建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年10月号〉

interview

地域空間づくりと新産業創造に繋がる公共事業に重点化する

自民党道連会長 衆議院議員 佐藤静雄 氏

佐藤 静雄 さとう・しずお
昭和 16年 10月 9日生まれ 北海道ニセコ町出身
昭和 39年 3月 高崎経済大学経済学部卒業
昭和 41年 3月 福田赳夫元総理秘書(8年間)
昭和 50年 4月 北海道議会議員当選(連続3期)
昭和 61年 7月 衆議院議員当選
平成 6年 5月 北海道開発政務次官
平成 8年 11月 建設政務次官
平成 10年 2月 北海道開発審議会委員
平成 11年 10月 党副幹事長
平成 12年 6月 衆議院議員4期目当選
平成 13年 5月 国土交通副大臣
平成 14年 10月 衆議院議院運営委員会理事
党国会対策副委員長
平成 15年 5月 自民党道連会長 
衆議院議員・佐藤静雄氏は、地盤である四区後志管内で、観光空間モデル事業を推進。自らライフワークと称する北海道新幹線は、昨年の1月に建設許可申請にまでこぎつけるなど、地域の発展のために活発に活動を続ける。そうした政治家としてのキャリアと実績が評価され、自民党道連大会では、会長に選任された。成長が止まったと言われる北海道だが、局面を打破して成長を促すために、北海道はどうあるべきかを同代議士に語ってもらった。
――現在、四区ではどのような政策を進めていますか
佐藤
現在は、小樽市のドリームビーチ付近を中心とした、海浜公園の整備促進に力を入れています。海のスポーツ、陸上のマリーナなど、海上スポーツ公園を含めた大きな道の駅と、手稲海浜公園を整備する計画を立て、これまでかなり調査などを進めてきました。
ただ、それら開発事業の中心となっていただこうと思っていた、石狩新港の石狩開発鰍フ経営状態が思わしくなく、事業計画を延期していましたが、政策投資銀行の協力によって解決したので、いよいよスタートしていきたいと思っています。
道路整備では、手稲〜小樽間国道5号の4車線化も全て終了し、素晴らしい道路へと生まれ変わりました。さらに、札樽自動車道に手稲インターチェンジを新設する計画を建てて、現在、用地交渉に入っています。
この道路整備の目的は、小樽―後志の観光産業振興のため、その観光ルートに札幌市手稲区を結びつけたいからです。手稲―小樽―後志という四区全体の観光による経済の発展計画は、私の公約でもあり、ぜひとも実現に向けて進めていきたいと思っているのです。
特に、全国で2箇所のみが指定される観光空間モデル事業が、15年度からスタートしましたが、それに能登半島とこの四区地域が選ばれたのです。
それに合わせて、道路とともに景観の整備も大切です。そして、新しい滞在型観光を形成していきたいと思っています。これらは、地元の農業と観光、漁業と観光を有機的に結びつけながら、第一次産業に観光産業を加えた、新しい地域づくりを進めていきたいと考えており、それを強力に進めているわけです。
――後志管内は、確かに道路整備が盛んですね
佐藤
5号線の拡幅も、見てもらえば解る通り、非常に美しい道路が整備されています。同時に、今後も整備していく道路は、景観に配慮した、観光地に相応しい道路にしていきたいものです。
管内では、例えば国道229号つまり積丹半島をめぐる道路は、2007年までには全てのトンネルを掘削し直して、大型観光バスが通れる規模の、景観に配慮した道路に替えていきます。
また、高規格道路として計画されている小樽〜黒松内間は、現在、アセスメント手続きの準備に入っており、それが終了次第、スタートしていこうと考えています。さらに、229号と5号を結ぶ、共和町国富から岩内町まで抜ける新しい国道自動車専用道路を建設する予定ですが、これも観光空間モデル事業とし、北海道のこれからの道路のモデルとして整備していきたいと思っています。
今後の様々な公共投資というものは、できる限り、景観に配慮した観光空間モデル事業に沿った形で、進めていきたいものですね。
――北海道新幹線の動向は
佐藤
この誘致に取り組み始めて、もう10年近くになりますが、その構想も一度は「死に体」同然になっていました。しかし、新たに理論の再構築をした結果、昨年1月8日には建設認可申請までこぎつけました。いよいよ目の前にまで来ている状況ですね。今後は、財源対策さえ目途が立てば、いつでもスタートできる段階にまで来ています。
しかし、現在は「財源不足なのだから、函館までで良い」という論議も台頭しつつあります。けれども、財源計画としては、すでに函館までが計画されているのです。したがって、逆に言えば函館まで整備する財源は確保されているのです。
問題は、青森と函館との同時開業を目指すとすれば、現在のスキームを前倒しして函館までの整備を急がなければなりませんが、これは新たに財源を措置するというものではなく、あくまで前倒し論です。したがって、これについては当初から十分に可能性のある構想として、私は取り組んでいきます。
真の問題点は、函館から札幌までの区間で、この区間については、確かに現時点で財源はありません。ですから、「新幹線は札幌までか、函館までか、財源が無いから函館までで良い」という議論ではなく、とりあえずは、函館まで財源を前倒しして、青森との同時開業を実現させるべく計画を進めています。
そして現在は、函館から札幌までの財源を確保するために、努力をしているところです。その財源も確保し、着工にこぎつけたいと考えています。
