建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年12月号〉

スペシャルと〜く

住民の目線の物差しで無駄を解消

北海道奈井江町長 北 良治 氏

北 良治 きた・りょうじ
昭和11年10月12日(65歳)
野幌機農高校(昭和30年3月卒)
昭和 50年 奈井江町議会議員
昭和 54年 奈井江町議会副議長
昭和 58年 奈井江町議会議長
昭和 61年 12月7日就任 現在4期目
北海道の中央部に位置する、奈井江町。北良治町長は、住民本位の「ふるさと奈井江づくり」を進めている。「町民の目線の物差しで進めていく」と語る北氏に、今後の奈井江町のあり方を伺った。
──町長公用車の廃止が話題を呼びましたが
町財政が―段と厳しさを増している現在、町識員とともに一丸となって倹約に努めています。町長は特権階級ではありませんから、公用車の廃止については特別驚くことではありません。また、町の交際費も大幅に縮減しているところです。マチづくりは長期的な視点が大事ですから、無駄は少しでも省こうと考えています。
──今までの町政運営の率直な感想と自己評価を
これまで、本当に住民の利益に叶う町政が遂行できたかが一番の問題です。景気回復のため、公共事業などへの投資が本当に必要なことだったのか、若干心残りがあります。
しかし、介護保険での近隣市町との連携、また国民健康保険・老人保険との連携を図ったほか、開業医の人達と共同で地域医療を支えるオープン・開放型病院を作るなど、広域連携と地域医療の二つを確立することができました。
──基幹産業である農業については
奈井江町は、米を主体にした農業のマチです。昨年、近隣市町連合として、企業団地であるライスセンターコンビナートを作りましたが、高齢農業者が多い中、作業の省力化の点で大きな評価を受けています。良い米を作る為の基盤整備、土地改良事業も計画的に進めていく予定です。これからも質の良い米を追求して農業地域をつくる体制づくりを目指していきたいですね。
──「健康と福祉のまち」を目指していますね
寝たきりや、介護を必要としない健康運動など、健康に関する政策に力を入れ、保険・医療・福祉の連携をより鮮明にしていくことです。これは私の理念です。高齢者の自立を目指し、健康で明るく、元気で生きている人が多い地域づくりをしていきたいですね。
──将来を担う子供達については
奈井江町では、「子供達の子供権利条例」を作成しました。子供達が大人の社会に参加することにより、しっかりとした意見や責任を持つことを、権利の中から培っていくつもりです。この条例は4月から発効していますが、子供たちが生き生き、のびのび、堂々と発言するようになり、非常に良い傾向になっています。
──町村合併問題については
合併は一つの選択肢ですが、単なる押しつけの合併ですと地域は空洞化します。活気に満ちたマチづくりのためにはどうしたらよいか、その手法から合併の是非を問わねばなりません。その意味で、地域振興策を住民と共に議論していく中で、方向性を決めていくべきです。ただ、生活圏が広がってきているので、合併に関わらず、あらゆる分野で他市町との連携を進めて行政コストを下げていくことは必要でしょう。
──最後に、今後の展望について
これまで、情報公開や100人委員会など、住民参加型の行政を進めてきました。今後は、住民との論議を経ながら住民基本条例を作成し、より参加型の行政を目指していきたい。できるだけ地域住民に情報をオープンにして、施策一つとっても、果たしてこれが必要かどうか、住民がふるいにかけ、住民の目線の物差しで解決していく姿勢をとることにより、無駄を無くしていけると考えています。

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