建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年4月号〉

interview

人情あふれる活力あるマチにしていきたい

ふるさと・苫前町長選への出馬を決意

北海道苫前町前助役 森 利男 氏

森 利男 もり・としお
(平成15年4月の北海道苫前町長選挙に出馬予定)
昭和 15年 7月 6日苫前郡苫前町生まれ(61歳)
昭和 35年 3月 北海道立羽幌高等学校卒業
昭和 35年 4月 羽幌町沿岸バス(株)本社入社
昭和 38年 4月 苫前町役場勤務
昭和 63年 4月 企画振興課長
平成 7年 10月 助役就任
平成 14年 12月 助役退任
北海道留萌管内苫前町は、「風のまち」として有名で、風車の数が日本一であり、風力発電事業への取り組みを積極的に行っている。今年4月の苫前町長選挙には、現町長・久保田徳満氏の勇退に伴い、同町前助役・森利男氏が出馬表明を行った。「明るく、いきいきと輝くまちへ」と語る森氏に、今後の苫前町のまちづくりの展望と理念を伺った。
――町長選出馬に至った経緯は
現在の日本、北海道の経済状況を見ると、都市型予算が大幅に組まれ、地方がどんどんと衰退しているのが目に見えます。現在、国の考えは、地方と逆流しているように見られます。もっと緩やかな対策を行っていくべきではないでしょうか。さもなければ、市町村の再生は不可能になると感じていました。
そう考えている一方、現職だった久保田町長が、昨年9月の定例議会で引退表明をしました。私の助役としての任期は、今年の9月30日までですが、約40年間、苫前町に勤め、強い行政への思いがあり、これからが苫前町の大事な時期だと捉えているので、町の為に役立ちたいと考えたわけです。
――現在の苫前町の抱える課題は
苫前町の基幹産業は農・漁業です。苫前の産品は味が良いと評判で、特に農業は管内でもトップクラスです。しかし、折からの人口減による税収不足に加え、地方交付税の削減など、厳しい財政難の時代に突入しています。したがって、今後は採算の合った事業展開をしなければなりません。
例えば、現在、苫前町では、特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどを、町立ではなく民間の社会福祉法人が経営しています。そうした民間の施設を増やし、民間の力をさらに活かしていきたいですね。
町の経常経費は、どうしても削減していかなければなりません。しかし、それで町としてのサービスレベルが落ちては意味がありません。ぜひとも、力が落ちない体制で改善していきたいですね。
――今後の政策展望は
私はマチづくりの指針に対して、4つの目標を掲げています。一つは、農業・漁業・商工業等がしっかり根づく土壌を作り、町に底力をつけること。一次産業の農業・漁業をベースにしながら振興を図り、他の産業もそれに連動させて振興を図っていきたいですね。
次に、町に“うねり”を起こすための人づくり対策を行っていきたいものです。そのために、文化の振興やスポーツに親しめる環境を整備し、活力ある人づくりを進めます。
三つめは、人に優しい、若々しい元気な町をつくります。生活環境ではゴミ処理対策や医療の充実、介護保険の整備を進めます。特に苫前は、高齢者の比率が30%を超えていますので、福祉対策の強化を図りたいと思っています。
最後は、住んで楽しい、誇りと希望を持てる町づくりを進めます。苫前は「風車の町」と知られていますので、風車を活かしたイベントを実施していきたいものです。また青年の行動力と女性の豊かな感性を生かした参画社会への積極的な転換も進めていきたいと思います。
やはり、地域住民が安心して暮らせるマチづくりを進め、世の中が先行きの見えない暗い時代ですから、町民の幸せをより豊かにするためにも、私がぜひ道筋をつけていきたいですね。
――苫前町の理想的将来像を、どう描いていますか
私は「まちづくり見聞」というのが非常に好きで趣味です。これは、市町村でユニークなマチづくりをしている地域があれば、休日などを利用して直接見に行くのです。そうして、道内の市町村は、ほとんど訪問しました。本州までは、なかなか行けませんが、本州在住の友人らを通じて、その市町村の資料を手配してもらったりしています。
その上で、ユニークなまちづくりの市町村には直接、現地に赴いたり、出張時に立ち寄るなどしています。そのおかげで、全国に知り合いがたくさんできましたね(笑)
――実益のともなった趣味ですね
かつては、企画振興課長を務め、計画・立案を担当していましたが、そうしたユニークな他市町村のアイデアを苫前流にアレンジし、マチづくりに活用させていただいたものもあります。
――行政運営における基本姿勢は
私は役所勤めをする前に、約3年間、民間企業に勤めていた経験があり、行政に勤めてからも、私は株式会社苫前町に勤務する意識で仕事をしました。その結果、日常業務でも、陳情先でも、「あなたは行政マンらしくない人だ」とよく言われましたね(笑)
しかし、今後は、役人体質の発想よりも、真に町民の目から見た民間に近い発想というものが、今の行政に必要ではないでしょうか。ですから、私が町長になれば、私の培った民間の発想を生かしていきたいですね。

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