマネージメントシステムを構築しています。北米ダイレクト輸送に関しては、仙台港をメインに、中国に関しては東北各県の港の利便性が高いので、東北各港で分担しあう体制です。そして、一県だけの情報では意味がないので、事務所単位ではなく、東北全体として各港にはどんな路線があるのか、具体的な船舶情報が必要ならば、船舶代理店の担当者もお知らせするシステムとなっています。
――仙台港の今後の展望は
小平田
仙台港は特に、公共埠頭が非常によく使われています。毎日ではないですが、バースがほぼ満杯になることも見受けられます。反対側のコンテナターミナルもかなり利用されています。大型の客船が就航したときにはバース調整も大変で、塩釜港区との役割分担、あるいは仙台港そのものの機能拡充などを、今後も検討していく必要があると思います。
しかし、昭和40年代から人工的な堀込み工法で造られ、工業港として発展してきたことから、市民になじみが薄いのです。そのため、仙台港を知ってもらおうと今年の夏は海の日の前後の一週間に仙台駅でパネル展を開催し、職員自らによる市民へのprやアンケートを行いました。
アンケート結果はかなり好評で、駅でイベントを行ったことで、港から離れた地域に住む人々の考えを知り、港の必要性を理解して頂く上でも役に立ったと思います。実際、若年層における港の認知度は、まだまだ低いことが判明したので、今後は見学会などのprや、模型などによるビジュアルを活用したり、テレビ、ラジオなどでprをしたり、様々な大イベントも展開していこうと考えています。
仙台港は、背後圏に100万人の人々がおり、地震の際にも防災拠点としての役割を検討しなければなりません。

仙台港安全衛生推進協議会 石巻港工事安全協議会

氏家土木株式会社
石巻市門脇町一丁目13-10
TEL. 0225-23-1118
株式会社大本組
東北支店/仙台市青葉区二日町16-15
TEL. 022-262-5355
株式会社岡田谷
石巻市中瀬3-1
TEL. 0225-23-0163
金子建設株式会社
石巻市門脇町三丁目11-1
TEL. 0225-94-0818
北日本建設工業株式会社
多賀城市中央二丁目18-5
TEL. 022-368-1321
株式会社木村土建
桃生郡矢本町大塩字五台23-2
TEL. 0225-82-3006
国土総合建設株式会社
東北支店/仙台市青葉区大町二丁目9-13
TEL. 022-263-7364
五洋建設株式会社
東北支店/仙台市青葉区二日町16-20
TEL. 022-221-0932
佐伯建設工業株式会社
東北支店/仙台市青葉区本町二丁目2-3
TEL. 022-223-6377
津田海運株式会社
石巻市門脇町二丁目3-7
TEL. 0225-23-0181
株式会社テトラ
東北支店/仙台市青葉区大町一丁目4-1
TEL. 022-227-6621

東亜建設工業株式会社
東北支店/仙台市青葉区中央一丁目8-19
TEL. 022-262-6511
東華建設株式会社
塩竃市新浜町二丁目15-1
TEL. 022-362-1137
東築建設共同企業体
石巻市八幡町一丁目7-1
TEL. 0225-96-2222
東洋建設株式会社
東北支店/仙台市青葉区上杉一丁目6-10
TEL. 022-222-2281
株式会社橋本
仙台市青葉区立町27-21
TEL. 022-714-7020
株式会社濱田工務店
多賀城市伝上山二丁目4-1
TEL. 022-367-8310
伏谷建設株式会社
多賀城市八幡二丁目8-16
TEL. 022-362-5406
二ツ山建設株式会社
石巻市門脇字三ツ殿38
TEL. 0225-93-0505
株式会社本間組
東北支店/仙台市青葉区上杉一丁目8-13
TEL. 022-222-5244
丸信建設株式会社
多賀城市桜木二丁目2-20
TEL. 022-362-3121
株式会社丸本組
石巻市八幡町一丁目7-1
TEL. 0225-96-2222
みらい建設工業株式会社
東北支店/仙台市青葉区上杉二丁目3-7
TEL. 022-266-2436
淀喜建設株式会社
石巻市渡波字祝田75-4
TEL. 0225-24-2175
りんかい日産建設株式会社
東北支店/仙台市青葉区北目町6-8
TEL. 022-225-5541
若築建設株式会社
東北支店/仙台市青葉区本町二丁目10-28
TEL. 022-221-4325


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