建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年2月号〉

interview

基幹産業の農業は、第一次産品加工など広がりを持たせた生産を目指す

役場庁舎改築は、マチづくりと一体となって整備

北海道北村長 村上宗範 氏

村上 宗範 むらかみ・むねのり
昭和 11年 1月 11日生まれ
昭和 30年 3月 北海道立月形高等学校卒業
昭和 35年 3月 北海道立自治講習所修了
昭和 37年 4月 月形町役場より、北村役場事務員として総務課職員に採用
昭和 42年 6月 教育委員会(学校教育係長)
昭和 57年 6月 企画課主幹
昭和 58年 6月 企画課長
昭和 62年 5月 総務課長
平成 4年 4月 産業課長
平成 6年 4月 北村収入役
平成 6年 12月 北村収入役退任
平成 7年 3月 北村長就任 現在2期目
北海道空知支庁管内南西部に位置する北村は、肥沃な大地を背景に、道内有数の穀倉地帯として、発展を遂げてきた。しかし、その農業も過渡期を迎え、米の自由化問題や後継者対策など、問題は多い。そこで、ブライダルプレゼント条例などユニークな条例で、マチを活気づかせようとしている北村長・村上宗範氏に、今後の村の行政課題や政策などを伺った。
――2期8年間を終えるに当たって、これまでの政策をどう評価していますか
村上
自己評価というのは難しいですが、良い時代に2期村政の舵取りをさせていただいたと思っています。5つの小学校の統廃合問題や稲作の共同施設、介護保険に関する高齢者福祉センターなどの整備など、村が抱える問題は多々おりましたが、それらは全て順調に整備することができました。
また北村は、市街地がほとんど無く、過疎化が顕著になってきました。そこで、市街地整備を進めました。役場庁舎の整備も、マチづくりと一体的に進めてきています。その結果、少子化の影響で1年間に30人ほど人口は減っていますが、市街地形成や水洗化などによって、逆に世帯数は毎年10戸ずつ、8年で80戸ほど増えました。
今後は、健康な住民づくり、安心して住める福祉の充実などソフト面の政策が主体になってくるとともに、純農村地帯として、厳しいこの農政においてどう経済を立て直すかが課題です。
――農業は、どのような状況ですか
村上
いかに厳しくても、純農村地帯として生きていかなければなりません。特に北海道は、我が国の食糧基地という位置づけにあるので、将来的には、米一筋ではなく、第一次産品加工などと、良い物・安全な物を作り、消費者に喜んでもらえる物を生産していかなければなりません。
また、後継者対策としては、奨学金制度などを設けて対策をしています。例えば、ブライダルプレゼント条例というのがあります。農家後継者が結婚をした際には50万円、その7年後にも50万円、併せて100万円を祝い金として支給しています。この条例を設けてから、婚姻数が増えてきました。また、嫁探しのために、ブライダルアドバイザーや、都会の人々との交流、出会いの場などを提供しています。これも良い成果に繋がっています。
――観光産業の振興策は
村上
泥炭地の北村で温泉が出たのは意外でしたが、500メートルくらい掘ったときに鉄分の強い水が出たため、さらに800メートルほど掘ったときに、温泉が出ました。この温泉は、塩分がかなり強く、海水よりも濃度が高いものです。温度が43度なので、温泉としては最適です。塩分が高いので循環せず、一次利用のみで、効能も高く好評です。民間の温泉施設も含めて、経営状況は健全です。
年間に25万人くらいの利用があり、固定客の割合が高いです。湯質が気に入ってくる人が多いですから、大体固定しているわけですね。また、近年、ブームになっているパークゴルフ場を、現在2ヶ所ほど造成しましたので、農村の綺麗な空気と、おいしい桂沢の水なども売り物にしながら活用したいと思ってます。
――この6月から着工する役場庁舎は、まちづくりにどう生かしますか
村上
役場については、平成11年が北村の開村100年記念だったので、記念事業のひとつと考えていましたが、農家経済の低迷で一時計画を凍結していました。しかし、雨漏りがひどく、電気設備のトラブルも頻発し、火事にでもなったら大変です。特に近年は、どこのセクションでもpcなどの電子機器を使っているわけですから、着手することにしました。
ただ、市町村合併の問題もあるので、専用の議事堂は造らず、多目的に使える会議室を議事堂として併用し、仮に合併することになったとしても、支所などは必要であり、また住民が気楽に来て、交流する場も兼ねる目的で、一般開放できる図書室も併設しました。設計は、施工と併せた技術提案協議方式で行いました。
――合併問題についての取り組み状況は
村上
政府は平成17年3月までに、自主的合併をさせるべく特例法によって様々な制度を設けていますが、タイムリミットが迫って、国側の姿勢も変わってきました。
――国側としては、強引に進めようという方向になっていますね
村上
財政難だけが理由であれば、小さな自治体は小さいなりに、住民とともに頑張りながら、協力しあって、なんとかやっていけるものです。しかし、国の地方制度調査会は、一定規模以下の地方公共団体については、窓口業務だけに絞ろうと考えています。権限の縮小・制限が第一の目標で、強制合併させるという姿勢です。そうなると努力のしがいもなくなります。
そこで、岩見沢を中心に三笠、美唄、月形、粟沢、北村の6市町村で合併した場合のまちづくりと、合併せずに、独自にまちづくりをするにはどんな手法があるのかを想定すべく、去年の8月から専門組織を作って検討しているところです。
そして、1月中に、もう一度6市町村で集まり、正式に次の段階に踏み込むかどうかを、打ち合わせすることにしています。また、村長と議会だけで進めるべきテーマではないので、村政懇談会などで情報提供するとともに、住民の考え方を聞いたうえで、方向付けをしてまいりたいと考えております。

HOME