建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年5月号〉

interview

北海道新幹線にかける期待

新幹線誘致で、快適で住み易い「おしゃまんべ」を全国にPR

「日本一の花壇づくり」で高齢者も元気なまちに

北海道長万部町長 加藤 大明
古くから道南と道央を結ぶ交通の要衝として発達してきた北海道長万部町は、北海道新幹線開通後も室蘭、苫小牧方面への乗り換え駅として、ますますの発展が期待されている。温泉や食べ物にも恵まれた、道南の豊かなこのまちの舵取りを託された加藤大明氏は、道職員より町長に転じて2年半。「健康と福祉のまち」を目指し、「日本一の花壇づくり」に取り組んでいる。
──最近の同町を取り巻く話題については、やはり新幹線でしょうね。この1月の鉄道建設公団による北海道新幹線の工事実施計画認可申請により、新幹線はようやく実現に向けて動き出しました
藤木
夢が何歩も現実に近づいたという感じですね。これまで、本町においても、積極的に新幹線の誘致運動に取り組んできました。平成4年7月議会において「長万部町・北海道新幹線建設促進期成会議員連盟」が結成され、続いて同年8月に本町の各種団体や有志による「北海道新幹線建設促進長万部町期成会」が設立されました。
以降、これらの団体と町の三者が一体となって、各関係機関への陳情をはじめ看板の設置、pr活動、署名運動、各種集会等への参加など活動を行い、町議会の「経済活性化等調査特別委員会」においては、先進地の調査視察も実施しました。去る2月23日に札幌で開催された「総決起大会」にも参加してきたところです。
──新幹線にかける期待は大きいですね
藤木
長万部町は、JR函館本線と室蘭本線、及び国道5号、37号、230号の分岐点となっていることから、昔から交通の要衝として発展してきた町です。海、山、川の自然の中に温泉、ゴルフ場、大学、平和祈念館、文化ホールなどの文化施設を持った町で、「二股ラジヴム温泉」は世界で2つしかない石灰華ドームとしても有名ですが、何よりも「おしゃまんべ」という町名の知名度は全国規模です。新幹線が実現し、本町に停車駅が出来れば、こういった観光施設への集客も期待できますし、企業誘致にも弾みがかかり、地元の若者を含めた雇用対策にもなると思います。
当然、檜山北部や後志南部、室蘭市、伊達市を含む胆振西部の周辺市町村も新幹線を利用可能な範囲になりますので、駅周辺には拠点となる駐車場の整備が必要となりますし、駅周辺商店街の活性化につながりますので大いに期待しています。さらに、交通の拠点として「おしゃまんべ」を、全国にアピールできますね。
──新幹線効果を生かし得るまちづくりには、どう取り組んでいますか
藤木
平成10年2月に、新幹線の駅・ルートが公表され、本町に停車駅が設置されることが示されました。新幹線停車駅の設置は、産業の振興をはじめ本町や近隣町村の振興発展にとって大きな意義を有するものであり、本町としては、町民・近隣住民の意向を踏まえ、新幹線駅を核としたまちづくりの方向性を明らかにしていくことが重要です。
そこで、平成11年度に、町民代表24名からなる「計画策定協議会」を設置し、「新幹線駅を核とした地域振興計画」を策定し、特に駅前周辺の整備、市街地のアクセス道路整備については、13年度からスタートした「第2次まちづくり総合計画」と整合性を持たせて進めているところです。
長万部は自然が豊富な町で、夏と冬の寒暖の差がなく、25度以上になることはまずありません。零下10度以下にもほとんどならない。そして、渡島支庁管内では一番高齢化率の高い町です。先日2人の方が亡くなられましたが、人口7,000人の町に100歳以上の方が6人もいたほどですから、長寿のまちなんですね。食べ物もよく、とても住み易い所です。しかし、町民はあまりそれを自覚しておらず、外部からこのまちに来た私だからこそ痛感できることかも知れません。
──高齢者対策と長万部の良さをよく知ってもらうことが、今後のまちづくりのポイントですね
藤木
そこで本町が目指すのが、健康と福祉のまちづくりです。その取り組みの1つが「日本一の花壇づくり」です。日本一とは、その規模や花の種類の多さなどではなく、高齢者の皆さんがコミュニケーションの場として利用できる花壇を、全町民が参加してつくっていこうというもので、総合計画のキャッチフレーズにある「ふれあい交流家族おしゃまんべ」そのものです。花壇づくりを通して、高齢者の人も外に出て、仕事をして、みんなとコミュニケーションを図って、そしておいしいものを食べて、長生きしてもらいたい、という考えです。
また、ここは音楽が盛んなまちでもあるのです。地元の東京理科大学の学生によるバイオリンの演奏技術は全国でもトップクラスですね。最近では、地元の子供たちと理科大生によるコンサートや、高校生によるコーラスグループの活躍などもあり、「花と音楽のまち」を目指しては、という声もあります。町民自らの手作りで町を活気づかせようとする運動は大変喜ばしいことです。
文化だけでなく、私はスポーツも好きなので、過ごしやすい気候、温泉もある我が町に、合宿などで大いに来てもらいたいと思っています。
──今年度は、具体的にどんな事業に着手しますか
藤木
やはり、駅前から国道のバイパスに抜ける道路の整備ですね。それから継続事業ですが、シルバーハウジングです。全部で90戸を整備する予定で、現在は42戸まで整備しています。敷地の中心に管理棟を建て、一方は高齢者のシルバーハウジング、一方は一般の町営住宅とします。
私は道職員出身ですが、今後はここに骨を埋める覚悟で、ボランティアになってでもまちづくりを進める決意です。体が動くうちはね(笑)。

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