――財源確保のために考えられる手立ては
佐藤
「北海道開発予算を全てつぎ込んで新幹線を造れと、佐藤が述べている」などと、よくマスコミに書かれますが、北海道開発予算を、全て投入するのではなく、北海道開発予算の一部を、今後の北海道にとって最も必要となる北海道新幹線のために、一部を投入したらどうかと述べているのです。
北海道開発予算というのは、一年間で約8,500億円もあるのだから、その中から一年につき100億円、一開発建設部につき10億円ずつ捻出すれば、100億円くらいはすぐに確保できるのですから、それほど各地区に負担をかけるレベルではないと思うのです。
――その主張が、誤解されているのですね
佐藤
そうです。北海道開発予算の全額を投入するなど、誰が考えてもあり得ないことですから。北海道新幹線を函館から札幌まで建設するには、新たに年間300億円程度を上積みする財源をつくらなければなりません。
だから、3分の1ぐらいは、北海道開発予算で賄えば良いのではないかと提唱しているのです。そうすれば新幹線建設に道内業者が参加出来るメリットがあります。残る200億円の財源は、従来の新幹線財源の確保の仕方を少し変えて捻出しようと、現在、鉄道局と協議しているところです。
――ところで、最近になって再び、道州制が注目され始めましたね
佐藤
私は、道州制には大賛成で、何年も前から主張してきました。本来ならば、市町村合併の前に道州制を実行すべきと主張していたのですが、市町村合併論議が先行してしまい、案の定、なかなか前に進まない状況になっています。
道州制とは、日本全体を10前後の地域に分けて、そこに全ての課税権その他の権限を委譲して、自らの地域で活力を生み出していくわけです。しかし段階的に進めると、北海道を含め、税収不足で成り立たない地域が多く出現すると思います。
それに対しては、税収の多い東京都や大阪、中部・名古屋などの地域が多めに政府へ納税し、不足している地域に再配分して補充するなど、バランスを取りながら連邦制のような形を目指していく方法が考えられます。
先般、小泉総理が「まず北海道が道州制をモデル的にスタートさせよう」と、表明されました。そこで自民党道連に、私がプロジェクト委員長となって検討委員会を組織しました。今後は、北海道が道州制のモデルとして、何ができるのか、どのようなスタートができるかを議論し、来年の予算に反映できるものは実行していきたいものです。
――これからの北海道は、どう変わっていくでしょうか
佐藤
北海道に新しい産業を育てようと、現在は燃料電池や水素エネルギー分野、バイオマス、雪エネルギーなど、未来産業に繋がる分野を開拓し、開発費を投資していますが、来年度予算においてもこの分野を、大きく伸ばしていきたいと考えています。できるだけ早く、これらが実を結び、新しい産業としてスタートさせたいところです。
また、北海道の産業は、農林水産業の一次産業を中心としてきましたが、観光産業や未来産業と結びつけていくことが必要だと思います。
――かつては元国土交通省副大臣、建設政務次官などを歴任しましたが、北海道開発局の存在意義が問われる局面に来ています
佐藤
 本州では、地方建設局が地方整備局となり、企画部門が設立され、地元の県との連携をとりながら地域開発を進めていますが、そのために企画部という組織は、非常に大きな力を発揮しています。
それに反して北海道開発局は、整備局と同じ変化を経ずに、発注官庁としてそのまま残りました。道と連携をしながら新しい産業づくりをするといった取り組みが無いままに来てしまったのです。だから私は、副大臣の時には、新産業を生み出すことを、北海道開発局として取り組むよう、方向付けをしていました。
本州ではすでに、かなり早くから取り組んでいます。その点では、北海道開発局は従来型のまま残っていると感じるので、そのための人材育成も遅れておりましたが近年、ようやく変わってきたと思います。
――確かに交流人事も活発になってきていますね
佐藤
しかし、専門官、課長補佐クラスなどが、もっと活発に交流しなければなりません。幹部ばかりが交流しても無意味です。もう少し実務に当たる人達の交流を多くしてもらいたいと思います。やはり刺激がないと駄目ですからね。
――業界再編が求められている建設業界については
佐藤
建設業界の方々は、建設業そのもの、公共投資そのものを産業と勘違いしていると思います。建設業が雇用を生み出しているとか、公共事業を行うことによって、雇用が創出されていると。しかし、公共投資は減っていくのですから、雇用も減っていくのは当然です。
今後の公共投資は、観光事業などに結びつけながら新しい産業を育成し、公共投資そのものが産業化するのでなく、新しい産業を生み出すための公共事業にしなければなりません。
また、公共投資は減少していくのですから、建設業者はもっと合併などをして、再編を進めるべきです。再編の手法は、私が副大臣の時に作成した、持株会社方式によって再編する道筋を示してあるのですが、北海道の業者は、なかなか再編に向かいたがりません。
それから、公共投資の本質は、地域発展のためにあるもので、公共建設物をつくるのはもちろん、工事そのものを行うことによる地域の発展のためにも、行われているのです。だからできる限り、地元の会社やその下請け会社、関連業者を活用すべきなのです。
しかし最近は、コスト縮減のためか、他地区の業者が下請け関連工事を受注するなど、地元が潤うために公共投資が行われてはいないと感じます。これでは、地元の経済的波及効果が少なくなると思いますね。

HOME